はじめに
私たち『特別養護老人ホームとらいふ武蔵野』は、Covid-19のパンデミック以前は市内に7つある特養の中でも群を抜いて面会者の多い施設でした。多いときは月間の面会回数が900回を超え、毎日のように来所するご家族も多くいらっしゃいました。そのような中、この未曾有のコロナ禍によって、感染防止のため面会や外出の制限を長期に敢行し、入居者と家族・地域の関係が分断されてしまいました。また、法人理念にも明記されているのですが、私たちとらいふ武蔵野は、「地域との関わり」を重視しています。社会福祉法人として、市内の地域組織との関係を深めていきたいのですが、これも同じくコロナ禍によって、その接点の維持が非常に困難となっている現状があります。これらの諸問題に対して、「園芸療法」を援用した『とらいふぁーむ』というバリアフリーガーデンを施設内に作り、Covivd-19によって途絶えてしまった様々な人的交流の機会を再構築したいと考えています。
解決したい課題
『とらいふぁーむ』での交流から生まれた意見交換を通して、介護予防運動や認知症ケアについての情報共有などの住民参加型のイベントを計画します。ワーキングチームを発足し、計画策定の段階から地域住民の参画を促進し、自我関与を深めてもらうことを目的とします。『とらいふぁーむ』はそのランドマーク的立場をとることによって、「地域に開かれた老人ホーム」という、ファシリティとしての機能を最大化させることを目指します。それは、住民同士による互酬性の関係を促進し、地域包括ケアシステムを活性させます。同時に、私たちのような介護施設の職員たちが、「自分達には何ができるか」「自分達は何をしなければならないのか」「どのくらいまですることができるのか」などを、地域住民と共に考え、学びの場とする契機とすることによって、シビックプライドが醸成され、コミュニティが「自己組織化」していき、地域の福祉が推進されていくことを目指します。私たち社会福祉法人とらいふは、『とらいふぁーむ』という活動を展開することによって、これらを具体化させ、武蔵野市並びに地域住民に貢献したいと考えています。
このプロジェクトで実現したいこと
●レクリエーションとして・・・・車椅子に座ったままでもプランターの下に足が入るので、身体が土に近くなり、耕す・植え付け・収穫などの作業を簡単に行うことができます。コロナ禍で社会活動が激減してしまっているご入居者とそのご家族に対して、低コスト・低リスクにて非日常を提供することができます。
●園芸療法として・・・・植物を育てることで気持ちが良いと感じる人は多く、五感で自然を感じると癒しの効果も得られます。土に触れ、植物の成長に心を動かすことで、ストレスから解放され心身がリラックスし、また、植物のにおい(香り)で嗅覚が刺激されることにより、脳が活性化され、身体や心が健康な状態へと導かれます。昨今その効果が注目される「農福連携」の効果を、大学院の研究チームとの協働により検討します。
●地域貢献活動として・・・・保育所とデイサービスの中間に位置するスペースを有効活用し、世代間交流を深める機会を創出します。既成概念にとらわれない、福祉都市・武蔵野市のランドマークとなるような、新しい福祉モデルを探求します。
●とらいふマルシェの開催・・・・栽培した植物や作物を加工し、将来的にとらいふ武蔵野の駐車場内で「日曜朝市」を開催し、それらを販売・提供します。地域社会に対して施設スペースを開放することにより、近隣住民の方々から「私たちの町には信頼できる福祉環境がある」と認識していただけるような交流を推進していきます。
※バリアフリーガーデン『とらいふぁーむ』は、施設の南側に位置する保育所とデイサービスのあいだにあるスペースを活用して実施致します。入場や休憩をされる際に利用料金等は発生しません。
応援メッセージ
「とらいふぁーむ」事業は施設の関係者(入居者と職員の方々)と地域住民との協働で始められる素晴らしい取り組みだと思います。 当会として、長年の活動である生ごみ堆肥化、元気野菜作り、花壇の維持管理で是非お役に立ちたいと考えており、大変楽しみにしております。
志賀 和男 様(クリーンむさしのを推進する会 会長)
