
「静観 × 慧眼」― 記憶に触れ、感覚を解き放つ ―をテーマとしてHPF2025コレクティブ展に参加している楓月は、各種マティリアルを使うことで、従来の写真の枠を超え感覚と記憶ということから芸術表現への問いかけを行っている。それは花鳥風月や庭園、香り文化などの日本の美意識に根ざした伝統が、目に見えない“とき”や“気配”に気づく力を育んできたと考えるからである。そのような意味で作品としてはフロッタージュ技法を使い北海道の大地で育った植物の生命そのものを作品として落とし込む試みであった。それはHPF2025のテーマでもある「視る」ことへの問いかけであり、さらには感じ、思い出すという行為を通して、五感を静かに呼び覚ますことを期待するものである。
今回、楓月がテーマとしているのは、世界をそのまま受けとめる「静観」と、その奥に潜む本質を見抜く「慧眼」であり、今、私たちに求められている思考の領域と考えることもできる。




