大阪堺市の糀屋 雨風(元禄二年創業)と帝塚山学院大学が、日本の国菌「糀菌」と「割れカシューナッツ」で植物由来のチーズ作りに挑戦。
「フードロス削減に貢献し、食で人を元気にしたい!」との想いから、特許取得やレシピ開発のための資金支援をお願いします。
私たちは「糀」×「カシューナッツ」で、まったく新しい植物由来のチーズ「オリゼチーズ」を開発しました。
クリーンで安全な素材だけを使った、完全プラントベースの代替チーズ。
健康的でナチュラルな、地球とカラダに優しい未来づくりに取り組みます。
~プロジェクト立ち上げの背景~
〇ごあいさつ
はじめまして。私たちは、大阪府堺市で味噌や醤油の製造販売、糀を使った商品開発を行う「糀屋雨風」です。創業は元禄二年。当時、中世南蛮貿易で栄えていた町、堺で「糀屋雨風」は産声を上げました。
雨風の名前の由来は、雨が降っても風が吹いても商いを休む事がなかったから。毎日毎日、天秤棒で醤油などを売り歩き、人々からは「雨風屋さん」と呼ばれて親しまれてきたのが屋号の起源です。
以来約330年間、幾代にも渡り伝承されてきた糀づくりの伝統技法そのままに、一粒一粒手作業で、毎日丹精込めて糀と向き合っています。
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そんな私たちがなぜ、「植物由来のチーズ」作りに挑戦することになったのか。
原料はなぜ、「割れカシューナッツ」なのか。
そこには、地球が抱える環境問題、現代社会が抱える健康問題、そして、「食で人を元気にしたい」という、雨風の強い思いと理由があるのです。
〇私たちが実現したいこと
「植物由来のチーズを開発し、食の可能性を広げたい」
今回のプロジェクトで私たちが目指したのは、糀菌と割れたカシューナッツを使った、「完全植物由来のチーズ」の開発と商品化です。
すべての原料を「植物性のみ」とすることで、健康志向の高い方、ベジタリアンやヴィーガンの方など、幅広い方に食べていただける「次世代の植物性チーズ」を開発。
また、出荷基準を満たさない割れたカシューナッツを使うことで、フードロス削減に貢献し、地球環境問題に取り組みます。
〇廃棄される割れたカシューナッツ
「糀屋雨風」の自社工場は堺だけではありません。
カンボジアにも工場を新設し、糀を使った商品の製造販売、糀を取り入れた食事を提供するレストラン経営など、「糀屋雨風」の事業は日本を飛び出し、世界へと広がっています。
そんなカンボジアは世界有数のカシューナッツ生産国。生産量は世界シェアの2割程度を占めています。
しかし、世界有数のカシューナッツ原産国であるにもかかわらず、近代的な加工工場や生産オペレーション技術が乏しく、また、農村部における貧困問題や、女性の雇用問題など、カンボジアのカシューナッツ農家が自立した経済基盤を作るには、まだまだたくさんの課題が残されています。
そんなカシューナッツ農家が抱える問題のひとつが「割れカシューナッツ」。
加工時に割れてしまった大量のカシューナッツは、出荷の基準を満たさずそのまま廃棄されてしまいます。まだ食べられるのに廃棄される食品は「フードロス」と呼ばれ、“もったいない” だけではなく、地球環境や世界経済に大きくかかわる問題をはらんでいるとして、今、世界が直面している深刻な問題です。フードロスは、カンボジアのカシューナッツ農家においても、経済的に大変大きなダメージとなっていたのです。
この「割れカシューナッツ」を使い、雨風独自の商品開発ができないだろうか。商品開発することで、カンボジアの農村における問題解決にも貢献できるのではないだろうか。これらの問題に取り組むことは、カンボジアの経済にも寄与することになるのではないだろうか…
そう思ったことが、植物性チーズ開発へ向けた挑戦の始まりでした。
元禄の創業以来、長い歴史の中で糀を愛し、糀と向き合ってきた「糀屋雨風」だからこそできる、地球に優しく、環境にも配慮した、新しい「食」への取り組み。
私たちは、カンボジアの農家が抱える問題を起点に、割れカシューナッツと糀を使った完全植物由来のチーズを開発に踏み出すことに決めたのです。
~開発への第一歩~
〇糀の魅力
糀は、古くから日本人に愛され、食べ物を美味しくする「食べられるカビ」として大切にされてきました。「発酵大国」と呼ばれる日本。わたしたちの国にはたくさんの発酵食品が存在し、その多くには「糀」が使われています。「糀」に含まれる「糀菌」が作り出す様々な「酵素」は、食物に含まれる成分を分解する働きがあり、甘みや旨味、香りを生み出してくれます。
また、「酵素」の働きにより栄養成分が分解されると、体内で吸収されやすくなるのです。このように糀には、たくさんの酵素や栄養が豊富に含まれており、その健康効果は非常に高く、また、和洋折衷どんな料理にも使えることから、糀は世界的にも大変注目される存在となりました。
「糀屋雨風」では、味噌や醤油の製造販売、糀を使った商品の開発を行っています。
