1, R Navi概要
横浜国立大学(YNU)×JICA連携講座「現場から考える国際開発協力」への参加メンバーによる学生団体です。講座終了後に、当講座を主催した小林准教授から「難民の背景を持つ留学生への就活支援が不足している」ということを聞き、実際に就活を経験する大学生だからこそできること、発揮できる価値があるのではないかと考えたのがきっかけで立ち上がりました。
2, クラファン内容
支援するガザ在住ムハンマドさん(安全確保のために仮名で失礼致します)のとその家族の日本への渡航費と、横浜国立大学大学院博士課程への入学金を募集させていただきます。
3, クラウドファンディングを行うに至った経緯
ムハンマドさん(仮名)は、ガザ侵攻により仕事を失い、定期収入が無い中、日々貯金を切り詰めた生活を送っています。そして、後述させていただく背景のもと、ムハンマドさん(仮名)に母国復興の為に日本で学んでもらう為には、少なくとも本人及び家族分の日本への渡航費と、YNU博士課程への入学金が必要となるため、今回ご支援を賜れればと考えています。
なお、同大学院には既に合格しており、現在は休学という形で籍を置いています。
4, 募集金額の用途(後述)
・124,87万円
5,ガザ地区に関して
2023年10月のパレスチナ武装勢力によるイスラエルへの奇襲攻撃と、それに対するイスラエルによる報復攻撃を背景に、ガザ地区での戦闘は長期化してきました。市街地での戦闘や空爆が繰り返され、民間人が何万人も死傷しているのが現状です。
6, ムハンマドさん(仮名)説明
ムハンマドさん(仮名)は奥さんとお子さん2人の4人家族で暮らしています。仕事を失う以前は、ガザ保健省の職員として廃棄物管理を担当されていました。また、現在YNU博士課程への進学の為に来日を試みておりますが、在職中には、日本のJICA支援のもと同大学院に一度留学しており、修士号を取得しています。
修士課程修了後、ガザに戻った後は日本で学んだことを活かしてガザのインフラ開発に従事しようとしていた直後、戦闘が始まりました。少しづつ戦闘が激化し、生活環境にも危険が及ぶ中で、「このまま何も出来ないでいるよりは、一旦家族と安全な場所に身を移しながら、専門分野の研究を続けるのがガザ復興にも繋がるのではないか」との本人の考えがあり、この度の日本への再度の留学という判断に至っています。
7, ムハンマド(仮名)との出会いと関係性
上記の通り、ムハンマド(仮名)さんは留学生として以前YNUの修士課程に在学していましたが、その時の指導教員が、当団体に所属する小林先生です。我々は小林先生を通してムハンマド(仮名)さんの状況や想いを知り、来日・入学費用を賄う手段としてクラウドファンディングを実施する次第です。
8,小林先生からのコメント
彼は、JICA(国際協力機構)の開発大学院プログラムにて来日し、2021年4月より横浜国立大学大学院に在籍していました。日本で知識を得て、母国パレスチナ(ガザ)の発展に活かしたい、という明確な目的意識をもって私の開発協力研究室にやってきました。
だからこそ、誰よりも熱心に研究に打ち込み、誰よりも早く修理論文を書き上げ、予定していた在学期間よりも早くたった1年で課程を修了し、母国に貢献すべく意気揚々として2023年3月に帰国しました。
現在にまで至るガザの紛争が発生したのは、その半年後の10月です。もしも彼があんなにも真摯に学問に向き合わなかったら、もしも母国への貢献をそんなにも急がなかったら、彼はまだ日本にいて、紛争に巻き込まれることはなかったであろう。彼を急いで送り出してしまった私は、いくつもの「if」を頭のなかで反芻し続けました。
そんなさなかのこと、彼と彼の家族の無事を報せる連絡をもらったときには、ゼミ生一同が胸をなで下ろしました。彼とのやりとりのなかで励まされたのは、こうした先が見えない状況のなかでも、彼自身が希望を失っていなかったことです。むしろ、こうした状況だからこそ、紛争終結後に必要となるであろう更なる専門的知識を修得して、将来のガザの復興に役立てたいというビジョンを語ってくれました。
