ふっと絵本を読んでみたくなる時がありませんか?
ただなんとなく、優しい絵と温もりが感じられる文章を観たくなる時がありませんか?
絵本には癒しの力がある。と私は思います。
私は以前、病院に勤務しながら癒しの環境づくりに取り組んでいました。病室でギターを演奏したり、歌ったり、夏休みに家に帰れない小さな患者さんたちのために、病院内で夏祭りを開催したりしていました。こうした活動がきっと治療に役立っていると感じていたのです。いまから30年ほど前のことです。
その頃の日本には、癒しの環境が治癒に貢献するという研究が無くて、先進的な取り組みを進めているアメリカの病院まで視察に行きました。アメリカの病院では、ヒーリングアートによる癒しの環境づくりに積極的に取り組んでいました。
ヒーリングアートとは、「患者の自己治癒力を引き出すアート活動」で、研究が進んでエビデンスもありました。ギターやピアノで一緒に思い出の歌を歌ったり、対話しながら一緒に絵を描いたりするスペシャリストが実際にプロとして活動していました。
このとき私の想像は確信に変わりました。
小児科病棟での活動はとても切なくなるのですが、反対に勇気ももらえました。ピエロの格好で歌う私を見て子どもたちは大喜び。でもその姿を見て涙を流すご家族の姿の方に、私は心を揺さぶられました。
病院では、治療の時間の隙間を埋める癒しの時間が必要なのです。病院での気付きで留めていたらもったいない。私は社会啓発の必要性を強く感じました。その後、病院の癒しの環境を拡めるため、健康まちづくりのコンサルタントとなり、新谷さんの呼びかけで印旛沼探検隊の立ち上げに参加して現在に至ります。
私は、絵本「もりのじかん」を小児科の患者さんに届けたいと思います。
森に行くことができない子どもたちに。ご家族と一緒にこの絵本に触れて欲しい。
心の奥まで透き通るような純真な絵と、愛情あふれる言葉のリズムに包まれて欲しい。
そして空想の森に包まれて欲しい。
病院は奇跡と感動と感謝の循環を力にして営まれています。
この絵本はそのきっかけになるはず。
私はそう確信しています。
印旛沼探検隊
副代表 浜田 靖彦