20年ぶりに再会した菜穂さんは梅田和紙で20年、修行を積んだ、若き伝統工芸士です。そして、今回、柳瀬徹二さんが私のために漉くことができなかったことで、逆に菜穂さんと再会ができ、 彼女が修行を積んだ梅田和紙の梅田修二さんに会うことができました。
彼の実験魂と紙漉きの技術、そして人柄に私は強く感銘を受けました。それなのに、梅田さんの工場は不景気で閉まってしまっていたのです。
私は自分の引き出せるお金をすべて渡して、彼にその中で用意してもらえる(展示に使う紙を)数をお任せして明日届けてもらうことにしました。
彼の漉いた極薄の雁皮紙を見たときの衝撃を今でも忘れられません。
あのように心を込めて作った最高の和紙を使うのには言葉にできないプレッシャーがあります。
ただ物事には時期というのがあり、直感的に今この和紙を使うために私は呼ばれたのではないかとさえ思えるほど、私の求めているものにぴったりとする紙でした。
私もものつくりですから、価値のあるものを安く買うことはできません。
クラウドファンド集めたお金から手数料やリターンの経費を引いて手元に残った50万円の資金を私はすべて和紙に使う決心でした。
ところが、クラウドファンドの振込が来月末(!)だと知って、一度にお金がたくさん使えず、自分の貯金残高と相談しながら生活しなくてはならなくなりました。柳瀬春夫さんにはとりあえずお支払いをしたのですが、あとは調整しながらやって行こうと思っていました。
でも、あんなに素晴らしい紙を漉く工房が休止しているなんて
本当に残念で。
梅田さんのお話を聞いていて、もうこの方の紙を買うしかない、という気持ちで
またこんな紙を漉ける人がいるんだ、ということを知ってもらいたいという気持ちもあり、思い切って自分の貯金を下ろしてしまいました。
名前が知れて需要があれば、会社も復活できるでしょうか?
私にできることは少ないかも知れませんが、気持ちは入ったので、もう力を出して梅田さんの紙がベストに見える展示をし、梅田和紙の宣伝もしようと思っています。
ちょっと言葉が足りないのですが、
今日も大瀧神社、岡太神社に朝と夕方お参りして、
色々なご縁のお礼と、展示の成功のお祈りをしてきたところです。
川上御前(女性の紙祖神)が本当にいたように感じるこのごろです。