
映画『JUST A ROOKIE LUCKY ROOKIE』スタッフです。あっという間の、年内最後の活動報告です。今回もみっちり濃厚に、シタンダリンタ監督が今の想いをありのままに綴っています。クリスマスには、劇中アーティスト・dillydalyとして、大阪・ムジカジャポニカにてワンマンライブも開催が決定しています。こちらもあわせて、ぜひ!
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昨日から突然のありえない寒波が到来。ありえなさ過ぎて、もしかして本当にありえてないんじゃないか?ともう一度確かめてみるけど、やっぱりありえていて、やっぱり寒すぎる。
実のところ、12月はこの映画の撮影が少なめである。僕個人としては逆に、ここぞとばかりそれ以外のMV案件や諸々の制作を詰め込んでいるためむしろ気持ちが慌ただしいのだけど、映画『JUST A ROOKIE LUCKY ROOKIE』(本作を擬人化して、以下〝彼〟とする)は随分穏やかに冬の到来を眺めている。もう〝彼〟とは随分長い付き合いのため、二人で過ごす何度目かの冬である。迫る12月25日(木)には劇中アーティスト・dillydallyとしてのワンマンライブも控えており、それもあって撮影を少なくしているのだけど、昨日からのありえない寒さを味わえばなんとも賢明な判断だったと思えてならない。

寒い今日は部屋にこもって、先月撮影したとあるシーンのラフ編集を行っている。今後の撮影に向けてキャスト・スタッフに経過報告、またはイメージの共有を行って、見えてる景色をクランクアップまでに着々と統一させては研ぎ澄ませていきたい。いたって僕のエゴでしかないのだけど、そういう作業が生み出す効果を信じてやまないので、今日も僕はラフ編集を一切の面倒くささも感じることなくウキウキワクワクしながら進めている。該当シーンは【S-90/ミヤシロの部屋(夜)】。光島叶倭演じる若き映像クリエイター・ミヤシロ優の住むプレハブ小屋で主人公含む数人が駄弁っている、この映画屈指の長い会話シーン。ミヤシロは中目黒の雑居ビル屋上にある、それはそれは狭いプレハブ小屋を秘密基地のようにして住んでいる設定。スタッフたちと共に渾身の撮影セットを建てたのでこの部屋での撮影はまるで本当に秘密基地で行っているような感慨。僕の部屋にある私物も多く搬入した。ちなみに家賃は1万4000円という設定。僕が住みたい。
台本数ページに及ぶ会話を2カメ(部屋が狭いので2カメが限界)でおよそ10回以上の返し(アングルを変えてもう一度同じシーンを撮影すること)を行い、最初から最後まで通しの芝居を何度も収めていく。僕は他の監督に比べておそらくかなり素材を持って帰る方だと思うので慣れていない人からはよく驚かれる。けれどこのシーンに出演しているキャストは、これまでも僕の作品に出てくれた方もいて、初めてご一緒する方だとしてももうかなりのシーンを撮ってきたのでそろそろ慣れてくれている。なのでこの返し地獄(かつて現場マネージャー・やまりおが命名)も淡々とこなしていく。どのタイミングでお茶を飲むかとかどのタイミングで膝を立てるとか、意外と難しいのだがそれも完璧にやり遂げる。こういう安定感が、僕にとってはある種の安心感にも繋がっていて……かれこれもう1年近く撮影している途方もなさはあれど、だからこその洗練さが生まれてきている気がする。

