〘 ある被災犬の物語 〙
ゴールデンを母に持つ被災犬 ムク
生まれ育ち、福島で被災に遭い家人が避難され無人になった家で母犬ナナと繫がれたままの状態で三年という苦難を過ごす
母と息子の壮絶な歳月が、あった。
大好きという言葉では言い表せられないほど、この親子は
お互いを愛していた。
だからこそ、長い逆境も元気に逞しく二人で乗り越えられた。
そんな被災四年目にして、近所に起ち上がった福光の家に
やって来たムクと、母犬のナナ。
安堵と平穏な日々を親子で一年暮らしたが
母犬ナナが老衰で倒れ、13年にして初めて独りを噛みしめ
母のいた場所を、ご飯も食べずにじっと見つめている姿
が、あまりに哀しい・・。
そしてその母犬は亡くなり寄り添うように
別れを告げた、被災犬ムク
いろんなことが、ありすぎた ムク
大変なこと、辛いこと、悲しいことが多すぎた ムク
生きてこそ、頑張ればこそ、幸せという花が届けられることを
空は守り神のように、そして授けてくれた。
関西の方が、ぜひムクを家族にと迎え入れて下さり
今では、甘えん坊の老犬ムクとして持ち前のイカツイた笑顔で
幸せな毎日を、送っている。
幸せとは、結果が全てではないことを
苦難を歩んだからこそ、分りそして訪れ
頑張って乗り越えたからこそ、その価値を知ることなんだと
一匹の被災犬 ムクが私たちに、教えてくれた。
生きていれば、いろんなことがある
死んでしまえば、いろんなことは 何もない
諦めないで、投げないで、頑張って生き続けること
これこそが、生きる意味と価値なんだと・・。
グッドラック! ムク!
ganman