【クラウドファンディング 雑穀栽培を次世代へ 横浜出身・冨澤さん、ネットで資金募集】
毎日新聞神奈川版/4月20日付
山梨で農園「地元の雇用にも」
山村の伝統食・雑穀を守り、次世代に引き継ごうと、山梨県上野原市西原で「やまはた農園」を営む冨澤太郎さん(32)が、インターネットを介して資金を調達するクラウドファンディング「雑穀トラスト・お山の雑穀応援団」を始めた。雑穀栽培を巡るクラウドファンディングは珍しいといい、雑穀の種まきが始まる5月6日までに50万円を目標にしている。【高橋和夫】
冨澤さんは横浜市出身。農村都市交流に参加したのがきっかけで2013年に東京都渋谷区から上野原に移住した。翌年4月から農地約50アールを借り、雑穀栽培に習熟した地元の中川智さん(80)に教わりながらキビ、タカキビ、アワ、シコクビエなどの雑穀づくりを始めた。
雑穀栽培は傾斜地で耕作地も狭く、機械化ができず非効率で手間がかかるため、採算が合わないのが悩みだった。そこで冨澤さんは、山梨県東部から相模原市北部にまたがる地域で「雑穀街道」づくりを提唱する木俣美樹男・東京学芸大名誉教授や古民家民宿で雑穀料理を提供する女性らと連携し、昨年から「雑穀の村復活プロジェクト」をスタートした。こうした取り組みを進める中、「資金があれば耕作の担い手を集めやすく、地元の雇用にもつながる」と思い立ち、「雑穀トラスト」会員の募集を始めた。
資金提供額はコースに応じて異なり、一口5000円~2万5000円。リターンは栽培した雑穀。今年はモチアワ、モチキビ、タカキビの3種を農薬と化学肥料を使わず栽培する予定で、3種各160グラムセットの宅配などのリターンがある。また額に応じて古民家民宿への宿泊、耕作や雑穀調理のワークショップ参加などがある。
冨澤さんは「消えかかっている雑穀を受け継ぐために始めた。西原で増え続ける耕作放棄地の活用につなげたい」と話している。問い合わせはEメール(saihara.trust@gmail.com)。