
2025年2月20日に活動報告で投稿した
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1次レコーディングを終えて
~小山卓治へのインタビュー~
の【 続編 】をお届けします。
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小山|
しばらく経って、今度はピアノの西本さんの日があって、ダビングのピアノを演奏で被せる作業で、多分3回くらいかな…西本さんが弾いて、どれも素晴らしいテイクだったんだけど、それは西本さんが自分で判断して「これでOKにします」って言って、それが出来たところに松藤さんが登場して…
聴き手(以下、IR)|
甲斐バンドの松藤さんですね。
小山|
そう。それで松藤さんが、まずコーラスを入れてくれて。「ウー」っていうコーラス。これはね、結構、難しいんだよね~本当は。
ワントーンで「ウー」ってロングトーンでやるって意外と難しいんだけど、甲斐バンドで、ずっとやっていらっしゃったからかな…その音を3つ重ねたんだけど、それが素晴らしい音色になって「スゴイなぁ」と思って。
で、最後にAspirin(アスピリン)をやったんだけど、「パーソナルバンドでやってるのと違うラインにしよう」って提案してくれて。
僕が上のパートを歌って、松藤さんが下のパートを歌って、一緒にコーラスを重ねて「終わったな」と思ったら、それを聴きながら、松藤さんが手を振り始めて、何しているのかと思ったら、西本さんが「入れる?」って言ったら、松藤さんが「うん。入れようか」って言って…
そのスタジオにマラカスがあったので、最後のエンディングのところに自ら入れる提案をしてくれて、いくつか音を試して、一番良いマラカスの音を入れてくれて、なんかスゴイやんちゃな感じでね…あれも嬉しかったなぁ!

IR|
イイですね。「もっと、こうなったらいいんじゃないか!」っていうのを真剣に考えてやって下さるっていうのは嬉しいですよね。
小山|
指定したことだけじゃなくて、自ら提案してくれて「もっと良くしよう!」というのは本当に嬉しいですよね。
IR|
「一つの作品を、やっぱり良いものにしたい!」っていう気持ちが長田さん、美久月さん、そして、小田原さんもそうですけど、皆さんが、そういう気持ちに一緒になってくれるっていうのはね。
小山|
西本さんと最初に会った時に思ったのは「まず歌を聴いて納得してくれた」っていうか、僕からすると「歌で説得できた」っていう気持ちがしたんですよね。
歌を聴いて、ちゃんと一緒にアンサンブルを奏でて「良いものが出来るぞ」っていう確信があった上で、3人(長田さん・美久月さん・小田原さん)に声をかけてくれて、また、その3人が「もっと良いものを作ろう」と時間の中でベストを尽くしてくれたっていうのは成功でしたね。
IR|
それで最後、マスタリングまで行くんですよね。
小山|
そう。少ない予算にもかかわらず「もうだいぶ、お金を思ったよりも使ってるぞ~」みたいな状態で西本さんが「マスタリングやりたい!」って。で、僕も立ち会ったんだけど、もうマスタリング歴50年というレジェンドみたいなエンジニアの方で…
IR|
そんな大ベテランの方なんですね。
小山|
西本さんが、前もって音源を渡してくれてて…僕と西本さんで、そのスタジオに入ったら、マスタリングエンジニアの人から「じゃあ、聴いてください。まず前のテイクを流しますね~」って言われて、前のテイクをワンコーラスぐらい流して「じゃあ、マスタリングをしたやつを聴いてください。」って。
流れた瞬間に、もう痺れちゃって「こんなに違うんだ!!!」って。
マスタリングっていう作業を、みんな多分ピンとこない人も多いと思うんだけど、もう既に西本さんのミックスで完成してるんだけど、それを更に良くするためのマスタリングっていう作業があって、その作業を経るとボーカルが、もう一段階立って、まろやかな音になって、そのまろやかなボーカルを楽器が美しく包み込むっていう…そんな感じになりました。
IR|
調和させるって感じなんですかね?
小山|
調和…美しい調和…うん。確かに。
でも、Aspirinに関しては、もう更にやんちゃな感じになって「うわ!すげぇ!! 」って。そのマスタリングの音を聴いた瞬間に、ちょっと笑っちゃったんですよね。「もう ワオ!! 」っていうか「すげぇ!! 」みたいな。
横でマスタリングしたエンジニアの方も、なんかニコニコ笑ってましたけどね。「やっぱりマスタリングもやって良かったな!」って。

