
みなさん、おはようございます。
「山中にこもっての孤独な作業を、よくもまあ飽きずに続けられるものだなあ」
……そんなことを自問自答しながら、
日々、開拓地へと続く2kmの山中を歩いています。
GPSアプリを手に、黙々と配管作業に没頭する毎日です。
すべてはみなさんと約束した「農場の完全復活」のためですが、
正直に言えば、理由はそれだけではありません。
かつての私なら、これほど長く、緻密さが求められる孤独な作業に、
ここまで充足感を覚えることはなかったはずです。
私の世界から音が消え、「突発性難聴」という新しい日常が始まってから、
世界との繋がり方は一変しました。
耳に届くのは、絶え間ない蝉時雨や地鳴りのような終末音、
あるいは無機質な工場の稼働音。
1対1の会話であれば、唇の動きや表情を丹念に読み解くことで意思疎通は叶います。
しかし、複数人の輪に入れば、言葉は無秩序な音の渦となり、
透明な壁に隔てられたような孤独に飲み込まれてしまいます。
聞こえていないのに・・・空気を壊さないために・・・
「無理に相槌を打ってしまう」——
そんな自分への自己嫌悪と、誤解への恐怖に押しつぶされ、
一時は心を閉ざしたこともありました。
しかし、その「不自由さ」と引き換えに、
私は八百万の神さまから、「特別な贈り物」を授かったのだと感じています。
それが、「第3の感覚」ともいうべき、研ぎ澄まされた集中力です。
雑音が遮断された世界では、驚くほど意識が散りません。
この圧倒的な「没入感」こそが、
山中での配管という果てしない道のりを支える原動力。
思えば、この7年間の開拓作業を続けられたのも、
この静寂の中で手に入れた「一歩に魂を込める力」があったからでしょう。
耳が音を捉えるのをやめた代わりに、肌や目、そして魂の受容体が、
空間の密度や光の差し方、自然の微かなうつろいを敏感に察知するようになりました。
雷雨の気配を肌に撫でる風で悟り、黒パイプに触れれば、
水の確かな振動が指先から伝わってくる。

その微かな鼓動を頼りに、私は今日も黙々と歩を進めています。
この孤独で、けれど豊かな時間は、
音のない世界だからこそ出会えた「私だけの景色」。
不自由さも、新しく得た感性も、すべて含めて今の私。
そして、その歩みを信じて待って下さる
「みなさんの存在」が、私の何よりの「支え」です。
静寂の幕の向こう側に広がる、鮮やかで深遠な世界。
これからもその一歩一歩を大切に噛みしめながら、歩んでいこうと思います。
すべては、私たちの「農場の完全復活」という、輝かしい未来のために!
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。