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「コロナ禍を経て、都市において気軽に安心して屋外活動ができる場を求めた方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。この「とらいふぁーむ」は、施設に入居されている方々はもとより、地域のあらゆる人々にとっての日常の楽しみやリフレッシュ、リラックスをもたらす場になり得ると思います。私も、パブリックスペースを研究する立場としてプロジェクトにご一緒していきます。ここにどのような活動が展開されるのか、今からとてもワクワクしています。」
湯淺 かさね 様(千葉大学大学院 工学研究院)
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『特別養護老人ホームとらいふ武蔵野』さんよりバリアフリーガーデン「とらいふぁーむ」のお話をお伺いした際、とても共感しました。土に触れ、植物を育てそれを収穫するというサイクルは、PAPLUS®が目指す資源の循環の根本となります。笑顔あふれる「とらいふぁーむ」の中で、入居者、子供たち、地域の皆さまが交流する姿が見れるのを楽しみにしています。
深澤 幸一郎 様(株式会社カミーノ 代表取締役)
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「私の担当している町では「デイサービスの屋上庭園」を「元気あふれる高齢者の活動の場」としていきいきサロンを展開しています。とらいふぁーむはそんな高齢者施設が地域と共生する新しい形だと感じました。想像して下さい!「老人ホーム」の中で、子供達や若い人達が一緒に語り合い、カフェのように憩いの場として、ちょっと寄ってみる。今までとは違う「町・施設・世代暮らし方」が、このとらいふぁーむから見えてくるようですね!応援しています、笑顔の絶えない憩いの場、とらいふぁーむに!」
庄司 幸江 様(武蔵野赤十字 在宅介護地域包括支援センター センター長)
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「同一建物内に保育所を併設している特別養護老人ホームである『とらいふ武蔵野』。多世代交流や地域との連携を大切にし、常に新しい取り組みにチャレンジしている『とらいふ武蔵野』が、またまた新しい取り組みを開始すると聞いてワクワクドキドキ。保育所とデイサービスの南側エリアに、地域の皆さんと協働して『とらいふぁーむ』というバリアフリーガーデンを開設するという。乳幼児から高齢者まで多くの世代の方々が、土に触れ、植物の成長に心動かされることでしょう。しかも、車いすに座ったままでも活動できるプランターは廃材を利用して組み立てる、収穫物は『日曜朝市マルシェ』に出品する…夢が膨らむ企画です。まさに『いのちのSDGs』ですね。応援しています。」
笹井 肇 様(武蔵野市 前副市長 武蔵野市福祉公社 顧問)
資金の使い道
バリアフリーガーデン設備費:約50万円
人件費(ボランティアへの謝礼金など):約10万円
広報費(チラシの作成など):約10万円
リターン費用(仕入・発送など):約20万円
クラウドファンディング手数料:約10万円 (9%+税)
実施スケジュール
8月 1日 クラウドファンディング開始
8月31日 プランター完成
9月 19日 敬老祭にて正式に活動開始
10月 下旬 リターン品 発送
募集方式について
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
リターンについて
とらいふぁーむの中に将来設置する予定のカフェで使用することを検討しているPAPLUS︎®(パプラス) タンブラーに記念ロゴを施したものをリターン品と致します。PAPLUS︎®タンブラーは、紙とトウモロコシ由来の生分解樹脂を主原料とし、不用となっても回収し再生品化できるサステナブルな製品であり、本企画の理念に合致していると判断して採用に至りました。
寄附金控除について
「本プロジェクトへのご寄付は社会福祉法人とらいふへの寄付となり、当法人が寄付金の受付及び領収証発行を行います。
このプロジェクトの寄付は寄付金控除の対象になります。
「寄附金控除」をお受けいただくためには、確定申告の際に、社会福祉法人とらいふが発行した領収証をもって
確定申告をしていただく必要がございます。(領収書の発送時期に関するご説明)
※領収証はCAMPFIREではなく当法人が発行・郵送いたします。」
最後に
特養という場所は皆さんにとってあまり馴染みがなく、自分や家族に差し迫った介護の問題がない場合には、日常の中で介護について考える機会は殆どないのではないでしょうか。
