アフリカのエチオピアでの理科・数学の授業の中でこどもたちが、結果を覚えるのでなく手を動かして気づく楽しさを得られることを目指しています。
「なぜ“遠い”アフリカのエチオピアで行うのか?」と多くの方々は思われるかも知れませんが、これは【縁】です。
私は、高校教員として41年間、大阪府立高校の理科教員として勤務をしてきました。
定年退職後に、JICAボランティア活動としてアフリカ エチオピアの理数科教育の改善の取り組みに関わり始めました。
エチオピアのこどもたち自身が理科実験を行ったり、数学で図形を描いたりしているときの表情の豊かさには驚かされこちらがエネルギーをもらいました。
エチオピアの理数科教育の課題は・・・
◆ 生徒実験をするだけの実験器具が不足
教材の多くを輸入に依存しているため、国内で作れるかがカギ(下記の例)
◆教員自身、実験の経験が少ない
◆結果を覚えるだけの授業になりがち
エチオピアのほとんどの学校には生徒実験をするだけの実験器具はありません。
教材の多くを輸入に依存しているためです。教員自身が生徒のころに実験を経験できていないことも多いので、結果を覚えるだけの授業になりがちで、こどもたちが手を動かして気づく楽しさを得られる理数科教育を創り上げていく取り組みが課題になります。
地球のどの場所であっても、こどもたちが手を動かして試行錯誤して学ぶことの豊かさは共通だと感じます。
「アフリカでの学校建設に支援を」は結果が形に残り分かりやすいのに比べ、教育内容・質にかかわる支援はすぐには目に見える結果が出てくるものでないだけに難しいです。
教育の質の改善は目には見えにくいからこそ敢えて多くのみなさんにエチオピアのこどもたちの表情の変化や、エチオピアの教員の生の声を届けるためにクラウドファンディングを活用し想いを共有したいと考えました。
当初は試行錯誤の連続でしたが、結果を覚えるのでなく手を動かして気づく楽しさを得られる理数科教育の実例を2つのパイロット校(モデル校)をサポートし、現場教員のセミナーを通して広げていくところに来ています。
このサイトのこどもたちの活き活きとした表情から手ごたえを感じさせてもらっています。
モデル校では生徒の各班で生徒実験ができるようになりました。
理科・数学の授業の中でこどもたちが、結果を覚えるのでなく手を動かして気づく楽しさを得られるためには実験・実習教材が不可欠です。生徒実験が行われるには、こういう器具が6~7セットは必要になります。残念ながら多くの学校では揃えられておらず、教科書に書かれている実験をしたとしても、教員が前で見せるだけで終わってしまうことにならざるを得ないのです。コロナ禍ではできていなかった教員セミナーも実施されるようになりました。
しかし、現場教員がセミナーと同じように自分の学校に戻って生徒実験を行おうと思っても、実験・実習教材が揃っていないため、現場の生徒自身が体験する学びには繋がっていないのが現実です。
エチオピアで教員養成大学を卒業する学生たちに話す機会があったときに、「明日からはみなさんは先生ですね。これからはみなさんにとっての先生は誰ですか?」と尋ねたとき、何人かの学生が「こどもたちが先生です」と明快な答えを返してくれました。
私は、エチオピアでの理科や数学の授業の中での一人ひとりのこどもたちの反応からいつも学ばせてもらってばかりです。
身体を定規にして長さを測る実習の授業をしていた時に、「ひとひろ(両腕を指先真横に伸ばした長さ)が身長と同じ長さになるよ」と気付いて発言したこどもがいました。教科書には載っていないことも、こどもの反応から学ぶことができます。
エチオピアだけではなく世界のどのこどもにとっても、こども自身が実験・実習をとおして試行錯誤しながら、「失敗」(本当の失敗では決してありません)からも学び自然の不思議さを発見することが学びの原点ともいえるのではないでしょうか。
NPO法人イービジョン・ジャパンとしての取り組みがエチオピア現地の教育関係者の手にゆだねられ自律的な活動になるよう後継者育成を大きな課題として常に意識した活動を続けています。
またこのエチオピアでの取り組みは、日本国内の教育現場で生起している問題にもつながると考えています。不登校生徒数が最多になっている問題や、こどもたちの思考力・発言力(自分自身で判断する力)が低下している問題は、こどもたち一人ひとりが試行錯誤して「失敗」から学ぶ経験ができているかどうかにかかわると考えています。
エチオピアでの学校の教材が不十分な中だからこそ、創意工夫をしていくビジョンが現場のニーズから生まれます。一人ひとりの教員が授業研究をしていくことが大切です。”右にならえ”では生きた教育には繋がりません。現場に一人ひとりの教員のニーズに沿った継続性のある支援が求められます。日本とは違う状況の中だからこそ新しいチャレンジが必要だしそこから日本では観えなかったことが分かってきます。
エチオピアの教育を支える当法人の活動をエチオピアの若い世代の教員に引き継ぎ、当法人がエチオピアに行く必要がなくなることが最終ゴールと考えています。
当法人の活動は、年間2,000,000円の資金が最低でも必要になるため、これまでもクラウドファンディングを活用したい思いはあったが、知識・経験が不足のまま経過し、初めの1歩を踏み出せていませんでした。
イービジョン・ジャパンの取り組みには生徒自身が実験や実習ができる教材を現地で生産や調達ができることがカギになります。
例えば、3,000円の寄付で、1つの学校に化学にかかわる実験に欠かせない“アルコールランプ・三脚・金網”を7セット分サポートできます。
例えば、10,000円の寄付で、1クラスの生徒全員が一人ひとり自分のコンパス・分度器・三角定規を使える授業ができる学校を1つ増やしていくことに繋がります。
そのお金を今回、皆様からいただいた資金で少しでも活かしたいと思います。
3,000円、5,000円、10,000円のリターンを出していただいた方には、エチオピアのコーヒー100gをつけさせていただきたいと思います。
エチオピアでは、日常的にコーヒーのセレモニーがあります。来客時のおもてなしなどに行う、日本の茶道にも似たセレモニーです。 来客があると、生のコーヒー豆を煎って焙煎するところから始めます。今回は、こちらで豆は挽いてしまっておりますが、エチオピアの味を感じてもらえればと思います。
吉松 茉莉 さんから、応援メッセージをいただきました。吉松さんとは、JICA海外協力隊として2010年にエチオピアに伺った時の中です。吉松さんがやっているInstaguramもぜひ、覗いてみてください!
