いろんなことがうまくいかなくて、苦しい日々が続いていたけど、「うまくやる」ことを諦めたら、なんだか光が見えてきた。
そんな話を書いてみます。
■この10日くらいで起きたトラブルとそれによって起きた変化
直近、この10日くらいでうまくいかなかったことが大きく2つありました。
1つは、新規事業『りとりと』のために製造予定だったにんじんジュースが、いくつかのトラブルが重なって、想定していた量の半分も製造できないことになったこと。
もう1つは、クラファンで先行販売を開始した『りとりと』のサービスが、想定していたよりもかなり売れていないこと。
製造と販売の両面で、想定外の良くない結果が出て、気持ちがかなり下がっていました。
特に製造計画が大きく狂ったことに関しては、それによる関係者の動揺も大きく、『りとりと』の事業が終わってしまうシナリオが何度も頭をよぎったほど、大いに悩みました。
「どうしてこんなことになったんだろう……」とガッカリした気持ちや怒りも出てきたのですが、実は今回の件にかぎらず、ここ数年は様々なできごとに対して「どうしてうまくいかないんだ」とイライラしたり落胆することが続いています。
うまくいかない場面に直面した際には、行動量を増やしたり、コミュニケーションを工夫したり、生産性を高めたり、いろいろと努力をして課題をクリアしようとしてきましたが、今回、製造計画と実際のずれが起きたときにはもうジタバタしてもどうにもならないレベルだと感じました。どうあがいても、次のにんじんができるのは1年後ですから。
しかし、それで良かったのかもしれません。
「もうこれはどうにもならないな」と、ある種の諦めが生まれたことで「そもそも、『努力してうまくできるようになろう』ばっかりの考え方を変えた方が良いかもしれない」という想いが湧いてきました。
■「うまくやらなきゃ」に囚われてガチガチになっている自分
たぶん、2020年にコロナが拡がったくらいから、ずっと自分の中には「経営者として、人として、ちゃんとしないといけない。失敗しないよう、うまくやらないといけない」という緊張状態が続いています。
『with curry』、『SHOKU SHOKU FUKUSHIMA』を閉店してしまい、たいせつな仲間の雇用も維持できなかったという出来事が、その気持ちを後押しして「自分のせいだ。自分が未熟なせいでうまくいかなかった」という自責の念や、「ちゃんと黒字にしなければいけない。雇用を続けられる会社にならなければいけない。福島にもっと貢献しなければならない。人として器を大きくしないといけない」という感覚が強まっています。
お金が減っていく怖さや、仲間が去っていく辛さが痛みとして残っているので、それをまた感じないようにしたいという自己防衛の気持ちも強いです。
そういった気持ちは、良い意味で努力や工夫や成長に繋がっている部分もあるし、そのおかげもあり、2022年度は業績も持ち直してきました。
でも、一方ですごく余裕のない自分になり、失敗を許容もできず、想定外のできごとを昔のように楽しめなくなってしまいました。
自分に対しても他人に対しても、数字だったり生産性だったり仕事への姿勢だったり、いろいろなことに厳しくなったし、求める基準を満たせないと、すぐにイライラしたり、不安になったりしてしまいます。
イライラや不安が現れると「自分がまだまだ努力が足りない。器が小さい」と思って、何かしらの努力をして乗り越えようともするのですが、状況は必ずしも良くなりませんし、一緒に働いている仲間にも同じように努力や工夫を求めるので、空気もピリピリしてしまいます。
どうしたら良いか分からないけど、このパターン一本槍でいくのはそろそろ限界な気はずっとしていました。
そんな中で、にんじんジュース製造において、大きな計画倒れが起き、「ああ、もうダメ。もう無理かも……」という諦めが生まれました。
■「うまくやる」を諦め、手ばなし、「想定外のできごとも楽しんじゃう自分」になりたい
「諦める」という言葉は、元々は「明らむ(あきらむ)」から来ており、「物事を明らかにする」、「真実をつまびらかにする」という意味があります。
うまくやろうとしてもうまくいかない現実に対して、これまで何とか立ち向かおうと努力していましたが、うまくやれる自分になることを諦めたことで、世界が少し違う見え方になった気がします。
