ハルビンという街は、古い建物好きにはたまらない街です。いわゆる近代建築というものがそこらじゅうにゴロゴロ転がるように建っているのですから。
この街は満洲国時代には日本人が主体となって統治しましたが、もともとはロシアが開発した街です。地図を見れば一目瞭然ですが、ロシア国境はすぐ近くですから、日本が満洲の覇権を押さえる前はロシアが実権を握っていましたから、そうなるのは当然の成り行きです。
ヨーロッパではアールヌーヴォーという建築様式が持てはやされていました。ですから世界の趨勢に乗り遅れまいとロシアも頑張ったわけです。当時、この写真のあたりはキタイスカヤと呼ばれる通りでした。この通りが作られて100年以上がたちますが、雰囲気はほとんど変わっていないと思われます。道路は当時の石畳のままで、現在は観光のために歩行者天国となっています。
このハルビンは、ロシア人だけではなく、各国のヨーロッパ人、アメリカ人、日本人、朝鮮人、そして中国人らの人種のるつぼで、各民族がわりとうまく融合していたといわれています。
写真の中央のビルは日本人が商店を開くためロシアの建築家に依頼して建てたといわれています。このプロジェクトが無事に終わり、コロナ騒動も収まってまた自由に往来できるようになったら、ハルビンの街を隅から隅まで歩きながら古い建築物を心ゆくまで撮影したいなあ、というのが目下のささやかな夢です。
あ、そうだ、このプロジェクトのリターンに、「写真家・船尾修と一緒にハルビンの近代建築を訪ね歩く旅ツアーへの参加」というのを加えようかなあ? そういうのあったら、皆さん参加します?