京都市中京区高倉通二条下るにあるレティシア書房の小西徹さんより応援メッセージをいただきました。レティシア書房は、ミニプレス(個人や団体が制作した小数部発行の出版物)を数多く取り扱う京都の書店として注目を集めています。『京都 中京民商 商人・職人 生活史』も取り扱っていただいています。
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数名の聞き手が、京都市の真ん中、中京区の様々な商人や職人のもとを訪れて、商売や人生の断片をすくい上げました。
最初に登場するのは、古書店「尚学堂書店」(中京区寺町二条下がる)です。同業とはいえ歴史ある尚学堂書店は、昭和12年創業の老舗です。店主の稲場比呂子さんのお祖父さんが始められたそうです。
聞き手が、昭和12年といえば創業は戦前ですよねと言うのに対して
「その辺は諸説ありなんですけど、おじいちゃんが富山の氷見の人で、京都で一旗揚げて故郷に錦を飾るって感じで出てきて。で、なんか最初はお寿司屋さんとかしてたみたいですけど。」
え?古本屋じゃなくて、寿司屋さん?どうやら、知り合いから本を譲ってもらってちょこちょこと始めたのが最初らしく「今の場所に移ってきたのは戦後かな。実はその辺のところはあんまりちゃんとわかってないんですけど。」と稲葉さんは答えます。
いかにも京都!みたいな、老舗の旦那さんや女将さんはここには登場しません。フツーに商売をして、日々を生きている人たちばかり。人に歴史ありと言いますが、どの人にも当然のことながら歴史と物語があるのがよくわかります。自営業者の方、京都の歴史ファンの方や京都観光に来られる方等々、多くの人に読んでいただきたい一冊です。
売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」が小商いの精神であることを再確認できました。
(レティシア書房・小西徹)