こんにちは、コザスタートアップ商店街(以下、「KSA」)です!
KSAはコザの商店街と一体となったコミュニティ型のコワーキングスペース。そんなKSAの魅力は、なんといってもここに集まる人の多様性とエネルギー!
そこで、様々な形でKSAに関わってくださっている人をインタビュー形式でご紹介していきます。
本記事でご紹介するのは、商店街の中に2021年4月にオープンした多世代向けの教育プログラムの実施拠点「Hanaわらび」の仕掛け人、吉越 輝信(よしこし てるのぶ)さん(写真左)。
吉越さんはSAPジャパンでエヴァンジェリスト・コミュニティマネージャーとして、オープンイノベーション拠点「Inspired.Lab」の運営や、クライアントの新規事業創出支援、地方創生に取り組まれています。そんな吉越さんのこれまでの挑戦と、コザへの想いを聞きました。
挑戦者の伴走者も挑戦をしなくては「説得力がない」
ーSAPジャパンが新規事業創出支援や地方創生に取り組む理由を教えてください。
「SAPを知っている方は、業務パッケージソフトウェアのベンダーとして知っていただいていることが多いと思います。たしかに、業務パッケージの提供を通してお客様の『今』の業務を支えているのが私たちのコアの事業です。しかし、お客様とより中長期的な関係性を築いていくためには、お客様の『今』だけではなく、『未来』も支援できるパートナーになる必要があります。そうした発想のもと、三菱地所と共同で大企業とスタートアップのオープンイノベーションを生み出すコラボラティブスペース『Inspired.Lab(インスパイアードラボ)』を立ち上げ、クライアントの新規事業の支援を行っています。
ただ、お客様の新規事業の伴走者として、SAP自身もチャレンジと失敗を重ねないと説得力がありません。そこで、SAP自身の新規事業として挑戦しているのが地方創生です」
ーなぜ地方創生なのでしょうか?
「地域には将来の課題が詰まっています。それに、全く新しいチャレンジでは、何が成功で何が失敗かわかりません。地方であれば、ある種閉鎖された領域で課題に対し、小さくチャレンジして小さく成功、あるいは失敗するサイクルを素早く沢山回すことができます。さらに、そうして蓄積したチャレンジのためのノウハウや経験は、クライアントに還元することもできます。
ただし、当社の都合で地方に関わっておきながら、『予算がなくなったら終わり』とするのでは無責任です。なので、CSR的に取り組むのではなく、SAPならではのテクノロジーやグローバルのネットワーク、経営初期から取り入れているデザインシンキングのメソッドなど、SAPの何らかのアセットを活用しながら解決が可能な地域課題と持続的なお付き合いが可能な文脈を片っ端から探し、さらに現地の人を巻き込んで自走可能な形で取り組むことを大切にしています」
地方だからこその「物理的な場」の必要性
ーコザに「Hanaわらび」を開くまでの経緯を教えてください。
「私の生まれ育ちは千葉。仕事を始めてからも東京や神奈川、茨城と関東圏で過ごしており、地方のことをよく知りませんでした。そんな中、地方に対して持っていたのは『地方では人と人が繋がっている』というイメージ。しかしこれは誤りで、実際に地方を訪れてみると、多くの地方では車で出勤して帰るだけの日々の中では近所の人との交流は少なく、車通勤のためにお酒もほぼ飲めない。地方創生には交流の拠点となる物理的な場所が必要だと感じました。
そこで福井の鯖江で最初に地域のNPOと一緒につくったのが「Hana道場」です。下は4歳、上は80歳まで、なんでもいいから自分自身を磨くチャレンジをする場所としてオープンし、今では地元と東京の企業を合わせて40社くらいの様々な会社が、様々なワークショップや講座を開催するなど、地域を有効活用するリアルな場になりました。
そんなHana道場の取り組みを応援してくださっている鯖江市長に言われたのが『日本創生は地方から』という言葉。鯖江で成功したことは他の地方でもぜひ真似してもらいたい、横展開して日本全体に行き渡ってはじめて日本が元気になるのだ、という力強い言葉に背中を押され、次に福島の会津若松でオープンしたのが「寺子屋Hana」。そして昨年沖縄コザでオープンしたのが「Hanaわらび」です」
ーなぜ3番目の拠点にコザを選んだのですか?
