
投扇興は、台(枕)の上にある的(蝶)を扇子で倒す遊びで、江戸時代の中頃から始まったと言われています。海外にはない日本特有の「見立て」を取り入れられているのがひとつの特徴です。
得点表(銘定表)には、「源氏物語」や「百人一首」があります。
「源氏物語」は54帖のタイトルから取られた役(銘定)が、「百人一首」は和歌から取られた役(銘定)があり、その情景を見立てて点数が付いています。
「高貴な遊び」や「芸者遊び」といったイメージが強いですが、江戸時代では、家々でも遊ばれた遊びでした。当時、江戸には、今でいうゲームセンターのような場所もあったそうです。
歌川豊国(3代目) 弘化4-嘉永5しかし、家々で遊ぶため、細かい規定はありませんでした。蝶の形が違ったり、枕の高さが違ったり、投げる距離が違ったり、扇子の大きさが違ったりと様々な形が生まれています。
この投扇興の興味深い所は、その見立ての部分で、遊ぶだけではなくて、「遊びを通じて、日本の古典に触れられる」特性も兼ね備えています。
子どもたちが投扇興をするとすぐに「ほととぎす」や「瀬をはやみ」などの言葉を覚えます。和歌31字を覚えるのは大変かもしれませんが、最初の5文字を覚えられるだけでも、古典への親しみが生まれます。