また、糀の素晴らしさと可能性をたくさんの人に知ってもらえるよう、手作り味噌教室や、糀を使った料理教室なども定期的に開催しています。
日々、糀を作り続ける中で、わたしたちが新たな商品開発として温めていた思いがありました。それは、
「和製カマンベールチーズが作りたい」
当店ではこれまでにも、チーズスプレッドという、カシューナッツを原料とした口当たりのなめらかな商品はありましたが、わたしたちが追求したかったのは、カマンベールチーズのような、独特で芳醇な風味を持つ新しい発酵食品でした。
カンボジアの自社工場で出る割れたカシューナッツを牛乳の代わりに用いて、そこに糀菌を使って発酵熟成させれば、完全プラントベース(植物由来)の代替チーズが作れるのではないだろうか。
プラントベースで作られた代替チーズがあれば、これからの食の多様性に対応できる「新しいチーズ」として国内外問わず、たくさんの人に食べてもらえるのではないだろうか…
〇帝塚山学院大学との出会い
私たちが「和製カマンベールチーズ」の開発を思索していたちょうどその頃、一人の大学生との出会いがありました。
「糀屋雨風」にアルバイトスタッフとして来ていたその大学生は、同じ堺市にある帝塚山学院大学に在籍し、「栄養学」や多面的な「食ビジネス」について学んでいました。そして、4年生で行う卒業研究では、「糀屋 雨風」の新しい商品の開発に取り組みたいという希望を持っていました。
この出会いをきっかけに、私たちは帝塚山学院大学にさっそくコンタクトを取り、完全植物由来のチーズ開発における経緯、コンセプトや製造工程について伝えました。すると、雨風のこの新しい試みに大学側も大変興味を示してくださったのです。
糀が持つ可能性と、世界が注目する植物性食品は、きっとこれからの「食の未来」そして「食の多様性」に深く適合するに違いない。
そのビジョンが合致し、私たちは大学と共同で、完全植物由来のチーズ開発へと、共に船を漕ぎ出すことになったのです。
~共同開発の歩み~
こうして「糀屋 雨風」と「帝塚山学院大学」との完全植物由来チーズの共同開発が本格的に始動しました。共同開発のコンセプトは、「プラントベース(植物性原料のみ)を実現し、幅広い食の多様性に対応するチーズを作ること」。
プロジェクトの指揮を執っていただいたのは、帝塚山学院大学 食環境学部 食イノベーション学科の専任講師である池田高紀先生。
池田先生は、食品微生物学・食品機能学の専門であり、食イノベーション学科においては食の可能性を広げる新しい産業分野「フードテック」、そしてこの「フードテック」を取り巻くフードビジネスや食品開発、調理方法の開発やレシピ制作に至るまで、「食」に関する幅広いフィールドにおいて、様々な研究をされています。
「フードテック」とは、「フード」×「テクノロジー」のこと。
最新のテクノロジーを駆使することによって、まったく新しい形で食品を開発したり、調理法を発見したりする技術であり、今、新たな食の可能性として大変注目されている技術です。
池田先生のこの研究内容は、糀とカシューナッツで完全植物由来のチーズ開発を目指す「糀屋雨風」にとって、大変貴重で興味深いものでした。
糀のプロ「糀屋雨風」と、食ビジネスのプロ「食イノベーション学科」。完全植物由来のチーズ開発は、ここで一気に加速することになりました。
〇地元堺の「泉北レモン®」
そんな池田先生を始めとする大学の研究チームのみなさんと共同で、まず私たちが取り組んだのは、原材料の選定でした。
原材料は、カシューナッツ、糀菌、そして地元堺の「泉北レモン®」と決定。
泉北レモン®は、「糀屋雨風」と「帝塚山学院大学」の地元である大阪府堺市で栽培され、皮まで使えることを目指して作られた安心安全のレモンです。
地元で作られるレモンを原材料に使うことで、このプロジェクトに地産地消の要素も取り入れることにしました。
農薬を最小限に抑え、皮までまるごと食べられる香り豊かな泉北レモン®は、植物性チーズに爽やかな風味を加えてくれます。
泉北レモン®公式サイト https://senboku-lemon.net/
〇「味」への挑戦
原材料を決定したあと、次に取り組んだのは、どうやって植物性チーズに歯ごたえを出すか。そして「味」です。
これまでにも、カシューナッツを使ったチーズスプレッドは販売していましたが、今回追求したいのは、糀菌を使ってチーズの菌膜をふわふわさせ、ほどよい歯ごたえを実現すること。
それには原材料の配合や、発酵における温度管理など、微妙な調整を幾度も繰り返す必要がありました。
ベジタリアンやヴィーガン、乳製品アレルギーの方にも安心して食べていただける植物由来のチーズであるために、原料はシンプルに。余計なものは入れず、ナチュラルな原材料にこだわった、おいしくて安全なチーズ。そこを目指すが故に、味の調整がなかなかうまくいかず、試作は幾度にも渡りました。