撮影は着々と進んでいく。確実に撮って持って帰らなくてはならない各カットを撮った後、時間に余裕があればもう少し素材を撮りたいと事前に相談。実際1時間半ほど時間があったので、ここからはもう千本ノック状態。思い付きで、天井からカメラを回してテーブルを囲む一同を頭上から収めたいと言ってみる。突っ張り棒を用意してカメラを仕込むのはどうかとなったが勿論そんな予定はなかったのでその長さの突っ張り棒が用意できない。すると、キャストの一人が持っていたスマホケースが磁石で壁に貼り付けられる仕様であることを教えてくれる。そのケースを借りて、スマホを天井の電飾部分に取り付けてみると強力過ぎる磁石によって頭上からのアングルが見事に完成。ここまでやってもおそらくこのカットは使ったとしても1秒か2秒ほど、使わない可能性だってある。みんな薄々気づいているけど、とりあえず進めてくれる。
数日後の明け方には、光島叶倭によるおよそ30行以上の長台詞も撮影。プレハブ小屋が建てられている屋上部分、小屋の中で眠る一同を横目に主人公とミヤシロがカップラーメンの3分を待ちながら話している。きっと遠くの空が明け始めているのは良いけど、画として何かもうひとつ足りない気がする。そんな矢先ふと思いついた。ミヤシロの部屋にはプロジェクターがあり、それで自ら撮ったMVや短編映画を壁に投影している。そのプロジェクターを、眠っている柴田芹那(若きフォトグラファー・演、酒井美和)が寝返りを打ったタイミングで蹴飛ばしひっくり返り、プロジェクターからの映像が窓の向こう、屋上の壁に投影される。酒井美和はそういう空間を使う芝居に対しての勘が良く、眠りながらプロジェクターを蹴飛ばしてしまうカットも難なくこなしてくれる。よってミヤシロが熱い思いを語る屋上シーンには、ミヤシロが撮った短編映画の映像が壁に投影され、これまた印象的な仕上がり。映画は、思いつきと知恵で成り立っていると思わずにいられない。みんないつもありがとう。

さて、そんなこんなでいよいよ2025年が終わろうとしている。今年は新作は一切出さずひたすら本作を制作し続けていた。その代わりdillydallyとして楽曲リリースやライブを行い、まるで自分はミュージシャンなのではないかと錯覚してしまう。これは危ない、僕は第一に映画をつくりたくてこの企画を始めたのである。先日の撮影、完璧な夕日を収めたくて16時51分の日落ちに間に合わせるようチーム一同奮闘してくれた。その前に行われた川辺シーンの撮影が少しだけ押してしまい、けれど夕日は待ってくれないので、ここ最近で一番バタバタした撮影。なんとか夕日カットまで辿り着き、呼吸を合わせて撮影スタート。見事に真っ赤な空をバックにある人物がその空へカメラを向け続ける渾身のロングショット。およそ1分ほどのカットを撮った直後、広がっていた夕日は一瞬にして姿を消した。本当にあと少しでも遅かったら撮れなかったその画に、チーム一同が感激してくれている。そして何よりも僕が感激している。16時51分、僕は映画をつくることがまたさらに好きになってしまう。
当初の予定よりももう少し時間をかけて制作しています。〝彼〟とはまだまだ長い付き合いになりそうである。大事なのは、好きでい続けることよりも、好きでいてもらい続けることだと、最近何かで読んだ。僕は〝彼〟に好きでいてもらい続けるために、今日もラフ編集を行う。
長い時間をかけて制作したミヤシロの部屋シーンも、明け方シーンも、夕日シーンも、編集してみれば全て短い短い些細なシーンばかりである。やっぱり途方もない。

追伸、いよいよクリスマス当日にはdillydalyとしてのワンマン。12月25日(木)、ムジカジャポニカにて。18時スタート、ライブは20時30分より。沢山、曲演ります。是非。
追伸の追伸、今年はお世話になりました。来年も何卒よろしくお願い致します。
シタンダリンタ
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【LIVE information】

■『JUST A ROOKIE LUCKY ROOKIE Xmas!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
日程:2025年12月25日(木)
会場:大阪・梅田ムジカジャポニカ
時間:OPEN/START 18:00(※20:30〜LIVE)
料金:¥3,000+1d(U-26 ¥1,500+1d)
LIVE:dillydally(a.k.a.シタンダリンタ)BAND SET
シタンダリンタ(Vo.)
jeana(Gt.)
正月ふーちゃん(Ba.)
NDARICCA(Cho.)
YAGA(Key.)
モリタサユリ(Dr.)
DJ:天才こーき
masa
1llintosh
aoto
PA:四反田祐