けれど「老い」は誰にでも必ずやって来るもので、ある日の転倒をきっかけに状況が一変し、介護施設での生活を余儀なくされた等の話は、決して珍しいケースではありません。
そんな誰にでも訪れる「老い」に対して地域の皆さんが上手に向き合いながら、自分らしく暮らしていけるためのお手伝いをしたい、それが私たちの願いです。
特養が、社会と切り離された場所ではなく地域の中で当たり前に存在し、特養で暮らす人もそうでない人も、世代や立場を超えて気軽に交流ができる場所になること、その目標に向けての第一歩がとらいふぁーむです。
皆様のお力をどうか貸してください。よろしくお願いいたします。
私たちについて
「社会福祉法人とらいふ」は武蔵野市と三鷹市の有志9名により 「各々が資金を持ち寄り、地域社会に貢献したい」との発意により生まれた法人で、法人名の「とらいふ」とは「トライ」と「ライフ」の意味をもたせた造語です。「トライ」は「3」を意味し、発起人と地域と行政の三者を表し 各々が協力しながら、より良い地域社会を創造しようという願いが込められています。誰もが安心して暮らせる豊かな福祉社会の実現をめざします。
最新の活動報告
もっと見る分かりあえなさを分かりあおうとすることの大切さ
2025/05/24 18:16みなさま、こんにちは。とらいふ武蔵野・運営企画推進室の井口です。 今週水曜日、とらいふ武蔵野では「身体拘束・虐待防止委員会」が開催されたようです(私はあいにく不在で出席しませんでした)。 委員会のなかで、以下に示す書面が配布されたようです(後日、職員用トイレのドアに倫理啓発として貼られているのを発見しました)。副施設長が作りました。 この書面には、かわいらしいイラストとともに、「不適切な対応を起こさないために注意すべきこと」として、「否定しない」「急かさない」「禁止しない」「命令しない」「説教しない」の5つの注意点が分かりやすく掲げられています。一見すると「まるで子ども向けの道徳教育のようだ」と思われるかもしれません。けれども、福祉の現場でたいへん重要な(そして忘れがちな)内容です。 言うまでもなく、これは認知症介護における基本の「き」といえる姿勢であり、同時に、職員同士のコミュニケーションにおいても常に意識されるべき視点です。共通しているのは、相手に対する「想像力」や「思いやり」が大切だよね、というような感覚であるといえます。 さらに興味深いことに、これらの注意点は「植物の生育」においてもまったく同じことが言えるということです。「急かしたからといって早く育つわけではない」「命令しても葉は開かない」という当たり前の事実は、植物の生育でも、対人関係においても、大きく変わることではありません。 福祉の現場では、「支援する側が支援される」、教育の現場では「教える側が教えられる」というような構図が日常的に立ち現れます。高齢者介護とは、実際のところ利用者の方々が私たち(ケア提供者)に「依存している」というよりも、私たちを「支えている」(人間であるということを思い出させてくれる)営みである、ともいえます。 にもかかわらず、とらいふぁーむでの植物の生育を通して「人の幸せ・地域の幸せ・福祉文化の創造」という当法人の理念を実践していこうとすると、こうした比喩表現に対して、「ご高齢者様を葉っぱと同一視するとはナニゴトだっ!」「老人を植物人間扱いするつもりかっ!」などといったご指摘を頂戴することがあります(これはある意味で、想像力が豊かであることの証左と言えるかもしれません)。 このような「ずれた」批判に触れるたび、まだまだ私たちには対話が足りていないのだなぁ、と実感します。ここでもやはり、共通しているのは他者に対する「想像力」や「思いやり」なのだと、しみじみ感じております。 人間にも、植物にも、そして批判してくださる方々にも、等しく必要なものは、「他者のことなど理解しようがない(だからこそ相手のことを考え続けなければならない)」という前提に基づく視点なのかもしれません。年齢、経歴、役職、立場に関わらず、一緒に勉強し続けていきましょう! もっと見る適切と不適切のあいだで考える(研修のお知らせ)
