
❺再開へできうること
火の手が上がったあの日、私たちの大切な場所は、音もなく消えていきました。 ただ、ぽっかりと空いた心の穴を抱えたまま、朝を迎えました
涙を流す暇もなく、翌朝、私は震える手で店のドアを開けました。 そこにあったのは、ススにまみれ、泥に沈んだ、無残な光景でした
言葉を失い、ただ立ち尽くしていた私の背中を、そっと押してくれたのは――
駆けつけてくれた仲間たち、ボランティアの皆さんでした
誰もが無言で、でも必死に動いてくれました
壊れた壁を外し、落ちた天井を片付け、最後には、店中に染みついたススの臭いを消すために、夜遅くまで体を動かしてくれました
泥まみれの顔に浮かぶ笑顔
その一つひとつが、私には眩しすぎて、ただ泣くことしかできませんでした
同時に、沖縄シリーズの販売や
クラウドファンディングも始めました
「こんなときくらい、誰にも頼らず、ひとりで立ち上がらなきゃ。」
そう思い込んでいた私に、TUBEファンの皆んなや守成クラブの仲間や地域の皆さんは、こう声をかけてくれました
「店は燃えても、人のつながりは燃えない。」
胸の奥深くに届いたその言葉は、消えかけた心に火を灯してくれました
あの日、何もかもを失ったと思ったけれど、失われなかったものがありました。 人と人とが、支え合い、信じ合う「絆」でした
今、私は震える足で、一歩ずつ、一歩ずつ、再開に向かって歩き出しています
どんなに時間がかかっても、必ず、あの場所に、また笑顔があふれる日を取り戻すために





