大町の未来を考える会 代表の伊藤と言います。
この度は大勢の皆さんからプロジェクトのご支援をいただき、本当にありがとうございます! 皆さんの大町を想う気持ちが伝わり、とても嬉しいです。
また、立ち上がってくれたアーティストたちに感謝し、心強く感じています。
今回のプロジェクトにあたり、自身について少しお話させてください。
私は大町市で生まれ育ちました。
小さな時から外遊びが大好きで田んぼの水路でドジョウを捕まえたり、木崎湖で泳いだり、自然の中を友達と駆け巡っていた子供時代でした。
今では遊び方も大人になって湖でSUPしたりになりましたが、仕事はアウトドアと日常が自然の中にあることに変わりありません。
ここには雄大な北アルプスがあり、田園に揺れる稲穂や至る所で輝く水面など四季折々の美しい風景が見れる、そんな自然豊かな大町。
また、穏やかで暮らしやすい住環境もあります。
ずっと大町にいて、これからもいたいと思うのは、大町が最高だと思い、大好きだからです。この街で家族と暮らしていることが大きな喜びです。
その環境に魅せられた移住者の仲間も増えてきました。
また遊びにくるなど来訪する皆さんも、訪れた際には同じように感じているかと思います。
しかし、その素晴らしい環境への危機感を感じたのは7年ほど前でした。
50年ほど前から検討されていたという松糸道路という計画の大町区間の検討が再び始まりました。市内に新しい道路、およそ高さ6m、幅30mほどの盛土道路を作るというのです。そしてその道は市内を抜けた後は木崎湖沿いを通り白馬へと向かう計画です。
市内はもちろん、木崎湖など仁科三湖にも関わることを知りました。
道路建設によって大町の美しさや暮らしやすさが損なわれるのではないか? そんな不安が募りました。
それから仲間たちと様々な活動を始めました。
事業主体の長野県が開催する説明会に参加するのはもちろん、市民参加による勉強会やワークショップ。時には参加者が70名を越える会もありました。
そして建設予定地のルートを実際に歩いて影響を考える見学会。
市長をはじめ、市議会議員との懇談会や長野県への要望も行いました。
10回以上を超える活動の中で様々なことが分かってきました。
松糸道路には賛否があること。作る前に考えなくてはならない課題がたくさんあることです。
新しい道を望む人からは街の発展のために必要な道、1分でも1秒でも早く来れる事が大事なんだと、そんな話を聞くことがありました。
一方では、大町の魅力を失ってしまう、先祖から受け継いだ大切な土地を失ってしまうと、不安を持ち反対する方もいます。
様々な市民の声を聞いてきました。
もうひとつ大きな課題は、まだ松糸道路自体のことや、その価値が分からないことです。
計画がよく分からない、本当に作るの? と言った声も多くあります。
移住者の方からはこう言われたこともあります。「こんな小さな街にこんなにたくさん道路があることに驚いた。」と。
道路はあると良いと思いがちですが、新しい道路の役割は果たして何でしょうか?
事業主体の県では色々と掲げていますが、腑に落ちることがありません。
推進されている市長や議員さんたちと懇談した時のことが印象的です。皆さん、道があると大町は発展する可能性があるとおっしゃるのですが、どんな発展か中身を聞くと答えられません。道路計画が街のビジョンに繋がっていないのです。
松糸道路計画が始まった約50年前は交通網が整備されておらず不便さもあり要望されたのかと思いますが、それから大町にはバイパスもでき、長野オリンピックの時にも道路ができて車での移動はかなりスムーズになりました。また人口減少もあって、今では渋滞することがなくなりました。
今回の松糸道路は、
大町市のど真ん中を割るように計画されている盛土道路。
一度道路を作ってしまえば、元に戻すことはできません。
果たして、大町の素晴らしさを損なってでも、必要な道なのか?
今までも長野県や大町市には計画の懸念については度々伝えてきましたが、本当に届いたとは言えないのが現実です。
今、大事なのは、大町の未来について真剣に考えることだと思います。
プロジェクトを通して、より大勢の方へ松糸道路について考える機会を作りたいです。
松糸道路ができたら大町はどうなっていくのか?
より具体的に話せるよう、イメージしやすいもの、話題に上がりやすいこと、を目指してプロジェクトをメンバーと進めています。
最後に私が活動を通して感じ、願っていること。
松糸道路のような行政の計画に市民が関わるのは大変なことです。
楽しい話ではないし、小さな街では同調圧力も強く、自由に発言することができません。
でも、今回のアートプロジェクトなら多くの人と関わることができ、楽しめる一面もあります。現状を変えるチャンスがあると思い、私自身ワクワクしています。
この大町の素晴らしさを守るには、もっと、もっと、大勢の方々の気づきと声が必要です。
そして自分たちの大切なものは、自分たちで守りたい!
皆さん、これからも一緒に行動していきましょう!