
はじめての学生はたいてい驚きます(笑)
板書がひととおり終わると、先生は黒板に仕上げの一打を入れる――「バン、バン、バン」。その瞬間、ざわめきは止み、スマートフォンから視線が離れ、教室に静けさが戻ります。チョークの線はわずかににじみ、粉がふわりと舞う。ホワイトボードやスライドでは決して生まれない、物質の手応えがそこにあります。教える側が学生に正面から向き合う姿勢が、黒板の振動と音で伝わってくるのです。
授業が終わると、学生は黒板に近づき、顔を寄せて線の厚みや粉の粒を確かめます。PDFでは起こりえない行為です。今回の書籍では、その緊張と温度を少しでも手元に残すべく、紙とインク、黒の深さ、画面の余白まで吟味しました。ページを開いたとき、耳の奥にあの「バン、バン、バン」がよみがえる――そんな読み心地を目指しています。




