今回は、今年度の校内弁論大会で高等部のアンサンブル部員が発表したものをご紹介します。
まずは、前編です。お読みください。
「私にとって『音楽』とは」
私が音楽と出会ったのは、小学1年生の頃でした。母と兄が地域の太鼓の保存会に所属しており、その太鼓の演奏を聴いたことがきっかけです。テレビなどで見る映像や音とは違い、音楽を耳や心、振動から体全体で感じる楽しさ、音そのものを楽しむ感覚、そんな音楽の魅力に一気に引きつけられました。
それから私は小学3年生になり、地域のピアノ教室に通いました。初めの頃は、ドレミも分からず、鍵盤の配置が分かりませんでした。位置が分からないことには演奏はできません。そんなとき、先生から「黒い鍵盤が2本あったらその左下がドだよ。」と教えていただきました。そのアドバイスを元に練習を重ねていくと、どんどんどんどんピアノを弾くことが楽しくなり、音楽に夢中になっていきました。集中して何時間も繰り返し練習したのを覚えています。今では、88鍵盤どこでも分かるようになりました。
小学4年生になってからは、音楽部に入部しました。鉄琴や木琴、ドラムなどいろんな楽器を演奏しました。初めは指で直接触るピアノとは違い、バチを使って演奏する打楽器は、なかなか叩きたい場所にバチを当てることが難しく苦労しました。鍵盤にバチを沿わせながら、鍵盤と鍵盤の間の段差を確認して叩きたいけん盤の真ん中を探りながら練習しました。周りの人より時間がかかってしまうので、みんなが休憩している時間も必死に練習を続けました。時間をかけて練習をしていくと、できることが少しずつ増えていることを実感したときは、とても嬉しく、「練習して良かった、次は他のことにも挑戦してみよう。」という前向きな気持ちになりました。地域の祭りに参加したり、小学校の合同演奏会に出たり様々なステージに立って演奏することができました。音楽は私にとって一番の楽しみであり、生活に彩りを与えてくれました。
中学からは盲学校に入学し、「アンサンブル」との出会いがありました。初めて盲学校のアンサンブル部を見た時、誰も楽譜を見ていないこと、指揮者がいないことにとても驚きました。少ない人数でも迫力のある演奏ができる、「アンサンブル」に心躍らされました。私は迷うことなく、アンサンブル部に入部しました。アンサンブル部での活動は毎日が刺激的でした。
…………後編に続く…………