第3日曜日10月15日㈰は「清子の家」開館日清子の家の周りは稲刈りの終った田んぼも多くなってきました。この日は親子での見学が2組もあり、にぎやかな開館になりました!また、清子の家の隣、改修中の古民家から古い食器と本棚をいただきました。談話室改修後のシェアキッチン(カフェ)で使えるよう、ひたすら洗い、拭きました!昔のお宅は祝い事や集まりはご自宅で開くため、本当に沢山の食器を揃えていらっしゃる。写真には入りきらない数。高価であろう陶器や漆器も含まれており、ありがたく頂戴し、必死で洗いました(笑)定食をしている理事長の横田は、「この器には煮物を合わせて…」とウキウキで作業。本棚には、ご寄贈などで少しずつ集めている清子本を収めて、気軽に読んでいただけるようにしたいと思います。
10月9日に若松英輔さんを「清子の家」にお迎えしての「詩を書く人のための講座」を開催しました。若松さんからは、好きな永瀬作品の紹介とともに、詩を「書くことの本質」の問いがなげかけられました。「本当のことは言葉にならない」けれど「どうしても言葉にならないものを他者と分かち合う」「書きえないものを他者と見つめ合いたい」から詩を書くと。「書く」ことはしていない方には「詩を書き写す」ことで「読む」とは全く違う味わいがある、とのおすすめも。若松さんからは様々な視座が提供され、丁寧な質疑応答もありました。受講の方々それぞれに染みこむポイントがあったようです。資料には「清子の家」原稿用紙を入れましたので、受講のみなさまからの「第七回永瀬清子現代詩賞」への作品応募をお待ちしています!講座終了後には、地元赤磐市熊山の黒豆菓子などを食べながら、生前の永瀬清子のドキュメンタリー映像を見ていただきました。今回の講座は記録撮影をお許しいただいたので、このプロジェクトにより改修工事が終了した来年には「清子の家」でご覧いただけるようにいたします。ぜひ、プロジェクトへのご支援と拡散をお願いいたします。m(__)m
赤と白の彼岸花が彩る「清子の家」に10月5日、栃木県から!見学のお客様がお一人いらっしゃいました。この方は、10月9日に清子の家で開催する「詩を書く人のための講座」の講師である若松英輔さんのお話から永瀬清子作品を知り、ファンになってくださったとのこと。清子さんの生前映像や写詩の部屋、釜屋(台所)など「詩作の現場」を大変喜んで見てくださいました。遠方からのご来場、本当にありがとうございました。「清子の家」は今、清子さんの月命日17日と第3日曜日の月2回のみの定期開館ですが、それ以外の日でもご予約いただければ、スタッフの対応ができる限り開館しています。10月の定期開館は15日㈰と17日㈫。11月からは改修工事に入るため、再オープンの2月まで休館になります。しばらく見えなくなってしまうので、見学希望の方はご相談ください。保存会ホームページ⇒ 問い合わせ 電話の場合は 070-3783-021710月21日㈯18:00~開催の 夜の詩作講座「午前2時の手帖」(⇐案内ページ) 講師:斎藤恵子さん(岡山県詩人協会)はまだ予約受付中。「第七回永瀬清子現代詩賞」へのご応募を検討中の方にお勧めです!
永瀨清子生家の浴室棟は「棟」と呼ぶ、つまり母屋からも離れからも独立した小さな小屋で中庭に面して建てられています。面積も些少で独立しているという理由で登記簿謄本にもその存在は記載されておりません。先のファイナル改修では資金が尽きてしまい、今日まで骸を晒したまま在りました。1.32メートル×2.51メートル 柱は6センチ角と実に華奢、洗い場のタイル張り蒼いアラベスク模様、引き違いの中連窓が2つ並んでおり、上部には回転式の湿気抜きの窓が3ヶ所設けられています。すっかり錆び付いてしまった風呂釜に入ると中庭があたかもひとつの桃源郷のように眺められ、それはそれは風流な設えなのです。この風呂は年代的に見て永瀨清子の祖父の源作の代に築かれたものに違いありません。源作おじいさんは呉服屋として山陰にまで販路を持ち、手広く商売をしていました。襖の下張りの反古紙の書付を解読した古文書の先生は「こりゃ早死にしなければ天満屋(当地で一番の百貨店)より大店だったかもしれないね」と。そんな祖先の羽振りよき時代の風呂に永瀨清子はどんな気持ちで入っていたのか、それを知る資料は見つかっていません。でも薪をくべ、風呂を焚く時「私の詩よ、あなたの中でも薪となれ」と呪文を唱えていたに違いないと思うのです。人が命を燃やすための燃料になるような詩を身を削ってでも書きたいという永瀨の詩人としての鬼気迫る矜持を皆さまのお力をお借りして、五右衛門風呂と共に甦らせたいと切望しております。どうかご支援お願いいたします。NPO法人永瀨清子生家保存会 理事長 横田都志子