「当時沖縄市の経済文化部部長をされていた上里さんの想いに動かされてのことです。どの地方にも、愛と情熱で動いているスーパー公務員の方が必ずいるのですが、上里さんはきっとその中でも全国でもTOP3に入る素晴らしい方で」
「沖縄は子供の貧困率が全国一位なのですが、子供自身に自ら生きていく力をつけてもらうことで沖縄の子供達の貧困の連鎖を断ちたいというのが上里さんの強い想いでした。そこで、小学生向けのプログラミング教室や子供からお年寄りまでをつなぐ学びのプログラムを提供する拠点として『Hanaわらび』を立ち上げました」
「Give, Give, Give」の精神が根付く街
ーご自身にとって転機となったコザでの出会いはありますか?
「私たちのようなBtoBの会社は一般に広く知られているわけではないので、突然地方に行っても普通はなかなか相手にしてもらえません。最初は信用を獲得することや、地元のキーパーソンを探すことに苦労するものなのですが、コザで出会った兼村さんや上里さん、いっちーは最初から信用してくれて、彼らにとって直接プラスにならないことでもサポートしてくれました。そんな、”Give & Take”ならぬ、”Give, Give, Give”の精神で動く人たちとの出会いがあってここまで来られたと感じています」
「なので、本業のネットワークの人たちを新しいトライをするフィールドとしてコザに送り込んで小さなチャレンジの実績を生み出すことを支援しながら、コザ愛を持った人を東京で沢山生み出すことが私のミッションであり、コザへの恩返しにもなるのではないかと思っています」
-どんな人や企業にコザに来ることを勧めたいですか?
「地域によって課題や人の雰囲気や特性は当然異なります。なので、地域と長く関わっていくのであれば、企業やその人自身のやりたいことやカルチャーとその地域が抱える課題やカルチャーのマッチすることが重要だと思っています。
その上でコザの特徴を挙げるなら、こんな感じでしょうか」
・主要スポットを徒歩で回れるちょうどいい狭さ
・市役所の職員の方々の距離感の近さと柔軟さ
・地域のコアな方々とFace to Faceですぐに会える
・コミュニティに集う人が多様(特殊な経歴の人達や沖縄以外の地方の人など)
・飲みに行ったら4〜5軒梯子は当たり前(笑)→たった一晩でさまざまな人と出会える
「経験豊富な企業や人よりも、チャレンジを始めたばかりの初心者の方や、チャレンジしたい気持ちはあるけどキッカケを掴めないシャイな方、短期間で小さなチャレンジを沢山繰り返したい方。そして、”Give, Give, Give”の大切さを信じている方にとって、コザは最高な場所だと思います」
知ってる誰かに必ず出会えるほろ酔い交差点
そんな吉越さんに聞いたコザのお気に入りスポットは、商店街のせんべろ密集地域のこの交差点。
串カツ屋さんの屋外のテーブル席に座り、1000円払ってせんべろ(※)をしていると、知り合いの誰かが必ず通りがかり、声をかけてくれるのだといいます。
(※)せんべろ:1000円でお酒2〜3杯とおつまみがついてくる沖縄の居酒屋独自(?)のシステム
コザに訪れた際はぜひ屋外席のせんべろで、ほろ酔いで商店街を歩く多種多様な人とのコミュニケーションを楽しんでくださいね!
【告知】7月17日、KSAな人々が一堂に会する夏祭りを開催!
こんな魅力的なKSAな人々が一堂に会する夏祭りを、7月17日にKSAのオープニングイベントとして開催します。ドリンク券や宿泊券付きのチケットをリターンで販売中なので、本記事を読んでKSAに興味を持っていただいた方は、是非ゲットしてみてください!
皆さんにコザの商店街の真ん中でお会いできることを楽しみにしています!