「どんなに努力をしたとしても、世界や他人は、必ずしも自分の望んだ通りには動かないけど、そんなの当たり前だし、だったらそれを楽しむ方が良いよね」「そもそも、なんでも思い通りに進む世界なんておもしろくないよね」と思えてきました。
■時間軸を長くとる。飽きずに楽しんでやり続けたらいつかきっとうまくいく
組織も人も、良いときもあれば悪いときもあります。
悪いときに必要以上に焦らないためには、時間軸を長くとることがたいせつな気がしています。
時間軸を長くとると、苦しいときでも眼の前の苦しみに踊らされず、未来に意識を向けられます。
今年度のにんじんジュース製造に関して、かなりまずい状況が判明したとき、私の気持ちもかなり下向きになったのですが、そこで踏ん張って、生産者の小野寺さんと向かい合って、話をしました。
どんよりとした重い空気でしたが、
「5年後、10年後に、こういう経験をして逆に良かったねと言える未来を創りましょう」
という言葉を絞り出せたことで、二人の間に勇気がわいてきました。
また、そもそも10年単位で見た時にどういう未来を創りたいかを改めて小野寺さんに尋ねたところ、
「やっぱり、この逢瀬町を、日本を代表するにんじんの里にしたいです」という原点の想いと
「それを小笠原さん、エフライフさんと一緒にやりたいです」という想いを聞かせてもらい、そこでまた勇気と希望が湧いてきました。こういう人がいるから、自分は福島で仕事しているんだなと。
眼の前には様々な課題があるけど、それでも未来に向けてやっていくぞ、なんとかなるさという想いが、今の自分に欠けていたものなのだと思います。
■成功するかどうか分からないけど、自分にできることを楽しんでやる
『りとりと』サービスの販売に関しても、クラウドファンディングで300万円という目標を設定したものの、現状約10%の達成という状況に対して、うまくいかないなと、悲観的になっていました。
「うまくやらなきゃ」と力んでいると、「達成できないかも……」という不安が強まり、動けなくなっていました。
でも、そういう状況だからこそ、3月11日には小野寺さんの畑に行って、来年の冬にんじんの生産に向けて一緒に畑に堆肥を撒いて、10年後の未来の話をしてきました。
少し気持ちを落ち着かせて、時間軸を長く捉えたら、自分たちが『りとりと』のサービスや小野寺さんのにんじんを信じて、想定外の出来事も楽しんで続けられるのであれば、「目の前のクラウドファンディングが成功するしないなんて、そんなに気にしないで良いんじゃないか」と思えてきました。
シンプルに、このクラファンは、サービスや我々の想いを多くの人に知ってもらうチャンスとして、残りの期間でできることを、楽しみながらやっていこうと思えるようになりました。やれることをやってそれでも達成できなければ、それもネタにすれば良いかなと。
■震災から12年という節目に
もうすぐ年度も変わりますが、『りとりと』の件にかぎらず、色々な変化が起きた1年でした。
震災から12年の節目ですが、私個人としては、移住して10年8ヶ月が経ちました。次の10年、自分は何をしていくのかなと考えることも増えました。
上に書いた内容とも繋がることですが、「短期的な課題解決だけでなく、長い時間軸で見て、地域のためになって自分が楽しんで続けられることをやっていきたい」と思っています。
1年、2年という単位でみたら、大したことはできないかもしれないし、いろいろと失敗や回り道もするでしょうが、10年単位で真剣にかつ楽しんで取り組めば、きっと目指す世界には近づくでしょう。
今一度、腰を据えて福島の課題と未来、そして福島の仲間と向き合っていきたいと思います。
■ライブ配信します
長く書きましたが、これでもまだ語りきれないことがたくさんあります。
今週、2つ、ライブ配信をやります。
クラウドファンディングのPRも残り10日間、楽しみながらやっていきますので、皆さん、応援よろしくお願いします!
日々いっぱいいっぱいで余裕がなく「心と身体を整えたい」という自分自身のニーズが詰まりに詰まった良いサービスだと思っています。
ジュース製造量は予定より減ってしまったのですが、クラファンリターン分は問題なくありますので、ぜひthe 1st Ninjinをお試しいただきたいです(^^)