難民状況に置かれた子どもたちへの奨学金を募っている、当クラウドファンディング。
現在寄付総額が計470,000円となりました!(12月8日正午現在) 応援してくださった51名のみなさまに、心よりお礼申し上げます。
あと【14日】で【53人】の方からの応援が必要です! 私たちだけでは届かない方々まで情報が広がるよう、SNSなどでご紹介いただけるのも大変ありがたいです。引き続き、ご協力をどうぞよろしくお願いします!
今回の活動報告では、当スクールで教科学習支援と多文化コーディネートを担当する渡部陽子さんが、教室での子どもたちの姿をお伝えします。
*写真はスクール内のイメージです。本文とは直接関係ありません。
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難民状況にある子ども・若者の学びを考える
今年度、当スクールではウクライナ、アフガニスタンなどから来日した、約30名の難民状況にある子ども・若者が学んでいます。今回はそうした子どもたちの福生教室(東京都)でのようすをご紹介します。
授業中は、難民状況に置かれた子どもと、海外にルーツを持つ他の子どもとのようすに大きな違いはなく、日本語や教科を指導するスタッフもほぼ同じように対応しています。
生活環境を見ると、来日後も両親と暮らしている子どもがいる一方で、父親と離れて母親のみと同居、あるいは両親と離れ祖母と暮らしているといったケースもあります。家族や友達と楽しく過ごしていた母国での日常や学校生活を突然奪われ、何の心の準備もないまま日本に来ています。予想していた以上に日本での生活が長期化し、ストレスを抱えている子どもも多いようです。
日本の小中学校に通ったり、日本での高校進学を目指したりしている子どももいれば、母国のオンライン授業や試験を受け続けながら、日本語を勉強している子どももいます。
両親と離れ、祖母と避難してきた中3の生徒は、日本語や教科の勉強にあまり集中できず、授業中もよくふざけていました。今年の夏、出身国に一時帰国して日本に戻ってくると、日本の高校に進学するという気持ちが固まり、真剣な表情で授業に取り組むようになりました。
早く母国の状況が落ち着いていたなら、家族や友達と故郷で楽しく過ごしたかっただろう生徒が決心した進路。日本で希望の高校に進学できるようサポートして、少しでも楽しく充実した高校生活を送ってほしいと願っています。
母国の悲しいニュースを聞いたり、家族や友だちとの楽しかった日々を思い出したりして、授業中に落ち込んでしまう子どももいます。
「外」という漢字を勉強した時、カタカナの「タト」と読み、母語で「お父さん」の意味だったため、母国に残っているお父さんを思い出して悲しい気持ちになった生徒もいました。
七夕の行事で生徒たちに短冊に願いごとを書いてもらった時には、他の生徒たちが希望にあふれた言葉を書く中で、難民状況に置かれた生徒が「ぼこくのせんそうが はやくおわれば いいのに」と書いているのを見て、胸が苦しくなりました。
日本語の授業で「~したいです」という文型を勉強した時は、難民状況に置かれている生徒が「国に帰りたいです」という文を発表すると、他の生徒たちから「(わたしも、ぼくも)国に帰りたいです」という声が上がりました。
当スクールの難民状況ではない生徒たちの中にも、「家族と離れて暮らしている」、「自分の希望ではなく日本に来ることになってしまった」など、さまざまな事情を抱える子どもが多くいます。
難民状況に置かれた生徒の悲しい気持ちを「そうだよね」と受け止めてくれる仲間がまわりにいて、自分と似たような気持ちの子どもが他にもいると気づく。そして、多様な国々から来た子どもたちと、つらい気持ちを日本語で分かち合える。そういうことがとても大切だと思っています。
当スクールでは出身国が同じ生徒同士が母語を使って親しくなるようすも見られますが、それぞれ違う出身国の生徒たちも、英語や習ったばかりの日本語でとても仲良く過ごしています。
難民状況に置かれた生徒の中には、過去に日本で数年間過ごし、来日して間もない他の子どもよりも日本語が得意な生徒もいます。
高校受験に向けた作文や面接の練習では、授業が終わった後も仲の良い生徒たちが数名、自主的に教室に残り、日本語が得意な生徒が他の生徒たちの作文に助言してあげたりしています。数学や英語が得意な生徒は苦手な生徒に教えるなど、お互いに助け合いながら勉強しています。
母語を思い切り使えることは、当スクールが生徒たちにとって心安らぐ場所となっている理由のひとつです。同時に、限定的でも日本語や英語を使いながら、多様な国にルーツをもつ子どもたち同士が友情を深めることも、気持ちの安定につながっています。
母国でサッカーが好きだった子どもが、いま日本で暮らしている地域のサッカークラブで楽しんだり、空手が好きだった生徒が地域の空手教室で練習していたり。当スクールの外にも、難民状態にある子どもたちが楽しめる場所が増えてきました。
子どもたちが好きな活動を通して地域とのつながりが生まれ、難民状況に置かれた子どもたちの存在を多くの人が知り、身近に感じて興味や関心を持つことで、子どもたちの安心安全な居場所が広がってほしいと願っています。