皆さま、おはようございます。
とらいふ武蔵野・運営企画推進室です。
昨朝とらいふぁーむでは、入居者のAさんが、長い間会いたくて仕方なかったお相手と感動の再会を果たすことができました。
そのお相手とは・・・
Aさんのご家族がとらいふぁーむをお散歩コースにしてくれたことで、この再会が実現しました。
「会えて嬉しいよ」としばらく感極まっていたAさん(と大興奮のななちゃん)でしたが、少し経ってから様子を見にいくと、そこには、穏やかな表情で静かに佇むAさんと、その横でくつろぐななちゃんの姿がありました。
「家に帰って、ななちゃんの様子をみてあげないと・・・」と、普段からそわそわされることの多いAさん。すぐには会えないことを伝えると、がっかり淋しそうな表情を浮かべ、時に苛立つご様子もありました。
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皆さんは『リロケーションダメージ』という言葉をご存知でしょうか。
『リロケーションダメージ』とは、「住み慣れた場所から馴染みのない場所に転居して、環境が変化することでストレスがかかり心身に弊害を与えてしまうこと」を言います。
Aさんに限らず高齢で認知症を患う方々は、施設入居に際して「見知らぬ施設に突然連れてこられた」(実際にはそうでなくても)という感覚に陥りやすく、混乱や不安から認知症の周辺症状(BPSD)が出現してしまうことが多くあります。
そのような状況にあるAさんにとって、『春の陽の光を浴びながら、馴染みのご家族と愛犬と一緒にゆっくりくつろぐ』というとらいふぁーむでのひとときは、とても特別なものだったと思います。
このエピソードの背景には、入居に際して「Aさんの大切にしていること」を教えてくださったご家族、それをケアチームに共有していた相談員、Aさんの言動からニーズを把握し発信していたユニットリーダー、Aさんに訪れたチャンスを逃さなかったユニット職員・・・とAさんを囲むチームメンバーの協働がありました。
午後になると、A様のユニットを担当する介護職員から、こんな報告が届きました。
「とらいふぁーむから戻ったAさんは、ずっと穏やかな表情で過ごされていました。いつもと違うご様子に驚きました」
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私たちは今日あらためて、認知症の周辺症状(BPSD)は、『ケアの質』に大きく左右されるのだということを再確認しました。
ケアの質の向上のために、私たちがすべきこと。
その答えは、とらいふ武蔵野のサービス理念にあります。
とらいふのケアとは、入居者一人ひとりの生活を支えるために、
その人を知り、その人の幸せについて考え、
その人の生き方に沿った伴そう者になることである。
サービス理念にある「伴そう」は、伴走と伴奏という2つの意味が込められています。
後者の「伴奏」は、
主役(入居者)が素敵なメロディーを奏でられるように、オーケストラの団員(家族や地域住民、施設職員などのチーム)が各々の音色を重ねて伴奏する、そんなイメージです。
コロナ禍において、入居者と家族、家族と職員、地域住民との交流が激減し、その状況が今も続いています。このことがケアの質に深刻な影響を及ぼしていること、この現状をどうにかして変えていきたい、と私たちは強く願っています。
一日も早く面会制限が緩和され、とらいふぁーむでたくさんの素敵な音色が奏でられることを願って・・・
朝から長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
週明けの月曜日、良い一日をお過ごしください。
とらいふ武蔵野・運営企画推進室
河原・井口