IR|
それが完成して聴いて頂けるっていうところがね。またイイですよね。
小山|
ようやくね。そこまで漕ぎ着けましたね。
「こんなに素晴らしく歌が生まれ変わる」とは思わなかったんですよね。
IR|
元々は1980年から90年にかけてレコーディングした曲を、また再レコーディングするってことですもんね。
小山|
本当に「歌が生まれ変わる」って、こういうことなんだなっていう、すごく確認できましたね。
IR|
ここで西本さんのことをお聞きしますが、ピアニストとしても素晴らしいプレーヤーだと思いますが、プロデューサーとして現場での采配を見てて、どう感じましたか?
小山|
まず3人(長田さん・美久月さん・小田原さん)のミュージシャンに対する大きな信頼があって、さほど細かい指示は無かったんだけども、前もって西本さんが音を渡していて、それを聴いていた3人のミュージシャンが自分なりの音を奏でてくれて、西本さんが、それを短く少ない言葉とアドバイスで更にまとめてくれて…
だから、横で聴いてて感心しましたね。「この3人のミュージシャンとの関係が強いからこそ、この短い言葉で音が変わって行くんだな。」っていうのを、目の当たりにした感じがして…凄かったですね。
IR|
ピアニストといっても、それぞれの音が分かっていないとプロデュースって出来ないですよね。
小山|
そうですね。


IR|
西本さんと今回タッグを組んでやりましたけど、また更にやりたいと思っている感じが、話から伝わって来ますけど。
小山|
西本さんとマスタリングが終わった後に、「一応これで一段落だから、軽くちょっと呑みましょうよ。」と二人で呑みに行って、呑みながら二人で「続きを、やりたいっすよねぇー!」って。
西本さんから「こんなプランもあるんですよ。」 って言われて、具体的なプランが既に色々出て、またそれが、超痺れるようなプランで…「やれたらいいですね!」 「いや、是非やりましょう!」って。
最後に「また必ず会いましょう!スタジオか又はライヴ会場で必ず会いましょう!!」って、約束して別れました。
IR|
また違う曲での西本さんとのレコーディングですよね。
小山|
イイですよね。
IR|
西本さんと小山さんの関係性、今の熱い関係性があるからこそ、曲が生まれ変わって世に出る時に「良いものが出来るな」っていう確信を持って出来そうですよね。安心感を持って。
小山|
もう完全な確信ですね。絶対に良いものが出来るっていう…間違いなく良いものが出来る。
IR|
西本さんも、かなりレコーディングで熱が入ってましたもんね。
小山|
かなり入ってましたね~。骨折までしましたからね。これ関係無い話けど(笑)ダビングのスタジオに入った時に、ちょっとした段差で蹴躓いて「足を、ちょっと挫いちゃったんですよね。痛い。イテテテ...」その次の日に病院行ったら、骨折していたという…
IR|
捻挫かと思っていたら、骨折されていたんですよね。よく頑張りましたよね…骨折しながらも。
小山|
「骨折しながらレコーディングしたんですか?」って言って、西本さんが「左足だったから、まだ良かったけど、右足だったらピアノのペダルを踏めなかったから出来なかった」と。「不幸中の幸いでしたよね。」と西本さんと大笑いしたという…笑っちゃいけないんだけど。

IR|
西本さんにとっても、何だか思い出深いレコーディングだったんじゃないかと。そういった印象がありつつ、ぜひ次の段階へ。
小山|
行きたいですね。
IR|
やっぱり作り上げて、聴いて頂く方に喜んでいただきたいですよね。
小山|
きっと良いものが出来ますから。間違いなく。
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