教育の成果はなかなか学校建設のように形や数値ですぐに見えるものではありません。この取り組みは、敢えて教育の本質=学びとは何かそのものに切り込んで時間をかけて育むプログラムです。
こどもたちが道具を使いものに触れ働きかけては観察し推敲し次の一手を作り出す営みは歴史を作る原動力そのものです。
教育のあり方を考える場にもなれば幸いです。
みなさんからのご支援がこの歯車を動かすことに繋がることに確信を持っています。
最新の活動報告
もっと見るありがとぅございました。プロジェクトで大きな繋がりをいただけたことに感謝‼
2024/11/30 00:26クラウドファンディングのプロジェクトを観ていただいたみなさまに感謝いたします。初めての経験でしたがクラウドファンディングの取り組みで大きな応援メッセージ・ご支援をいただけたことに沢山たくさんのエネルギーをいただきました。ネクストゴールまで設定させていただき50,8000円のご支援だけでなくCampfireでの支援方法が分からないので直接にNPO法人に支援いただいた方も含め90名の方からのご支援でエチオピアの2つのサブシティー(日本の区に相当)に理数科教材を提供できる目途が立ち、NPO法人の目標の【自立への道: エチオピアの理数科教育がその国の教員だけで続けられるように!】に大きな一歩前進することができました。本当に感謝いたします。引き続き活動報告を掲載させていただきます。今後とも引き続きのご支援よろしくお長居申し上げます。今回の取り組みの結果は来年の2~4月にはお伝えできる予定です。ありがとうございました。 もっと見る
11月16日、支援している学校を管轄するサブシティー(日本の"区“に当たります)の教育事務所を訪問。クラウドファンディングでいただいた支援で行いたいプロジェクトの具体的内容をレター(上記写真)を示して説明しました。理数科の生徒実験・実習教材を来年2月には21校分の準備はできます。それを管轄の21の小学校に配るだけでなく、生徒実験・実習教材の意義と指導の仕方についてもぜひ教員セミナーを開催していきたいという提案を教育事務所の方から頂くことができました。【昨年の理科教員セミナーの一場面――蒸留実験――】エチオピアの7年生(日本の中学1年)の教科書には高価なリービッヒ冷却器の図が掲載されていますが、生徒自身が実験するにはゴム栓が足りなくても発泡スチロールで、ゴム管やガラス管がなくてもストローで十分に代用することができることを教員自身に体験していただいている場面。教員に『物づくり』の面白さを知っていただくことで、生徒実験が持続可能なものにできることも、このプロジェクトの中で伝えていきたいと願っています。※ コルクボーラー<ゴム栓等にガラス管を通す穴をあける用具>をもってい ないがない学校がほとんどですが、ゴム栓代わりに発泡スチロールを使って熱した太い釘でストローを通す穴をあけることができます。費用はほとんどかかりませんし、また簡単です。 もっと見る
【超うれしい現実】生徒実験の用具が揃いさえすれば、エチオピアの教員だけで続けられている
2024/11/18 19:13今日の月曜日にパイロット校のエチオピアの理科の教員がTelegramに上げてくれた画像です。私は月曜日はパイロット校に入っていないのでこの現場にはいませんでした。このように各班で生徒実験できるようにエチオアピの先生自身で準備され、中学2年生に当たるこどもたちに“硫黄の燃焼実験”(できた亜硫酸ガスが水に溶けると酸性の溶液になる)をされているのです。ガスジャー⁽燃焼ビン)・燃焼さじ・アルコールランプはすべてエチオピアの現地で作成できるもので、輸入品ではありません。エチオピアの教員ご自身で準備された生徒実験の各班の用具【自立への道】エチオピアの理数科教育がその国の教員だけで続けられるように! が、半歩かもしれないけれど進んだと感じさせられた情報です。 みなさんのご支援で、このパイロット校だけではなく、1つのサブシティー(日本の区に相当)21校にこのような生徒実験が行われる状況を作り出すことが可能になります。こどもたちの生きた学びをつくり出せることが私たちの喜びでもあります。理科実験のアルコールランプ等の器材をエチオピア現地生産で各学校に届けていくことにお力をお貸しくださいませ。 もっと見る
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