2023/03/30 12:00

こんにちは、ぷちパリです。

前回は「糸かがり綴じ」の製作工程をご紹介いたしました。

機械作業でも、糸の素材の選定や、糸の張り具合など、人の経験が必要とされる繊細な作業も多く、意外に感じられた方もいらっしゃったのではないでしょうか?

今回は、最終「仕上げ」工程をご紹介いたします。
こちらは絵本『大丈夫 大丈夫!』ハードカバーです。

表紙を印刷した後、表面に透明のフィルムを貼り付けて、厚手のボール紙(板紙)に貼り合わせます。

裏側のねずみ色の部分がボール紙(板紙)です。普段目にする機会が少ない絵本の内側です。

できあがったハードカバーは、シルバーの箔押し加工を施され、装飾をされることで、生き生きとした1冊となっていきます。

実際箔押しに使われた銅製の版型

薄くてデリケートな銀箔

そして、綴じの工程を終えた本文にハードカバーをくるんで「絵本」が完成します。

今回は、製作工程がわかりやすいように、小ロットの製作工程をご紹介いたします。

こちらは「表紙くるみ機」と呼ばれる、本文に表紙を貼り合わせる機械です。

先頭・最終ページにローラーで糊付けされた本文に表紙を貼り合わせます。本文の厚さや表紙の硬さを考慮して、押さえながら包まなければならない、コツのいる作業です。

続いて、糊付けの固定と、表紙の反り返りを防ぐためプレスします。

プレスを終えた2冊の絵本です。この2冊には、微妙な違いがあります。

実は下の絵本には、本が開きやすくする「溝」が付けられています。この溝付け作業を「いちょう付け」といいます。偶然にも表紙の「いちょう並木」と同じですね。

こちらも、経験が物を言う「強すぎず、弱すぎず」の絶妙な力で筋を付けていきます。

絵本製作は、大部分を機械作業で行っていますが、全てが自動的にできるわけではありません。機械でできない部分をフォローしながら、1冊ずつ心を込めて作っています。