池田先生の監修の元、研究チームのみなさんとともに製造工程、温度、乳酸菌の種類、原材料の成分などを一から見直し、何度も議論を重ね、そしてついに、完全プラントベースでありながらチーズ独特の濃厚な旨味とほどよい歯ごたえを実現することに成功したのです。
出来上がったチーズは、完全プラントベースでありながら、香り豊かで芳醇な味わい。
そのままでもおいしく食べることができる、まさに私たちが理想としていたものでした。
糀屋雨風と、帝塚山学院大学がともに取り組み、ともに目指した「食」の新しい形が実現した瞬間でもありました。
「オリゼチーズ」誕生
そしてついに。2024年3月に行われた、アジア最大級の食品・飲料展示会「FOODEX JAPAN 2024」に参加し、「糀屋雨風」と「帝塚山学院大学」の共同開発商品として植物性チーズを発表。糀菌の学術名から、この新商品は「オリゼチーズ」と名付けました。
「オリゼチーズ」は、牛乳の代わりにカシューナッツを使い、その他の原料もすべて植物性の完全プラントベース。乳酸菌や糀菌により発酵させているので、腸内環境改善作用や免疫増強作用、抗アレルギー作用などが期待できる、今までになかった新しい代替チーズです。
ほどよい歯ごたえと豊かな旨味、そして地元堺の「泉北レモン®」の爽やかな風味でそのままでもおいしく食べることができます。
そして、「オリゼチーズ」の魅力は味や食感だけではありません。栄養価にもこだわり、食物繊維やビタミンB1、マグネシウムや鉄など、通常のチーズにはあまり含まれない豊富な栄養素をたっぷり含んでいます。
また近年、動物性食品の地球環境への負荷が指摘されています。動物性食品は、食品を生産するまでの過程で地球環境に大きなダメージを与え、温室効果ガスを大量に排出したり、土地や水、穀物などの資源を大量消費したりすることが要因です。
大切な地球、そして豊かで健康的な暮らしを守るためにも、プラントベースの食の選択が注目されているのです。
新型コロナウイルス感染症拡大以降、世界各国から日本を訪れる外国人観光客や日本への移住者は毎年増加しています。ベジタリアンやヴィーガン、国や宗教、ライフスタイルにおいて食生活が異なる中でも「オリゼチーズ」は完全プラントベース。世界の異なる食文化の垣根を越えて、たくさんの人に安心して食べていただくことができます。
完全植物由来の新しい代替チーズ「オリゼチーズ」をたくさんの人に食べてもらいたい。
毎日の食事に取り入れて「食」をもっと楽しんでほしい。
「オリゼチーズ」には、私たち「糀屋雨風」と「帝塚山学院大学」の、思いと挑戦が込められています。
たくさんの人の食卓に「オリゼチーズ」が届きますように。
みなさんからの温かいご支援をお待ちしております。
~ご支援いただいた資金の使い道~
本プロジェクトでご支援いただいた資金の使い道は、以下の通りです。
・製造に対する特許取得に対する費用
・レシピ開発費用
・販売促進(広告費)
・カンボジアの農村や地域活性化に貢献したい
〜最後に~
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
長い歴史の中で守り続けてきた糀と、カンボジア農家において廃棄されてしまう割れカシューナッツをどうにか有効活用できないものかと思い、今回の「オリゼチーズ」のプロジェクトはスタートしました。
帝塚山学院大との共同開発において、本プロジェクトにお力添えをいただいたすべての方に心から感謝申し上げます。
たくさんの人に「オリゼチーズ」を味わっていただき、毎日の食生活がより幸せなものとなりますように。これからも、たくさんの笑顔と健康のそばに「糀屋雨風」の食品をお役立てください。
糀屋 雨風
企業概要
屋号:糀屋 雨風 ※糀屋は商標登録です(第5613846号)
商号:株式会社 雨風
代表取締役:豊田 実
所在地:〒593-8322 大阪府堺市西区津久野町3丁32-11
創業及び法人設立創業:元禄二年(西暦1689年)
法人設立:昭和26年
資本金:10,000,000円
事業内容:醸造業(製造及び販売)
酒類販売表示
販売場の名称及び所在地:株式会社 雨風 / 大阪府堺市西区津久野町3-32-11
酒類販売管理者の氏名:豊田 宣広
酒類販売管理研修受講年月日:2024年4月18日
次回研修の受講期限:2027年4月17日
研修実施団体名:堺小売酒販組合
最新の活動報告
もっと見る<残り4日> 目標達成いたしました!ありがとうございます。
2024/11/06 16:58無事に目標を達成いたしました!皆様からの暖かいご支援に、改めて感謝申し上げます。現在、オリゼチーズの賞味期限を少しでも長くするためガーリックやペッパーなどを用いた加工技術の開発に尽力しております。どうぞ引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。代表 豊田 実 もっと見る
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