もうすぐ、10月31日にクラウドファンディングが終了します。
今回の「存在しない景勝地」プロジェクトは、擬態プロジェクトの中ではかなり実験的な領域に位置付けているため、これまでとは異なりちょっと難解なものに感じるかもしれません。。。なので、既存の擬態作品にはないこのプロジェクトの特徴をまとめてみました。
岩肌の写真から海の景色を刷る
シルクスクリーンやリソグラフのように、穴を開けたフィルムの版から、インクを通すことで刷る孔版印刷の版画作品であることがこれまでと大きく異なります。岩肌の写真から孔版印刷の版を製版し、青と黒の2色刷りを行うと、そこに海の景色が浮かび上がるプロジェクトです。
高性能印刷機でデジタルデータを写実的に再現するこれまでの手法も行いますが、孔版印刷を使うことで風合いや身体性のあるプリント表現を目指しています。(注:アートブックはコストの関係でデジタル印刷で行います)
鮮やかな色
孔版印刷の色の鮮やかさも一つの特徴で、普通の印刷だったら出ないような、鮮やかで深みのある青を目指しています。印刷はプリンターと同様4色のインクを混ぜて表現するため、どうしてもくすんでしまいますが、孔版印刷は一つ一つのインクが特色であるため、より色鮮やかな表現が可能です。
また、背景が黒だと色が鮮やかに見える彩度対比の効果を取り入れ、青インクと黒インクのドットを交互に交差させて鮮やかに見える効果を狙っています。
ジェネラティブアートのようなドリフトプリント
今回は実際の視覚が持つ中心視と周辺視を表現に取り入れています。リソグラフのプリントで2色刷りすると、青と黒のインクがずれて、ピントの合う中心視と、ぼやけて見える周辺視が生まれてきます。しかも、ずれ方がそれぞれ異なるため、同じデータでも一枚一枚が異なる見え方のプリントが生まれます。このプリントを横ずれに準えてドリフトプリント(Drift Print)と名付けました。
時間軸のある表現
ドリフトプリントで生まれたプリントたちを並べてみると、その表現に時間の連続性が生まれることがわかりました。例えば、映像のフィルムや連写した写真を見た時の感覚にも似ています。この辺りはまだ実験が足りないので、これから進めていくところです。
引き続き、応援どうぞよろしくお願いいたします!