【中村京蔵連載企画】連載49回
「三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス」
ーフェードル上演までの軌跡
衣裳に付きまして3
テゼ王ですが、帰還の時は鎧にマントを羽織りたいと考えていました。
藤浪小道具さんに洋風の鎧があったので、それとし、
黒のビロード地のマント、白地の大口袴(能取り物の大口とは違います)、
白地の毛靴に致しました。 着替えてからは、
王様ですから小忌衣にしたのですが、袴(亀甲柄織物)を付けたいので、
少し丈の短い物にして、華鬘結びの羽織紐も時代になり過ぎるので、
花結びにして垂らしました。白綸子の着付です。
イポリットは、前半、無地に見える白地織物の着付に、
赤地織物の胴着を重ね着して、
幕開きの狩倉姿は襦袢を着ずに素肌を出して野性味を狙いました。
袴は紺地織物龍の丸模様です。出立は笹菊模様の鎧下の着付に緋縅の丸鎧、
籠手脛当で、太十の十次郎のままです。
テラメーヌは茶地織物の直垂、出立はそれに胸鎧と籠手脛当です。
小姓は、帰還時は半鎧に籠手脛当、のちは、
濃い浅葱綸子の着付に青地織物の小袴です。
活歴にならず、大時代にならずと色々苦心致しましたが、
さて、如何でしたでせうか?