自己紹介
私は日本で鍛冶屋の修行をしている者です。先生と私だけの小さな工房です。私の先生は80歳です。先生とはちょうど50歳差です。10代の頃より鍛冶に携わってこられました。先生の父も戦中、日本刀を製作する仕事をされていたのですが終戦後は刀鍛冶は失業してしまったのです。 私の先生は現在は注文は受けておりませんが、日々私の鍛錬と指導にあたって頂いております。
鍛冶の修行を始めて数年が経ちました。我々は小さな工房で鍛冶から木工、彫金などを一通りして製品をつくっています。 これを一作同人と言います。
私は鍛冶屋が成り立たなくなった時代にあって尚、鍛冶の鍛錬と技術の継承にあたって頂いている先生と支えて頂いている周りの方方の為にも、より広く多くの方に我々の活動を知って頂き、支援頂きたいと願いクラウドファンディングをはじめました。
このプロジェクトで挑戦したい事は”袋鉈“を作ることです。
袋鉈とは私の造語ですが、構造は持ち手がパイプ状の持ち手と刀身が一体になった形をしています。360度繋ぎ目が無い事が特徴です。
現代には袋ナガサという鉈がありますが繋ぎ目が空いたままの構造をしています。
古来日本には袋穂槍、鉄鉾、その他道具にも同じくパイプ状の差し込み部を持つ物があります。そしてそれは360度、繋ぎ目が無い完全な一体型をしています。
因州小鍛冶が挑む袋鉈はこれらの派生型を目指し360度繋ぎ目が無い物でないといけません。
それは現代の技術を使えば簡単な事なのですが、伝統的な技法で筒を作ろうとすると至難です。しかし近代化以前から太古にかけて先達は多くの”筒”製品を遺しています。
例えば石突、前述の袋槍、火縄銃の筒部分、鉄鉾などです。これらの共通点は360度繋ぎ目がなく中が空洞で筒状な事です。
一鍛冶屋としてこの構造に興味を持ち数年程前に袋鉈の研究を始めました。失敗してはやめ、過去の伝世品と睨めっこするを繰り返してきました。
実は袋鉈とは言いながらも、本来の目的は袋鉈ではなく下ような道具を作ってみたいからでした。これも筒状に二本爪がでた古い道具で袋鉈と原理は同じです。
この挑戦は失敗するかもしれませんが、もうひと踏ん張りの所まできたと思っております。先達の技に挑戦する一鍛冶屋を応援して頂ければ幸いです。
リターンについて
支援頂ける方には小鍛冶謹製の製品を支援金額に応じて発送致します。
資金の使い道
集まった資金は返礼品に必要な分の燃料代、材料代、資材購入、設備拡充、実店舗の年会費、新作の製作、広報の順に鍛冶屋を続けていくための資金に充てます。
最後に
袋鉈、袋ナガサの説明不足で分かりづらい点が多かったと思われますが今回の挑戦は長く現代の鍛冶屋さんが触れていない箇所に挑もうとしています。
360度繋ぎ目が無い鍛冶製品を再現してみたいという我儘と一鍛冶屋の好奇心にどうかお付き合い頂ければ幸いです。
どうか応援よろしくお願いします。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
【包丁に関する注意点】「正当な理由なく刃物を携帯する行為は、銃砲刀剣類所持等取締法第22条及び軽犯罪法第1条第2号により禁止されています。 また、18歳未満の方は本プロジェクトを支援することはできません。
最新の活動報告
もっと見る袋鉈とは
2024/09/15 12:29袋とはソケット状になったこの部分の事を指します。そして袋を持つ刃物で有名なのがフクロナガサです。右のスコップは一枚の鋼でスコップ部分と袋部分を成形していてフクロナガサに1番近い造りです。真ん中はアメリカンレーキです。これは袋部分とレーキ部分を溶接で接合しています。しかしよく見ると袋のつなぎめ部分はパズルの様に爪でひっかけて留めているだけです。しかしこの構造を見ていて、これだと刃を峰から見たときにどっちからよるだろから扱いづらそうであるし、強度も弱いだろうと考えていました。そう考えていた時に知ったのが袋槍です。この構造です。刀部が偏らず、袋部分も完全に鍛接されています。 どうせソケット状の刃物をつくるならこういう物でなくてはと感動しました。しかし現在、袋槍のような構造で鍛接されて造っておられる方も、技法もとうの昔に廃れてしまったという事でした。出土品 袋を持つ道具の数々(太古の昔の方が現代の鍛冶屋の技量を遥かに上を行くと言われるユエン)鉄鉾 出土品出土品 手斧伝世品神宝 金象嵌両刃添鉄鉾火縄銃 (当時伝来した数丁の火縄中が数年にうち世界一の保有数になっていたという逸話は有名です。 いつか昔の方法でネジ切りをやってみたい)伝来の物は袋部分が開いている。口金も朝鮮ではクルッと巻くだけで接合させていない (いつか朝鮮の鍛冶屋さんを見に行ってみたい 七支刀をつくった国なので何かヒントがあるかも)因州小鍛冶製 袋何某 (続く。。。) もっと見る
鍛冶屋と口金
2024/09/05 09:54鍛冶というと刀剣だとか刃物ばかりが注目されがちですが、周辺の部品の製作も大変難しい事がしてあります。現代では完全に忘れられた妙技の数々が見てとれます。 その一つが・口金(胴輪 輪っか) 刃物のこの部分です。地味に見えます部品それぞれに違った難しさがあります。現代の鍛冶屋さんはこの部分他の金物で代用している事がほとんどです。 大昔は鍛造で製作していました。 同じように見えて違う。左は機械製。右は鍛冶製。よく見るとついだ部分がわかります。(つなぎ目が無い工場製と同じ鍛冶製法の物もあります)鍛冶屋さんでもパイプで代用する事が多くなった口金ですがパイプとの違いは口金の中央。中央が山型に⛰厚くなっています。こうする事で軽さと強度が両立するという考え方です。更にこれ。テーパー形状と言って先細りになった“槍の口金”です。口金でも難しいのですが更に大きくなり先が細くなっています。おそらくこの形をやられている鍛冶屋さんは多くないと思います。更に更に。口金から両腕が生えている物もあります。 鍔になった口金です。槍に使われていたようです。朝鮮の鍛冶屋さんの口金 コイル状にくるっと巻きっぱなしです。 ついでいません。 モンゴル ヤクート包丁 これは口金がありません。日本の古い絵の中の包丁も口金がありません。口金は口金の難しさがあります。せっかく立派な刃物をつくっても口金だけはつくっていないという鍛冶屋さんも多いです。 因州小鍛冶も真鍮やその他で代用しがちでしたが鉄の口金を手掛けはじめました。 もっと見る
石突の製作を通して。
2024/09/04 21:31早速ご支援頂いた方、ありがとうございました。現在、石突を製作しておりました。親指くらいの大きさの小さな物です。槍の柄の尻に付ける金具です。 一見素朴な道具に見えますが、あまりやられている鍛冶屋さんはおられないと思います。口金(鉄の輪っか)や石突のような筒物は手間に合うだけの需要もありませんし、プラスチックや他の金物の代替品も豊富です。 しかし古来の方法で制作した物が持つ味わいが好きで制作しています。石突もこうやってみるとマルチョンボの部分が頭でお地蔵さんに見えてきまして、心の中では“鉄と呼んでいます。“袋鉈”とはハンドルが鉄の筒状になった一体型の鉈です。石突。これを袋鉈に応用できれば、おもしろそうです。 もっと見る
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