○浦上哲也(うらかみ てつや)
もとは医療者向けのワークショップ「死の体験旅行」を主宰し、全国各宗派の僧侶に手法を伝えている。その仲間とともに仏教死生観研究会を立ち上げ、死生観の醸成に取り組み続けている。
仏教死生観研究会
著書『もし明日が来ないとしたら、私はなにを後悔するだろう?』
旅から帰ってくると、「やっぱり自宅が一番だね」と誰もが思うのに、なぜ人は旅に出るのでしょうか。自宅が一番落ち着くものの、旅先でないと見られない風景や味わえない料理、そして感じられない体験を求めて、人は旅に出るのでしょう。
静岡県藤枝市の日蓮宗、大慶寺さんは歴史ある古刹。しかしその歴史に甘んじることなく、新住職の大場唯央さんは寺を出て、街へ、企業へ、病院へ、刑務所へと駆け回っています。もはや何屋さんだかわかりませんが、新たに宿泊施設まで始めるのだそう。もちろん大場さんが考えるのですから、ただの宿ではなさそうです。
大場さんと私は、宗派も地域も違いますが、「死の体験旅行」というワークショップで繋がっています。大慶寺の宿では、この「死の体験旅行」の他にも様々な体験を用意しているようです。
名勝である「久遠の松」を目にし、地産の料理に舌鼓を打ち、そしてここでなければできない体験をする。そんな場ができることを願って、私も応援させていただいています。