「Legacy3.11」展、発起人の平井有太です。
ミラノで49歳の朝を迎え、たまたま近所にあった、老舗50年の床屋さんで髪を切ってもらいました。
今回の展示は見方によっては無謀とはいえ、考えてみれば歳相応の挑戦という気もしています。
私は発起人および主催者として、脂汗がにじむレベルの借金をして今回の展示に臨んでいます。もちろん事前に企業などの協賛は欲しかったけれども、それは力不足でならなかった。しかしミラノに来て驚いたことがあります。
この、限りなくDIYで非営利の取り組みだからこそ、多くの方々に「よく来てくれた。ありがとう」「昨今なかなか見れない、意味のある展示だ」と鼓舞されるのです。
アメリカに強く影響を受けて育った自分は、ヨーロッパは何とも理屈くさい難敵に感じて、これまで率先して触れない傾向がありました。それは哲学的、政治的、市民の意識的にも先端地で、アートへのリテラシーも高いと思っていたからです。
でも来てみると、東京と同じように悪政や物価高、格差、貧困に疲弊している姿がある。すべてが一握りの富裕層に仕切られ、市民は日常の生活に苦労し、そこから何をつかみとるか模索している、そんな印象でした。
また、日本だけが自然災害の影響を受けているわけではありません。世界的な気候危機で、イタリアにも気温上昇はもとより洪水や山火事があり、現在進行形な2つの戦争は、日本よりもずっと身近なものとして体感されています。
だから、私が3.11以降の福島で見つけた「土中の微生物まで含めた生命を基準に判断(BIOCRACY)を積み上げていく社会」の価値が、よりいっそう高まっている。
そして、企業や富裕層のバイアスで表現が決まってしまう展示に辟易している観点から、リアルな市民の営みを積み上げてここまできた「Legacy3.11」が高い評価を受けている。
私はここまで、自分の「有るがまま(に太いオトコ)」という名の通り、多様なお誘いが連なる流れに身を任せて活動してきました。
例えば大本の発端である拙著『福島』『BIOCRACY』(2015、2016)は福島のSEEDS出版さんからのお声がけで刊行。同著を面白がってくれたChim↑Pomの導きで、それが個展(2016)に結実しました。
以降も、東京五輪や3.11から10年の節目ごとにお声がけいただき、その先で「これ以上はないだろう」とたどり着いた、当時で最大規模の「AWAKES/みんなの目覚め」展(アーツ千代田3331、2022)にミラノの私大IULMのグイド・フェリッリ教授がフラッと来場。氏の発案で、しかもAWAKES展を倍以上にした規模で、今回のミラノ展へと繋がりました。
3.11直後から国内で続く「無関心」「風化」「忘却」は恒常的な問題として、3.11から生まれた価値を、社会課題が肥大し続ける世界にこそ提示したい。
こここそが勝負時。
この歳になって少しくらいの資金難で腰が引けたり、物怖じしてる場合ではない。その結果が今、この「Legacy3.11」です。
DIYなことが大きな評価を受けている。
しかしこのまま大赤字で展示を終えては、この先はありません。今すでに他国、もしかするとさらに大きな規模の話も、耳に届きつつあります。
今回ミラノで足かせとなったのは「非営利」という開催条件でした。
会場代、宿泊費を免除するからすべては非営利。正直、その条件でなければ実現できませんでしたが、それがあるから資金難という、絶妙過ぎるバランスで表裏一体の立て付けが本展の姿です。
次回以降、この縛りはないでしょう。
また、私は過去の経験から、クラファンは避けたいと思っていました。
しかしミラノに来て、クラファンにたどり着いたことも必然であり、だからこそ得られる説得力、評価があることも理解できました。
たとえ現状のクラファンの仕組みに文句があっても、幅広い市民からのサポートで、日本発のかけがえのない価値観で世界と組みしていく。その姿勢は結果として、間違いない選択だったと胸を張って言えます。
すでに皆さまからは大きな支援をいただき、800万円という目標の30%以上は到達。とはいえ残り1ヶ月強で500万円以上を集めなければならない状況です。
感謝と不安が混濁しながらのミラノでの取り組み。より幅広い層にこの取り組みを伝えるべく、SNSなどでの拡散に加え、メディアも探しております。現地に実質3人しかいない中ですべてをこなしている現状で、まだまだご支援賜りますこと、どうかどうかご理解の上、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上をもって、自分の誕生日のご挨拶とさせていただきます。
平井有太 拝
>>>>
クラウドファンディング状況
2,588,900円(32%)支援者251名・残り36日、5,411,100円