みなさんこんにちは。海外事業担当の山口和美です。
ケニア駐在員として、早すぎる妊娠を防ぐプロジェクトの立ち上げを行っています。
これまでやってきたこと
「早すぎる妊娠を防ぐ」という、PLASがこれまで取り組んだことがない課題。事業を立ち上げるには現地で何が起こっているのかを知る必要があるため、現地で様々な調査を行いました。
その一つは、すでに10代で妊娠して出産した経験のある女の子へのインタビューです。
センシティブなトピックなので、女の子たちの気持ちやプライバシーに配慮しながら行いました。まず驚いたのは、対象となる女の子が1日で想定以上の数見つかったことです。事業地ビタ準群のゲンべ地区だけでもそんなにいるんだと、身近で起こっていることなんだと感じました。
女の子が妊娠してしまった理由は様々でした。
地元の権力者に利用されてレイプされたケース、経済的に貧しく生理用品や交通費を工面してもらう中で性行為を強要されたケース、そして一番多かったのは、カップル間(または友達間)で避妊具を使用しなかったケース・使用に失敗したケースでした。避妊具の存在自体を知らなかったというケースもあれば、知っていたが使用を断られたというケースもありました。
女の子が避妊や妊娠に関する知識をもつのはもちろんですが、男の子も同様に避妊や妊娠に関する知識を持ち、子どもを持つことの意味や責任を理解し、パートナーの思いを尊重した行動が取れるようになることがとても大事なことだと感じました。
中等学校での調査では、校長先生から毎年2-3人が妊娠していると報告がありました。
信頼できる現地スタッフ
インタビューは13件実施することができました。
そして実施した後は、現地スタッフと各ケースについて2-3時間かけて議論しました。
何が起こったのか、その背景には何があるのか、どうやったらこのケースは防げたのかなど、かなり細かいところまで議論する中で、ケニアの性に関する価値観や考え方について理解することができました。
「学生時代は、セックスパートナーがたくさんいるほどいい男」
「コミュニティでは学生時代に妊娠した女の子は価値が下がる、悪いことをした子だから近づいてはいけない」
など、毎回耳を疑うような価値観や情報を知り、驚きでいっぱいでした。
そうした様々なトピックを話し合うなかで、現地スタッフとは「男の子へのエンパワーメントが不可欠」「禁欲だけを推し進めると問題解決からは遠ざかること。禁欲は早すぎる妊娠を防ぐ選択肢の一つであり、メリットデメリットを伝えて彼らにとって一番いい選択ができることが大事」など、大切な共通認識を作ることができました。
プロジェクトに関わる現地スタッフは、それぞれがSRHR(Sexual Reproductive Health and Rights)に関するプロジェクトに参加した経験があり、この問題に関するパッションがある人たちです。
彼らとともに事業を進めていくのがとても楽しみです。
「早すぎる妊娠を防ぐ」ことの本当の意味
「早すぎる妊娠を防ぐ」というのは、ただ早すぎる妊娠を防ぐのが目的ではありません。
早すぎる妊娠を防ぐというのは、子どもたちが自分のことを大切にし、自分に必要な選択をし、行動に移せるようになるという行動変容を起こすことです。
自分の人生を考えた時、いつ生むのか、誰と生むのか、何人産むのかを自分で決めること(身体の自己決定権)が、子どもたちが自分らしく人生を生きていくためにとても大事なことであり、このプロジェクトを通して彼らのSRHRを守り実現していく一助になりたいと思っています。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
ぜひ、温かいご支援と応援のほどよろしくお願いいたします。