睡眠環境と一概に言いますが、具体的には、寝室の環境と、寝床内の環境が相まって構成されています。
寝室環境の三大要素は温湿度、音、光になります。今回は寝室・寝床どちらにも関係する、温度について取り上げたいと思います。
下の図は私たちの一日の深部体温(皮膚の温度ではなく、心臓や脳などの身体の深部の温度) のサイクルになります。
私たちの体温は一日中一定ではなく、1日の中でサイクルがあります(概日リズム)。日中は、交感神経が優位になり、深部体温や血圧は上がり、覚醒度が上昇、活動が向上します。
夕方から夜にかけてが最も高く、就寝前の時間になると、深部体温を下げ、覚醒度は低下し、眠る準備をします。眠る頃になると副交感神経が優位になり、体温は急激に低下し、それに伴い眠りにつきやすくなります。
体温を下げるためには手足の末梢の血管が拡張し(手足は表面積が広いので、熱放散しやすい)、血流を増加させ、熱放散を起こします。その時手足の温度は少し上昇します。
朝方体温は最低温度に達し、起床に向け、また上昇し始めます。
このような体温変化が毎日きちんと発生していれば寝つきがよくなって深い眠りを得やすくなります。逆に、深部体温の正常な低下が阻害されると、なかなか眠りにつけなかったり、眠りが浅くなったりしてしまいます。
冬は手足が冷えているので、末梢の血管拡張がおこりにくく、夏は手足の皮膚温が上昇していても、環境温との差が少なく熱放散がしづらい環境にあります。睡眠の質を上げるため、睡眠環境を調整することが重要となります。
次回以降、夏と冬の温度に関する睡眠環境についてお話しますので、更新されましたら読んでみてください。