計算とはなんなのでしょうか。もちろん、形式的にはチューリング・マシンやλ計算として記述できます。ですが、それらが計算のすべてでしょうか?
ガジェット・コンピューティングというものがあります。以下のリンク先のようなものです:
- 「スパゲッティ・ソート」
- “A DNA and restriction enzyme implementation of Turing machines”
- ”The fundamental physical limits of computation”
これらはなにをやっているでしょうか。もちろん計算ですが、チューリング・マシンやλ計算における計算とは異なります (DNAについては、それらと似たものと言えるかもしれません)。念のためにDNAを外して考えてみます。
「それらはアナログ・コンピューティングだ」と言って終ることもできます。チューリング・マシンやλ計算とは異なりますが、物質のさまざまな特性を利用して計算をしています。あるいは、計算結果を出しています。
ここで大きな問題が現れます。というのも、どこまでがアナログ・コンピューティングの範囲なのかというものです。これについては、『別冊サイエンス コンピューター・ソフトウェア』の「9. 科学と数学のソフトウェア」にてS. ウォルフラムはこのように述べています:
>物理的システムは計算システムと考えられており,コンピューターが行なうのと同様のやり方で情報を処理していると考えられている。
この考えかたを認めるなら、すくなくとも宇宙はどのような大きさのレベルでも計算をしていると言えます。
おそらく多くの方は「処理の要素を並べたものが行なうことが計算である」という認識を持っていると思いますし、それはいわゆる計算に部分的に合致します。ただし、アナログ・コンピューティング、あるいはガジェット・コンピューティングを用いて、それだけが計算ではないということも体験してもらえたらと考えています。
計算という概念 (いわゆる計算の方) の体験については、ガジェット・コンピューティングとは別の例も用意してみたいと考えています。