福島県白河市にある「まかないこども食堂たべまな」です。利用条件は「こどもはまかない、おとなはカンパ」、こどもたちはそれぞれが必ず「できること」で仕事をし、その対価としてごはんを食べます。私たちは、こどもたちを「非援助者にしない」ことを理念とし、おとな(カンパ)もこどもが共に「場に貢献する仲間」としてつながることを大切にしています。例えば料理、配膳、皿洗い、年下の子の勉強をみる、片付け、掃除、ピアノの演奏をする、様々なことこどもたちが活躍しています。開催は毎週月曜日の午後3時から8時まで、場所はJR新白河駅から徒歩5分の民家です。毎回未就学児から高校生まで約15名のこどもたちが訪れています。家庭が貧しい子、いじめなどが原因で学校に行けなくなってしまった子、母子家庭や父子家庭のお子さん、発達障害を持つ子、様々な生きづらさを抱えたこどもたちが来ていますが、多くは学校帰りにお腹をすかせてやって来る「タダメシ」狙いのこどもたちです。
代表である鴻巣は現役のスクールソーシャルワーカーとして虐待やいじめの被害に遭ったり、貧困の中で暮らしているこどもたち、親たちの支援現場に身を置いています。多くの子どもたちが何らかの生きづらさを抱えることで家庭に居場所がなく、学校で孤立し、不登校になり、不登校によって更に家に居づらくなり、地域で孤立します。そして鴻巣は、自身も貧しい家庭に育ち、学校ではいじめに遭っていました。子供時代の、そしてソーシャルワーカーとしての経験から、こどもたちは貧しさや障害そのもの以上に、それらによって引き起こされた「孤立」に苦しんでいることを知りました。孤立を防ぐためにひとりが、今すぐにできること。それが「居場所」を作ることでした。その居場所に、おいしいごはんがあったら心もお腹も満たされるはず。そうして仲間たち(こども時代に孤立を経験した仲間たち、そして今なお孤立の危機にあるシングルペアレントたち)と共に立ち上げたのが「まかないこども食堂たべまな」です。
「まかない」の仕組みが定着するきっかけになったのは、ある男の子との出会いでした。中学生だった彼は、様々な事情から学校に行けず、家庭の中でも孤立していました。学校に行っていなかった彼は、日中暇をもてあましていました。「暇なら料理を手伝わない?」そう声をかけると、しぶしぶ応じました。翌週、彼が作ったご飯を「おいしいよ」と言って食べ「ありがとう」と声をかけてくれる他のこどもたちに対して彼は無言でしたが、その翌週にはマイエプロンと三角巾を身につけて厨房にいました。それから毎週彼は欠かさず、張り切って料理をするようになり、表情が和らぎ、他者への警戒心がみるみる解け、閉じていた人間関係が開いていきました。困難の最中にいるこどもたちは、「誰かに助けてもらう」体験にも乏しく、またそれ以上に「誰かに良い影響を与える」「誰かに感謝される」体験にも乏しいことを、彼が教えてくれました。おとなから一方的に「ごたんを食べさせてもらう」だけでは叶わない、むしろ損なわれるものがあります。「まかない」を通じてこどもたちがそれぞれの強み(チャレンジしたいこと、得意なこと、したいこと、好きなこと)でこども食堂という場に貢献する、それによってこどもたちの自尊心を守ることを、これからも大切にしていきたいと思っています。
「まかない」によってこどもたちが調理等に携わることで、事故等のリスクが高まります。事故防止には万全を期していますが、万が一の備えのために保険加入は不可欠です。
こどもたちが安心して、「まかない」によってそれぞれの強みを探し、発揮できるよう、保険加入のためのご支援をよろしくお願いいたします。