2025/05/21 22:37みなさま、こんにちは。とらいふ武蔵野・運営企画推進室の井口です。令和7年5月21日のとらいふぁーむ バリアフリーガーデン「とらいふぁーむ」がめざしているのは、単なる園芸活動の場ではなく、植物の生育プロセスを媒介としながら、人間同士の協働、さらには人間と非人間(植物、土、天候など)との関係性を再構築するための実践空間の創造です。 「植物の生育」という時間的かつ不可逆的な過程をともに見守り、手を加えていくという行為は、参加者に「待つ」「支える」「気づく」といった非支配的な関わり方を学びなおす契機をもたらします。そうした過程では、障がい・認知症の有無、年齢、専門性といった属性の差異を超えて、多様な主体が「分担」というよりもむしろ「協働」として関与することが要請されます。 すなわち、「とらいふぁーむ」は、ケアや労働、責任の非対称性といった制度的前提をいったん括弧に入れながら、ゆるやかに共在することのできる場を構想しているといえます。 「とらいふぁーむ」は、植物という非人間的存在を通して、人間と人間、そして人間と非人間とのあいだにある分断を問い直し、協働と共生の実験的空間を創出する取り組みであると位置づけることができます。そこでは、「育てる」ことが「関わる」ことの再学習となり、「支援する/される」という制度的な枠組みの再定義が、ゆっくりと、しかし確かに試みられています。九条ねぎズッキーニとニンニク自家製ハーブもあります* * * 以前にも告知しましたが、とらいふ武蔵野では、このたび「認知症ケア」に関する全3回の対面研修を開催します。主催は七七舎(ななしゃ)、講師は高口光子(たかぐち・みつこ)先生です。テーマは「不適切ケアの防止」「身体拘束の廃止」「虐待の防止」。現場で役立つ実践的な内容(しない、させない、ゆるさない)を、事例を交えて学びます。介護職の方に限らず、未経験の方や家族介護中の方も歓迎です。 ▶ 詳細・申込はこちら:【七七舎★ななしゃ セミナー案内】(正面玄関にパンフレット設置中)多くの方々のご参加をお待ちしております。 もっと見る「現場が考える認知症ケア」——研修のご案内
2025/03/15 14:34こんにちは。とらいふ武蔵野・運営企画推進室の井口です。 本日は、今年(令和7年度)の6月から8月にかけて、とらいふ武蔵野で開催する研修について案内いたします。 2022年秋の活動開始以来、私たちは「とらいふぁーむ」において、植物を育て、土に触れることが高齢者介護福祉の現場にどのような影響をもたらすのかを探求してきました。その中で、園芸療法による感覚刺激の活性化や、植物の世話を通じた自己効力感の向上などが、要介護高齢者の方々にとって重要なケアの一環となり得ることを日々実感しています。 また、私たちは老人ホームの中で行われるこうした農的活動が「認知症ケア」にも有効ではないかと考えています。植物と向き合うことで心が落ち着き、土に触れることで五感が刺激されることで、「他者に対するケアのまなざし」が自然と育まれるのではないかと感じるからです。さらに、地域住民の方々とともにこの活動を継続することによって、社会的なつながりが深まり、ケアを受ける側と提供する側の双方に良い影響をもたらすことも期待できます。こうした取り組みは、延いては認知症ケアの現場で働く職員のストレス軽減にもつながると信じています。なぜなら、認知症ケアの現場では、感情のコントロールが求められる場面が多く、介護者自身が精神的に安定していることが肝要となるからです。土に触れたり、植物と向き合う時間があることは、職員の中に心の余裕が生まれ、そのことによってケアの質も向上する、と私たちは確信しています。▲ 春先に向けて休閑中のとらいふぁーむ こうした背景もありつつ、この度とらいふ武蔵野では、認知症ケアに関する理解をさらに深めるため、実践的なスキルを習得できる研修(対面セミナー/全3回)を開催することになりました。主催は「七七舎(ななしゃ)」さん、講師には高口光子(たかぐち みつこ)先生をお迎えします。本研修では、「不適切ケアの防止」「身体拘束の廃止」「虐待の防止」といった重要なテーマについて、具体的な事例を交えながら学ぶ内容となっています。 会場は、とらいふ武蔵野一階の地域交流スペースです。認知症ケアに関心のある高齢者介護福祉職の方はもちろん、無資格・未経験の方や、家族介護をされている方々のご参加も歓迎いたします。▶ 詳細・お申し込みはこちら:【七七舎★ななしゃ セミナー案内】(とらいふ武蔵野の正面玄関にてパンフレットを配布しております。)多くの皆様にご参加いただき、学びを深める機会となれば幸いです。▲ ホップの芽は少しずつ伸びています。 もっと見る
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