「ネコと高齢者」問題。
わたしがこの問題を認識したのは、おじいちゃんの話を聞いたから。
しかし、ペットと高齢者の問題は、わたしが東京で動物看護師をしているときから何度も遭遇していました。
「末期のガンで入院をして、もう病院から出られないから、ネコを安楽死してほしい」
「イヌが足腰が弱って散歩が出来なくなったから、通院させられない」
「自分が歩くことが辛くなり、通院させられない」
「認知症のおじいちゃんが迎えてしまったネコがどのように飼われているのかよくわからない」
「認知症のおじいちゃんと暮らしているイヌが散歩に連れて行ってもらえない。もちろん通院もできない」
どうして、こんなことが起こるんだろう。
ずっと、ずっと、考えてきました。
考えてきた中で、ひとつの答えが浮かび上がりました。
それは、「命あるものと暮らしているうえで起こりうることの想像が足りていない」ということ。
ネコと暮らすなら、20年は生きるかもしれない。
そのネコを自分は最期までみられるのか。みられない可能性があるなら、誰かに託せるのか。
自分がいつまでも元気である保証はない。そのときにどうするのか。
日本は災害が起こる可能性がある。そのときにもしペットが逃げてしまったとき、不幸な命が増えないためにどうするのがいいのか。どうやってまた出会える可能性を増やすのか。
今の日本は、この「想像」が足りていないことで、そのしわ寄せが愛護団体に向かっています。
近いうちに、このままではこのシステムが破綻するのは目に見えています。
なぜなら、ほとんどの愛護団体は「ボランティア」だからです。
詳しい内容はぜひクラウドファンディングのプロジェクトをご覧ください。
他にどんな対策があるのだろうか。
昨年7月に「ネコと高齢者」についてお話しくださった獣医師 西山ゆう子先生は、例えば、
●55歳以上の人にはペットを飼育させない、禁止する、
●ペットを飼うために試験を受けさせて、合格した人のみが、飼えるようにする制度作る
などを提案されていました。
なぜなら、大切に飼っていても、様々な事情で飼えなくなる人もたくさんいるからなんです。
わたしが出会ったおじいちゃんは、実はご自分のネコをお世話しているのではないのです。でも、殺処分はしたくないと、懸命にネコたちの命をつないでいます。でも、これも長くは続けられない…じゃあどうする?とおじいちゃんは悩んでいました。
「ネコ5匹を最後まで見てくれる施設がほしい」
行政は「高知県にはそのような場所はない」と相談するおじいちゃんに何度も伝えていました。これは、実際にないのですから事実を述べているだけです。
行政はわたしにおじいちゃんをつなぎました。わたしは無償でこのネコを引き取ることもできました。でも。
わたしはそれはしたくありませんでした。自分が大変になることが「想像」できたからです。
どうやったら無償ではなくネコを受け入れられるのか。
どうやったら今ある既存の老猫ホームと違うものができるのか。
わたしは、ボランティアを否定するつもりはありません。既存の老猫ホームも否定することはないです。それはどちらも必要で、貴いものです。
ただ。
「ネコと高齢者」問題に困っている高齢者が、裕福とは限らないのです。
じゃあ見捨てるのか。見捨てたくない。
わたしにできることはなんなのか。
悩んで考え、絞り出したのが、この「宿泊施設でお金を稼いで、ネコを預かるのは飼い主アさんと相談で」というビジネスプランでした。
”僕には、長く続けられる仕組みにはまだ見えないし、簡単な課題でもないのだろうと思います”
という率直な意見をいただきました。ありがとうございます。
宿泊施設に関して、まずお答えします。
これからブームの兆しになってきている「外国人お遍路」に対応する施設となるべく、仕組みを作っているところです。3月末には徳島県のさまざまな方にお知恵を請う予定です。
ネコの施設では正直、最低限を見れば、わたしが赤を出さない程度いただければいいかなと思っています。それは、最初に設定したのが「5匹のネコを最期までみる」ということであり、おじいちゃんが払い続けてくださる金額にする必要があったからです。
残念ながら、この春までに3匹のネコが亡くなりました。おじいちゃんは2匹のネコの世話を続けています。
料金は設定しました。あとはおじいちゃんとお話をしてみようと思っています。
この試みは、こんな形のものは、ほとんどの方がやりたくないと思います。だから存在していないのでしょう。
でも、困っている人がいるのは事実です。捨てられたり殺されるペットがいることも事実です。
だから、わたしは挑戦します。このプロジェクトを行ったのは「知っていただくため」です。
この試みは「ペットと共に暮らす」への新しいチャレンジです。また、この日本に潜む隠れた問題の提起とその答えのひとつでもあります。
あと5時間。
この試みを日本、そして世界へ広げるためには、皆さまからのご賛同・ご支援が必要不可欠です。本プロジェクトの趣旨にご賛同いただき、ご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。