公演関係者のからのコメントや、マームとジプシーがお世話になっている方々より応援コメントを続々といただいております。初めてマームとジプシーを知ってくださった方もいらっしゃると思いますので、コメントをいただいた方との関係性と共に活動報告にも日々紹介させていただきます。
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川名潤(装丁家/「Light house」「cocoon」宣伝美術担当)
公演タイトルやスケジュールが決まり、それほど作業が進んでいない頃合いに私は呼ばれ、舞台のためのビジュアルを作る。これは、なにもないところの地面を耕す作業に似ているなと、毎回思う。
みんなの真似をして、鍬を振るってみる。みんなが種まきをするのを見て、自分もいくつかの種を蒔いてみる。手にしたこの種が何の種かというのは、それほどよくわかっていない。どういう芽が出るのか、私は知らない。蒔いてもいいのかどうかも実は自信がないので、劇団のみんなに種に向かって息を吹きかけてもらう。これでなんとなく、これは蒔いてもいい種なのだという言い訳ができる。最後に自分も息を吹きかけ、地面に埋める。
公演のためのポスターを作るというのは、そういう作業に似ている。
その後、私はとくになにもすることがない。劇団のみんながどういう耕し方をして、どういう光や水や酸素を与えているのかを知らない。
数ヵ月待つと、予想もしてないかった畑が目の前に現れる。みたことのない植物が生えている。なんなんだこれはと圧倒されていると、その畑に体ごと放り込まれる。知らない質感の、知らない匂いの、知らない温度の、知らない葉、知らない実が肌に触れる。目が回り、動悸がする。しばらくの後、その畑は忽然と消える。
自分の関わったマームとジプシーの公演を見たあとは、「おいおいちょっと待ってくれよ」と毎回思う。もう一度あの葉や実を手に取って確かめたい。自分が蒔いた種はなんだったのか、匂いや味を確かめたい。焼いたり煮たりもしてみたい。なんならヘラで潰して顕微鏡で見たり、ヨウ素液を垂らしたりしてみたい。
その願いが叶いそうっていうんだから、こんなに嬉しいことはないです。
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川名潤さんと初めてお仕事したのは、2013年の「cocoon」の初演でした。
もともと原作・今日マチ子さんの「cocoon」の装丁を手掛けられており、舞台版「cocoon」初演時には、舞台上に投影する文字を一緒にデザインしてくださいました。その後、2015年の再演時、チラシやポスターなど宣伝ビジュアルをご担当いただき、もちろん、今回の「cocoon」、そして「Light house」も川名さんにデザインをお願いしました。
私たちには、これまで作品を通して沖縄と向き合ってきた川名さんとの時間があり、「Light house」のデザインをお願いするのも、ごく当たり前の流れがありました。
藤田とミーティングする時は、資料や書籍を既に読み込んでくださっていて、こんなにも真剣に一緒にスタートをつくってくださるのに、お会いするのはいつも作品の幕が開ける頃です。
すごく不思議ですが、お見せする際は私たちの緊張のボルテージが高まります。
川名さんは文字やフォントにも、とてもこだわりがある方で、存在しないフォントはご自身で作られてしまうほど。そんな細部にまでわたるこだわりと高いデザイン性を託されて出発をきる私たちは、そのまなざしを感じながら、しかし繭に守られているような気持ちで作品に挑むことができています。
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