残り6日間となりました!
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◆本日の田んぼ◆
少量施肥のコシヒカリです。
周辺の田んぼでは稲刈りも始まりました。
川原の田んぼは田植えが遅いので、まだまだ青いです。
◆固定概念を外すと◆
川原はこの業界の中では異色な人間です。
1681年から続く農家の家系で、9代目の私が何故異色になってしまったのか?
それは、歩んできた道にあります。
小学生の時に、父が喜ぶかなと
「俺、将来後を継ぐわ」
と一緒にお風呂に入っている時に言ったことがあります。
照れ隠しだったのか、なんだったのかはわかりませんが、父が返した言葉は
「そんな事考えんでもいいから勉強しろ」
でした。
超素直な形でその言葉を受け、後は継がなくていいのだと思っていました。
高校受験の第一次願書を出したその夜、担任が我が家にやってきて言うのです
「志望校はボーダーラインぎりぎりやし、変えたらどうだ」
と。。。
これ幸いと、左手に父、右手に祖父、正面に担任。
3人で私を囲うようにして、説得に入ったのです。
「お前は農家の家の息子だ、農業高校に言っても何ら恥ずかしい事はない。農業高校に行け」
と。。。
後を継がなくても良いと思っていた私にとっては、手のひら返しを食らったようなもん。。。
ふざけるな!と腹を立てて、だったら高校なんていかん!と荒れていましたが、最終的に
「県内の一番遠いところなら行ってやってもいい!それ以外はいかん!」
と言う私の一言で、互いの妥協点が決まり、旧石川県立松任農業高等学校(現翠星高校)の食品製造科に進学しました。
そこでは、食品加工のイロハを勉強し、発酵食品の微生物が面白く、微生物にかかわることをもっとやりたいと、筑波大学 第二学群 生物資源学類 に進学させていただきました。
大学では、海洋微生物に関する研究室に入り、海洋微生物を少しだけかじって卒業と言う状況で、高校大学と農業生産にかかわる学びは殆どしてきませんでした。
そんな私だから、農業生産に関する基礎知識は皆無。
だからこそ、農業の常識が私にとっては疑問になる事が多々あって、父とは23年の農業歴の中で20年近くは衝突ばかりでした。
基礎知識皆無から始めると、とりあえずは先人である父のいう事を聞き、農業改良普及員に学び、同業者から教えを請いと言う状況です。
みんなそれぞれに自分の世界観をもって、それぞれの農法を実践しているわけですが、私にとって農業を行うという事は、収穫量を増やす事でもなく、形の綺麗な作物を育てる事でもなく、どちらかと言うと、食べて美味しいものをお届けするというところに意識が向いていました。
良く、昔からご当地で言われることは、反収8俵前後が一番美味しいと言われており、お米は取りすぎると味が落ちると言われていました。
しかし、私が就農してから、米価は値下がりの一途。3.11の影響で、一時期東北のお米が避けられていた時は、需給バランスによって多少値上がりしましたが、毎年20万トンから30万トン消費が落ちると言われているお米も、高値を維持することはほぼ不可能な状況です。
近年各都道府県で品種改良されて出てくるお米は、多収米。
肥料を多く入れて、耕作面積当たりの収穫量を増やすというもの。
しかし、行政側の指導は減反政策は廃止になったものの、生産調整をしてくださいというお願いと言う名のノルマが課せられ、加工用米・飼料用米などを耕作したり、転作作物を育てたりと、食用米の生産量を絞ろうとする動きがなされています。
明らかに矛盾があります。
生産調整を行う一方で、農家の手取りを安定させるために、値段が下がっても収穫量を上げれば帳尻が合うと多収米で収穫量を上げさせようとする。収穫量が維持されたり豊作になれば、またお米の値段が下がる。
そこへ来て、コロナの影響やウクライナ問題、円安の問題から肥料の原料が輸入できなかったり、値上げになったりと、農家の経費は圧迫の一途です。
こんなことが起こるとは全く予想もしていませんでしたが、川原が行ってきたファスティング農業が時代の流れにマッチングしてきています。
肥料を多用しないで、収穫量を維持する事で、大幅なコストダウンを図り、品質を向上させ、環境にも配慮された、持続可能な農業のスタイルを構築しています。
こんな道に進むことができたのも、追い求めてきた理想の農業は、食べて美味しいを念頭に置いていたからです。
無肥料で育てたお米や野菜が美味しいと感じたから、その道に入っていっただけです。
結果として、大幅なコストダウンをしながら、稲を見守っていった結果が収穫量が落ちることがなく上昇してきたという流れです。
もし、農業高校で農業生産を学び、大学でも生産にかかわる知識経験を詰め込んできていたとしたら、この道に進んでいなかったかもしれません。
川原には基礎知識が欠乏していたからこそ、既存の固定概念が無い状態で臨めました。
固定概念を外すことは、一度蓄えた知識を否定し捨てる事にもつながりますので、勇気がいります。
しかし、全てが悪いわけではないのです。そういうやり方もあるという事です。
いろんなタイプの農業がある事は、ある種の種の多様性です。一つのやり方がだめでも別のやり方があると生き抜くことができます。
ですので、肥料栽培もあっていいと思っています。
但し、経営できないほどの経費圧迫をさせてまでやるのは違うと思います。ですので今の時代には無肥料・少量施肥のファスティング農業がマッチすると考えています。
もし、お知り合いの中に、稲作をされる農業者さんが、経費が増えて米価は思ったように上がらないしと、お困りだったり、辞めようとしているようでしたら、一度川原のファスティング農業って見てみたらどう?もしくは、Farm sharingで資金調達したら継続できるんじゃない?とお声かけをしてあげてください。
日本で農業をする人がいなくなってしまうと、国防的にもとても危険です。
農業をする人が、力強く!楽しく!面白く!取り組める環境が大切だと思っています。
他人に何か言われることは、プロとしてのプライドが傷つきますが、もし聞いてくれる人がいるのであれば、どうぞ川原のやり方を教えてあげてください。真似ていただいて構いません。
挑戦できる農家が、日本中に増える事が、日本を変えていく第一歩です。
そこに、Farm sharingがお役に立てたのであれば、ファスティング農業がお役に立てたのであれば幸いです。
1681年天和元年創業
百姓一系・九代目与三郎
笑顔生産法人 有限会社 川原農産
代表取締役 川原應貴