
みなさん、おはようございます!
いま私は、毎日泥だらけになりながらも、
鶏たち――愛おしい“子どもたち”にとって「ベストは何か?」
そればかりを考えています。
うちの子たちも165日齢を迎え、
産卵率も72%まで上がってきました。
私にもすっかり馴れてくれて、
頭や肩にバサッと甘えるように飛び乗ってくれるんです。
その確かな温もりと、命のずっしりとした重み。
毎日たくさんの幸せをもらっています。
ただ、現場でじっくりと向き合っているからこそ、
見えてきた課題もあります。
それは「卵黄のわずかな色味の個体差(現在4.7%)」や、
産卵時間帯の集中(ラッシュアワー)による「卵の割れ・汚れ」です。
これらをクリアし、さらなる品質向上を目指すため、
今回、思い切った管理の見直しを行うことにしました。
テーマは、「人間の都合ではなく、あえて手間をかける」。
1日の間に、子どもたちの顔を見る回数を増やすということです。
思い返せば、2002年に以前の農場を立ち上げたときは、
500羽からのスタートでした。
当時は、鶏さんたちとの距離がとても近く、
一羽一羽の顔が見えていました。
けれど、少しずつ羽数が増えるにつれ、いつの間にか
「作業効率」ばかりを重視するようになっていきました。
7000羽を飼育する規模になる頃には、数字だけを追い求めるようになり、
現場の鶏たちとの距離がどんどん離れてしまったのです。
効率を求め、生命ではなく「数字」にとらわれていたあの頃。
「いかに手間を省き、いかに多く産ませるか」という
人間の都合ばかりを押し付けてしまっていました。
現場の鶏たちとの距離が遠のいた結果、野生動物の気配さえ見逃してしまい……
大切な農場を失うという、身を切られるような痛みを経験しました。
すべてを失ってしまった経験からの、痛烈な反省。
あの時の絶望と後悔は、今でも胸の奥に、真っ黒な火傷のように焼き付いています。
農場を失ってからの7年間。
泥まみれになってツルハシを振り下ろし、山を開拓してきた日々。
生命を守れなかった過去の自分に向けた、
ずっとずっと消えることのない「贖罪」でもありました。
生命に報いるために、私はもう二度とごまかさない。妥協しない。
生命に触れ、その温もりと声なき声に必死で耳を澄ませること。
生命に対する畏敬の念。
森の先人たちがそうしてきたように、私も自然の理(ことわり)に従おうと決めました。
それこそが、以前の私に決定的に足りなかった「本質」だったのです。
だからこそ、私はもう絶対に忘れません。
子どもたちは、けっして「たまごを産む機械」ではありません。
毎日を全力で生き、その生命(いのち)を力強く輝かせている、
愛おしい生き物です。
うれしい時は楽しそうに走り回り、
気持ちのいい時は羽をいっぱいに広げて森の土を浴びる。
彼女たちが生命を存分に輝かせ、
健やかに生きてくれた結果として分けてもらうのが、
たまごという「生命のおすそ分け」なのです。
だからこそ、私はただの経営者ではなく、「生命を育む」生産者として、
この「しゅりの森自然農園」を再出発しました。
以前の鶏さんたちは、よく言えば放任主義でした。
それに比べると、いまの子どもたちは、ずいぶん「過保護」かもしれません。
それでもいい。
私はこれくらいでちょうどいいのだと思っています。
人間の都合で動くのではなく、子どもたちのもっとも近くで、
その声なき声に耳を澄まし続けると決めました。
だからこそ、これからの酷暑を見据えた給餌も、
以前のような「効率重視」のやり方をきっぱりと手放します。
あえて手間のかかる、あらたなサイクルへと移行します。
◆朝のごはん(日の出の10分前に)
最も食欲があり、涼しい時間帯に、
メインのエネルギーと栄養をしっかり摂取させます。
今日の三原村の日の出は、5時8分。
つまり、4時58分に朝ごはんの時間です。
鶏たちがエサに夢中になっているその隙に1回目の集卵を行うことで、
産卵箱を常に清潔に保ち、集卵のストレス解消と、
卵の割れや汚れを未然に防ぎます。
◆午後のおやつ&デザート(14時)
午後14時に2回目の給餌を行います。
ここでは「季節の葉っぱ」という小さなデザートを添えて。
森の恵みであるこのおやつが、鶏たちの暑さのストレスを和らげ、
お腹の調子を優しく整えてくれます。
そしてこのタイミングで2回目の集卵を行い、
いつでも新鮮で綺麗な状態を守り抜きます。
この「朝のごはん」と「午後のおやつ&デザート」の自然なルーティンを徹底することで、
群全体の栄養摂取が均一になり、卵黄の個体差も、かならず解消されていきます。
子どもたちが、いつでもストレスフリーで、健やかに過ごせる環境をつくること。
そのためならば、非効率で、手がかかって、私が泥だらけになったってかまわない。
いいと思ったことはすべてやる!
今までの経験なんか、切り捨てたっていい。
私がこの両手で、彼女たちの輝く生命を守り抜きます。
それが、ひとくち食べた瞬間に違いがわかる、生命力に満ちあふれた
「最高品質のたまご」をお届けすることに直結すると信じています。
これからも、子どもたちの健やかな生きる姿を、
そして「しゅりの森自然農園」が歩むこの不器用な道を、
どうか温かく見守っていただければ幸いです!
応援、よろしくお願いいたします!
しゅりの森自然農園
生産者 藤田 守



