今日は、人生絵本のクラウドファンディングも残り1日ということで
「きもの絵本」がどんな風に仕上げられるのかをお伝えしたいと思います。
◆京都の製本工房にて、制作体験の様子をレポート
母に相談して、母が20歳の成人式の時に仕立てた着物を提供してもらいました。
上の写真は、今回使った左袖部分に着物絵本を置いてみた様子です。
2,必要な分だけ職人さんが裏打ちしてくれます
職人さんから「届いた着物みたら、表地が白で裏地が黒で面白かったから、白と黒2色で作ってみたらどうやろうか?」と電話があり、せっかくならと、今回絵本を2册作ることにしました。
3,裏打ちした生地を型紙に貼っていきます
表紙の裏面に糊をぬり、寸法をとった板紙を貼って位置を確認しながら置いていきます。
最初に四隅をカットしておき、長辺、短辺と折り返しを貼ります。ボンドは乾く痕が目立つので、繊細に少量で勝負です。「貼り合わせ部分は角の始末が、その本の見栄えの良し悪しを決めるんや」と職人さんがおっしゃってました。
4,背表紙を糊付けします
まずは本の背を伸ばして、本を綴じるため糊付けしていきます。
ここの工程で本の開きやすさが決まるそうで、丁寧にかつ慎重に専用の刷毛で塗っていきます。
空気が入らないように、すーっと刷毛を立てるように塗るのが上手く開く秘訣なのだときき私もやってみると、小さな気泡が入って結構難しい。結局、職人さんに手伝ってもらいました。ちなみに糊の配分は企業秘密なのだそうです。
5,年代物の木製プレス機で本体を抑えます
紙と糊が馴染むまで、じっくりと本体を抑えます。ちなみに、職人の手に馴染んだこちらのプレス機は、代々師匠から受け継がれてきたのだとか。関西で2台しか残っておらず「自分が引退すると、次に継ぐ若手の職人がおらず途絶えてしまう」とおっしゃってました。機械も機械を活かす職人の技術も途絶えてしまうなんて、とても勿体ないことですね。
6,美しい溝を半田コテで仕上げる
本に溝は大事。溶かしたロウをぬり込んで仕上がり具合を丹念に確認して完成です。
◆2週間後に届いたきもの絵本をみて、よろこぶ母
「あの着物がこんなに素敵に仕上がったの?!」とあまりの美しさに感激する母。その姿をみて私もなんだかうれしくなりました。
そして、水引作りにハマっていた私は、和紙を帯にみたてて水引を帯締めとしてあしらってみました。より着物っぽくなりましたでしょうか?さっそく、ピアノの上に並べて記念写真をパシャリ。
ちなみに左の写真の水引は「梅結び」です。複雑な結び方のため、固い絆という意味合いがあります。また、古くから魔除けの縁起物とされていた梅をモチーフにしていることから、無病息災という意味があるほか、厳しい冬を乗り越えて花を咲かせる様から、運命向上の願いも込められる結び方だそうです。お祝い事のシーンにもマッチしそうですね。
◆母の着物
流線上に流れるようにあしらわれた雛菊の刺繍が、角度によって金糸がきらきら光りとても上品です。本当にうっとりするくらい美しく、私も大好きでした。本当だったら私が受け継ぎたかったのですが…、60年間も箪笥にしまわれていたため、残念ですが大きな染みがついて私が着ることは難しそうでした。
絵本に使うために、母の想い出が詰まった着物の袖を切ってしまうこと。後悔しないのだろうか…。私自身にもためらいを覚え、母に本当に良いか何度か確認しました。
でも「何年か経ってどの道捨てられるのだったら、こうして着物が別の形として生まれ変わって家族に受け継がれた方がうれしい」と言う母の言葉を聞き、それだったらと納得の上、出すことを決心したのですが、仕上がりをみて、絵本にしてよかったなと感じました。
大切な方の思いが詰まった着物と、その方の人生をギュッと詰め込んで、
世界でたった一つ。唯一無二の「人生絵本」をつくってみませんか?