○裃の正装をしたのは、的奉行と馬止の4人に絞りました。小春日和であれば諸役10人が着用 する予定でしたが、肌寒い気温でしたので普段着の上に着用してもらいました。インフルエンザの、り患者が急増していたからです。
○屋外のイベント故、白足袋と白緒の草履には、土が染みついて、普通のクリーニングでは汚れが落ちません。刷毛で土を搔き出し漂白すること2回できれいになります。手前どもでクリーニングします。新品を返せば草履が@¥2,300、白足袋が@\1,300します。浄財をつかわせていただくので、こうした節約法も経験知です。
○招待射手衆の橘流師範格・スティーブン.ローソンさんに、記念の「中(あた)り的」をお届けに上がりました。1尺8寸四方の杉の柾目の板的で大きいものです。事業家は商売繁盛の願を懸けて店に飾る縁起物です。日興東照宮では、破片の大きさによりますが、@\3,000から@\10,000で販売しています。
○柾目の板的は、希少です。間伐材では得難い希少な大木から伐り出して作ります。従って@\3,500以上です。こういううものにはお金を掛けねばなりません。願を懸ける無地の的はそれ自体神聖なものです。矢が当たれば、柾目板か否か判ります。柾目は縦に真直ぐ割れます。安い板を張り合わせた的は、割れ方が歪んでばらばらになり、拾い集めてつなぎ合わせ、当たり的の記念品を作ろうにも、難儀します。
○故実の流鏑馬記録には、ヒバの柾目板を伐り出すため、何か村もの山から巨木を伐り出し納めるよう命じたと記されています(三戸南部家流鏑馬など記録する世襲の神官・佐々木家が書き継いだ『花厳院(かごんいん)文書』より)。