「仲間と泊まる学校 ちょうなん西小」は、2017年の春まで、長南町立西小学校でした。房総半島のちょうど真ん中に位置する長南町は、今でも野生動物が姿を現したり、初夏にはホタル観測ができるなど、里山の風景が残る緑豊かな町です。自然と調和する環境に包まれた敷地の中の丘の上に、かつて「わんぱくランド」と名付けられた、手作り遊具が揃った子どもたちの遊び場がありました。木で組んだシーソーや、メリーゴーランド気分を味わえる木馬など、子どもたちを夢中にさせた遊具はすべて、父兄や地域の方たちが手作りしたものだったそうです。当然、どれもが一点もののオリジナル。自分たちの学校にしかない手作り遊具のワンダーランドは、児童たちの自慢の空間でした。
それから30数年の時を経た現在。児童数の減少や、公園遊具の安全基準への適応、小学校の閉校など、時代の流れとともに「わんぱくランド」は草木に覆われ、自然に還って行きました。
旧西小学校を「ちょうなん西小」として、新たに活用しようと計画を立ち上げた際、私たちは「わんぱくランド」のエピソードに出会いました。生まれ変わったかつての「西小学校」が、宿泊者だけでなく、再び地域の子どもたちの集いの場となるように、いつか、私たちの手で「わんぱくランドのような空間を再生したい―」そう願い続けて、もうすぐ「ちょうなん西小」は3回目の夏を迎えようとしています。
※写真 左側・プール上がかつてのわんぱくランド