バージョン1にあたる2015年に発売されたボードゲーム「みんなのまちづくりゲーム」は、特定非営利活動法人キッズドア及び株式会社アミタ持続可能経済研究所が循環型社会や地域経済について考える機会を創出するために原案し、一般社団法人南三陸研修センターとともに制作したものになります。
この「みんなのまちづくりゲーム」は地方自治体や大学や高校の先生方、まちづくりに関わるNPOなどに好評を博して、キットの販売のほか出張ワークショップも数多くの場所で実施をしてきました。
そのなかで出会ったのが、本作を共同開発することになる横浜国立大学さんでした。2017年以来、毎年授業にお呼びいただき約5年間の月日を経てようやく商品として完成しました。
本作とバージョン1の大きな違いは、ゲームの流れを大きく左右する「アクション」や「政策」が「自らの意思により決定」されることです。
バージョン1については、ゲーム的要素を強くしたために、カードの引きという運に左右されることが多かったわけですが、本作では、より戦略的に考え、その行動によってもたらされる多岐にわたる影響を考慮しながら次の一手を決めなければなりません。
「まちづくり」において大切なことはなにか?それは各個人が「ジブンゴト」として関与できる稼働化にあると思います。それを疑似体験できるからこそ、5年間分のまちづくりをした後には、「うれしさ」「悔しさ」という感情とともに、仲間と共に作った地域に愛着が湧いているかもしれません。
このゲームを終えたら。まちづくりを共にした仲間と、現実に住む町や故郷などを思い浮かべながら「ああでもない」「こうでもない」と話してみてほしいです。きっとゲームと現実がリンクする部分が出てくるはずです。
あの東日本大震災から11年。南三陸町が震災後に挑戦してきた課題解決のアクションの道筋には多くのヒントが隠されていると思います。「課題先進地」である南三陸は、言い換えれば「課題“解決”先進地」ともなっているのかもしれません。
今もなお、全国各地で災害は頻発しています。そしてこれまで経験したことのないようなパンデミックの最中にもいます。こんな先の見えない時代だからこそ、あの未曾有の大震災から立ち上がり、歩みを続けてきた南三陸町民から学ぶべきことがたくさんあります。
「みんなのまちづくりゲーム in cities」は、こうした南三陸の10年間の学びを全国各地の事例やまちづくりへ反映させていくことができるツールとして大いに期待しています。