- 今回は「刀」のベース素材に何を使うべきか決めた時の話について書こうと思います。
これについてはけっこう悩みましたし、色々調べてテストしてきました。
刀はリカバリー成分を配合していますが、主目的はエネルギー補給です。
そうなった時に何を持ってエネルギー補給とするか?と考えたのですが、その時に考えたのがカロリーでした。
「カロリーの高いジェルが正義だ!」と思っていたんです。
マルトデキストリンや果糖などの低GI素材を組み合わせればカロリーの高いジェルは出来上がりますし、
その方がコスト的にも安価で済むというのも事実です。
しかしその処方の組み方には私は納得しておらず、
「果たしてそれがエネルギー補給として正解なのか?」
と思うようになりました。
原価が高く、利益が少なくなったとしても納得のいくジェルに仕上げるべきだと思ったのです。
というのも、日々トレーニング時にGARMINを見ると100kcalって意外とすぐに消費してしまうんですよね。
では本当にエネルギー補給に効果のあるジェルとはどんなものか?と考えた時にたどり着いたのが
「体脂肪の使用を促す効果のあるジェル」
ということでした。
脂肪は糖質と比較してかなりエネルギー効率が高く、1gあたり9Kcalのエネルギーをひねり出すことができるので、これをマラソンで使用しない手はありません。
ただ、体脂肪を使う事は代謝と密接に関係しており、なかなかスムーズに使うことができません。
そこで注目したのが脂肪を消費しやすくする成分の中鎖脂肪酸油をジェルに使うという事です。
特定保健用食品などで「脂肪を消費しやすくする」と書かれた商品を見たことのある方は多いのではないでしょうか?アレです。
ジェルを試作する中で、最初はとにかくカロリーを追いかけていた私でしたが、途中からこの「体脂肪を如何に使うか?」の考え方にシフトしていきました。
そうした流れで完成したのが「刀」というわけです。
そもそも中鎖脂肪酸の効果を発見したのは、日々楽しんでいるコーヒータイムでした。
コーヒーが好きで、国内の有名な焙煎所でローストしたブレンドを取り寄せて自宅のグラインダーで挽いて淹れているのですが、
朝練前にコーヒーを飲んだ時にスタミナが切れにくいことに気が付いたのです。
コーヒーにそんな効果あるのか?と思いましたが、しばらくするとあることに気が付きました。
中鎖脂肪酸を入れている時に粘りのあるトレーニングが出来ていたのです。
色々と調べると中鎖脂肪酸には脂質燃焼を促したり、高強度下の持久力を向上させる働きがあることが分かりました。
コーヒーに含まれるカフェインにも血中の遊離脂肪酸を増やす働きがあるという報告もあります。
つまりコーヒーか、コーヒーに入れている中鎖脂肪酸のどちらかが粘りの走りにつながっているわけですが、
中鎖脂肪酸を単体で飲んだ時にエネルギー切れが起きにくかったので確信しました。
これはジェルに使うべきだと思い、SAMURAIGELの刀に配合したというわけです。
中鎖脂肪酸をそのまま飲むと少し口当たり的にきついんですが、SAMURAI GELはテクスチャー的にも味的にもきつくならないようにしています。
こういう時に食品の物性って重要だなと勉強になりましたね。
ここは食品会社でテクスチャーとおいしさを追及してきてよかったと感じます。