こんにちは、監督の西坂來人です。
ページトップ内の記事「プロジェクト立ち上げの背景」で少し触れましたが、
細谷枝里佳さんが、たまたま僕に構想を話してくれたことがこの映画のはじまりでした。
亡くなったお母さんとの関係性。母がいつもイライラしていいたこと。その背景にあったこと。もし母が生きていたら…。
彼女の思いに触れて、今社会に問うべき大切なテーマが含まれていると感じ心を動かされました。
僕は作家活動と並行して、親を頼れない若者たちや子育てをしている親への支援、児童虐待を防ぐ活動などに関わっているのですが、
“子育てをする親が追い詰められている”と感じることが度々あります。
児童虐待はその川下で起こることであり、川上にある子育て環境の改善がない限り児童虐待は永遠に無くならないと思うのです。
「他人に迷惑をかけてはいけない」「産んだら責任を持って育てなければいけない」「子どもを怒鳴ることは虐待だ」
様々な世間の声や他人の目。誰にも相談できないままストレスを溜め込みながらの子育て。
そんな思いを抱えながら孤立した状態で子育てに苦しむ親が想像以上にたくさんいると思っています。
世間では加速する少子化が社会問題となっていますが、そんな日本で誰が子育てがしたいと思うでしょうか?
本来子育ては人間にとって最も幸福な営みのひとつだと思っています。
それを実現するためには孤立した環境の親を産まない社会であることが大前提です。
親が子育ての困りごとを相談しやすい社会、みんなで子育てを助けることが当たり前な社会でなくてはならないと感じます。
今の日本は、少なくともそうではない。
そのことを、この映画を通して感じて欲しいと思っています。