佐藤さんとの出会いは今から遡ること20年前。2004年の1月8日です。
なぜ日付まで覚えているのかというと、妻の日記が残っていたからです。
当時僕たちは大学生で、冬休みを利用して旅をした後に掛川へ帰省してきたところでした。
撮影したフィルムを福田カメラさんに現像に出して、できあがるまでの時間を待つため近くをブラついていたところ、佐藤さんに出会います。
きっかけは自転車です。
建物の前に停まっていたロードバイクがカッコ良かったので、2人で「カッコいいね」「ここ何の事務所なんだろう」と言い合っていたところ、扉がガラリと開き、出てきたのが佐藤さんでした。
「どうしたの。入んなよ」
有無を言わさず僕たちを事務所に招き入れた佐藤さんは、優しげにお茶とお菓子を出してくれました。
そこでの話は断片的にしか覚えていないのですが、「この会社はまちづくり領域の仕事をしているらしい」「佐藤さんは同じ高校の先輩らしい」ということがわかります。
ただ強く印象に残っているのは、コンセプトという会社がセンスの良い尖った会社であることと、佐藤さんがおもしろい人(かつおもしろいことが好きな人)であるということです。
なんとなく佐藤さんも僕たちに興味を持ってくれたみたいで「海外にバックパッカーで行ってきたんだ。へーいいじゃん」みたいな感じだったように記憶しています。
そこから15年後。
2018年に掛川へUターンしてきた僕は、しばらく経ってから「そういえば…」と思い立ち、コンセプトを訪ねます。アポなしで事務所を訪れると、そこには佐藤さんがいました。
「僕のこと覚えていますか?」
僕が女性だったらちょっとした修羅場がはじまるような入り方をしてしまい、案の定「え!?ちょ…待って…え、何それやめてよ」と動揺する佐藤さん。でもどこかおもしろそうに笑っていて、経緯を説明するとようやく思い出してくれました。
そしてそこからさらに5年。
今僕はポートカケガワを通してまちづくりに取り組もうとしています。
大学生だったときに佐藤さんに出会い、「おもしろそうなことやっている会社だな」と、あのとき感じた感情。その感情の伏線を今まさに回収しようとしているのだと思うと、なんだか胸が熱くなります。
とはいえ、佐藤さんと僕では雲泥の差があるのは当然のこと。
佐藤さんの過去の取り組みを知り、「何年も前にこんなことやってたんだ…!」と、その考えの深さや鋭さに打ちひしがれることもしばしばです。
でも尊敬できる先輩が身近にいて、さらには相談にも乗ってくれる、そんな恵まれた環境はありません。
これからも、定期的に美味しいお茶とお菓子をいただきに伺いたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
以下、今回佐藤さんより頂いた応援メッセージとなります。
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日本の東西中心は東経138度。その中心線が南北に走る静岡県掛川市は、江戸時代から日本の東西の文化・経済・生活が重なりながら切り替わっています。東西を両睨み出来る独特の立地と、異なる感性や知恵を持つ人びとの豊かな交り。明治以後は、新しい経済思想である報徳運動を地方に広める役割も担いました。こうした地勢や背景が、特有の寛容な気質を育み、ならではの知恵を生み、個性ある技や空間を創り、まちづくりに脈々と息づいています。ポートカケガワの機能は、このように東西の知を交え、地の知を宿すことでしょう。長濱裕作という気質と才能が、その役割を果たしていきます。ご期待とともに、ぜひ寛容なるご支援をお願いします。
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