先週、5年ぶりくらいに風邪をひき、回復するのに5日もかかってしまいました。まだ、本調子ではありませんが、予告していた写真展のご案内をさせていただきます。
掲載したDMのデザインは、いつもお願いしているデザイナーのKei ZENIZAWAさんによるものです。文字部分の説明をすると、「HOMMAGE a P.J.R 2024」は、私のバラの写真展における共通タイトル様式なのですが、P.J.Rとは、ナポレオンの妻であるジョゼフィーヌに仕え、マルメゾン宮殿の庭にコレクションされたバラの細密画を描いた画家、ピエール・ジョゼフ・ルデューテのことです。つまり、タイトルの意味は「ルデューテを讃えて…」くらいのニュアンスだと思ってください。バラの写真作品は、植物細密画を写真に置き換えた表現であり、私自身、彼の画集「バラ図譜」を持っていて、それを超えることを目標にしています。由来はそんなところにあり、あとは開催年を添えてタイトルにしています。ただ、今回は、special exhibitionです。それは、書道愛好家の Kazue SATO さんとのコラボ展だからです。
写真家の渡部さとるさんが、写真集や写真展ではパッケージが大事…とおっしゃられていますが、その意味はとてもよくわかります。私たちは、いつも最初からこういう写真を撮ろうと決めて撮っているわけではありません。特にスナップシューターはそうでしょう。心が動いてシャッターを切るだけです。そうやって撮りためた写真を眺めながら、閃いたテーマで括っていく、ピックアップすることで、パッケージができる。
バラの写真も同様です。当然、バラを撮ることは決まっていますが、系統立てて撮ってはいません。そのとき撮りたいバラや状態の良いバラを撮っているだけです。したがって、バラの写真展を毎年開催するとき、それは、「新作写真展」となります。ところが、制作してきた作品におけるバラの品種が130点に達する現在、パッケージを変えることが可能になってきたわけです。
「赤いバラだけで写真展をやってみよう」
素敵だと思いませんか?赤いバラだけの写真展。新作写真展だけをやっていると、旧作を公開するチャンスがなくなりますが、パッケージを変えれば、過去の写真展で好評だった作品も再び公開できます。そして、赤いバラだけの写真展だからこそのメインタイトル「ばらがさいた」
もちろん、マイク真木さんの、あの有名な歌詞から採らせていただきました。この構想は昨年夏くらいには生まれていたのですが、あるとき、書道愛好家の友人にこの話をしたら、「その歌詞書いたことあります」と言うではありませんか!作品も見せていただき、とても素晴らしかったので、「ぜひ写真展で飾らせてください」とお願いしました。その後、あれこれ考えているうちに、歌だけでなく詩や俳句、古今東西さまざまな文学作品に登場するバラに関する記述のいくつかを書にしたためてもらい、本格的なコラボ展にした方が絶対に面白いと思い、昨年秋くらいに改めてそのようにお願いしたところ、快諾していただき、今回のコラボ展になった次第です。
ちなみに、DMの題字「ばらがさいた」 も、Kazue SATOさんによる書を私がスキャンして、バラの作品をつくるときと全く同じ手法、つまり、手作業で輪郭をなぞって丁寧に切り出しました。微妙な墨の流れや擦れの何一つおろそかにはしていません。フォトショップの自動選択でも通常倍率で見た目の違いがわからない程度の仕上がりになるとは思いますが、そういった手間の部分に込める「思い」が最後の決め手になると信じるからです。
写真展、開催地は長野市ですが、良かったらぜひいらしてください。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。(現物のDMはGW明けくらいから発送します)