筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、長期にわたり日常生活や社会生活を著しく制限する深刻な疾患です。患者の約4人に1人は、日中も横になったまま生活せざるを得ない状況にあります。
しかしながら、病因は未だ明確ではなく、有効な治療法も確立されていません。
さらに深刻な問題として、日本ではME/CFSを診断し、適切に治療できる医療体制が十分に整備されていないため、多くの患者が診療を受ける場を見つけるのに大変な苦労をされています。
一方、2020年以降、新型コロナウイルス感染後に慢性的な疲労を主症状とする後遺症がみられるようになりましたが、この中にはME/CFSの診断基準を満たす患者も含まれることがわかってきました。
この症状は、これまでウイルス感染後ME/CFSとして診療されてきた患者群と一致する可能性が示唆されています。
このたび開催される医療講演会では、日本国内でME/CFS診療ネットワークの構築に取り組まれている伴教授と、新型コロナウイルス感染後後遺症外来を2020年以降に岡山大学で立ち上げ、この病態の解明や治療法の開発を進めておられる大塚先生をお招きして、これまでの活動成果や最新の研究知見についてお話しして頂くことになりました。
皆様のご支援を賜りますよう、よろしく、お願い致します。
倉恒弘彦
大阪公立大学医学部 客員教授
大阪大学大学院医学系研究科 招へい教授