7月末日。お隣さんから連絡があり。
「明後日から建物の緊急公費解体が始まります」とのこと。
輪島市による緊急公費解体の順番が突然まわってきました。
お隣さんは公費解体の受付開始となった4月1日の初日に輪島市役所へ行き申請し受理されていました。いつ解体になるのか、緊急となるのかどうかは行政判断の為、私たちにも所有者にも直前までわかりません。隣接している建物に寄りかかったり倒れかけていたり、道路を塞いでいる、ライフライン工事の妨げになっているなど理由は様々です。
解体を待つ人が多い中、公費解体の順番も行政判断です。大きな一棟の建物が突き刺さり寄りかかっていた7カ月。この日を待ちわびていました。
丸で囲んであるところは以前の活動報告にも書きましたが、地元工務店の大工さんに応急処置してもらった箇所です。瓦礫が中まで突っ込んで穴があいていましたが、きれいに板でふさいでくれました。このおかげでなんとか中でも安心して製造を開始することができました。
解体は屋根の瓦下ろしから始まります。炎天下の中、手作業で建物も大きく瓦の枚数も多いので大変そうです。結局1日以上瓦下ろしです。
輪島市では街中のいたるところに仮設住宅が建設されており、学校の運動場や市の所有する駐車場、公園の芝生など使えそうなスペースは全て仮設住宅となりました。それでも場所が足りないようです。
災害ゴミ置き場も近くにありません。市街地から片道30分の場所にある瓦礫置き場までゴミがいっぱいになると持っていかないといけません。ダンプトラック4台分あっという間に溜まってしまい、ゴミを捨てている間作業が止まってしまっていました。そのうち2台ずつ交互に行くようになりました。
写真でもご覧いただけるように解体しながら細かく分別しています。
建設リサイクル法で次に土地を利用する際に変なものが埋まっていたとか汚染されていたとかの問題がないように分別して解体しなければならないそうです。
解体がはじまると揺れなどから箸の製造に影響がでるのではと休業も覚悟していましたが、「そんなに揺れないと思いますよ」との言葉通り震度1程度の揺れを時々感じるくらいでした。ただ、最後に地面のアスファルトをはがすときはかなり揺れるとのこと。
解体前にコーディネーターさんから隣接部分の工事は約1日半かかるので2日みておいてくださいと話がありました。いざ解体を始めて見ると中の荷物や災害ごみも多く、作戦を変更したり、ゴミ置き場との距離、そして当然岩多箸店への配慮もしつつ・・・思ったよりなかなか進まず。
仕事しているとバリーン!ガシャーン!
解体に伴いガラスが割れました。すみませんと謝りにきてくれましたがヒヤリ。
いつもお世話になっている地元工務店さんに無理いって応急処置してもらいました。前にも来てくれたベテラン大工さんです。
休みの日にたまたま社長が工場にいるとまたバリーン!!!
すぐ謝りに来てくれましたが大事な機械もあるところで、なにより休みの日だったのでみなさんにケガなくよかったです。解体に伴ってこういうことも起きてしまいますね。またここもなんとかしてもらわないといけません・・・。
大部分が取り除かれました。
応急処置の全体が見ることができます。
真ん中に写るエアコン室外機が潰れていますね。ここは唯一漏電の修理ができていない部屋です。危険な為、職人さんはこの部屋から別の部屋に移り作業しています。
ここで県外から来てくださっていた解体のみなさんもお盆休みになりました。ずっと市内漆器店の駐車場スペースを借りてキャンピングカーで寝泊まりしていました。大変な生活。本当にありがたい。
災害ごみ置き場もお盆休みでゴミの受け入れができなくなるので作業もできないそうです。
そして気が付くと瓦礫に埋まっていた外の蛇口が!水がきているかどうかはまだわかりませんが見た目は無事そう・・・!
帰る実家もなければ、手を合わせる仏壇もない。墓は落ち、壊れ、戻すのも10万円以上。お金が用意できても順番待ち。家族にも知り合いにもそんな人がいっぱいいます。
お正月の能登半島地震後初めてのお盆。今年のお盆はなんもできんねと話しながらも、スーパーは賑わい、車も多く少し街には活気が。
仮設住宅に県内外から帰省した家族。
墓石が落ちてブルーシートのかかったお墓にも花が。
あっという間という気持ちと。やっとここまできたという気持ちです。