戦争のような大きな事態に、ひとりの人間ができることは何もできない、と諦めていた私でしたが、彼のような復興に携わる人材を引き受けて育成することことことが、自分の立場においてできることではないだろうか、そう思えるようになりました。そしてそれは大局的にみれば、日本として紛争終結後のガザに対してできることの一つではないかと考えるようになりました。
こうして、博士後期課程への入学を目指すべく、本学やJICA等の関係者のみなさん、そして彼の修士時代の同期ゼミ生も参加しているもR-naviのみなさんに相談し、彼の大学院進学を支援するプロジェクトが開始しました。。難民や避難民となった留学生の就活支援に取り組く組織であったR-naviにとって、未知の領域に踏み込んだことになります。
もちろん、途方もなく大きな問題の前で、特定の誰かだけに手を差し伸べるだけでどうにもならないということは確かでしょう。でも、最初の一歩がないと何も動かない、その小さい芽をなんとか育て大きくしてゆく企てに一緒に参加してくれる方が多ければ心強いです。
9, なぜ日本なのか?
一つ目は、日本で過ごしていた際に彼自身が感じていたように、「安心・安全で快適に生活出来るから」です。ムハンマド(仮名)さんからは、「日本文化には共感を覚えることが多く、とても尊重している」と聞いています。
二つ目は、彼の専門であるインフラ分野において、日本は技術力や政策が非常に洗練されているため、日本にいるからこそ学べることが多く存在するからです。
10, 日本で何をするのか?
修士号を取得したYNUで、国際法と水インフラ政策といった観点から、環境や水インフラ課題の研究で博士号習得を目指します。帰国後のガザ復興への貢献を見据えて、小林先生の指導のもと、日本国内の水インフラ政策に関するフィールドワークや調査を行います。
11, 帰国後
日本での留学で得た知識と経験を生かし、争いで壊滅的な被害を受けたガザ地区のインフラの再建と改善に貢献するつもりでいます。将来的には、国際機関やNGOとも協力することで、地域間の連携を強化し、ガザや周辺被災地の人々の生活を向上させる持続可能な法的・政策的枠組みの設計を志しています。
12, ご支援用途(内訳をよりブレイクダウン)
合計124,87万円
- 約28万円 自身及び家族分の航空券代(エジプト〜日本)
- 一人当たり約7万円×4名(5月1日現在平均価格)
- 約60万円 エジプトルートで渡日する際のエージェントに支払う報酬
- 大人一人当たり約20万円
- 子供一人当たり約10万円(10月7日以前の最大支払額 )
- 約28.2万円 YNU入学金
- 約8.67万円 VISA取得のためのエジプトでの生活費
- 0.67万円 VISA料金 (家族全員分))
- 約8万円(宿泊費・食事代・交通費)
13,備考
現在、ガザ地域と外部をつなぐ検問所は、エジプトおよびイスラエルの両国において閉鎖されています。特に、現実的な選択肢と考えられるエジプト側のラファ検問所についても、再開の見通しは立っておりません。
上記理由に従い、皆様からお寄せいただいたご支援についても、検問所の状況が改善されるまでの間、直ちに活用することが難しい可能性がございます。また、検問所を通過する際には、エジプトの民間企業との契約が必要となる見込みですが、現在の状況下ではその具体的な費用を把握することが困難な状況です。 今回の支援金の内訳につきましては、紛争前の金額を参考に算出しております。
万が一、支援対象者が何らかの事情により来日できなくなった場合には、皆様からお預かりした支援金の全額を、ガザ地区を支援する団体(地球のステージ様)へ譲渡させていただくことを、ここにお約束申し上げます。
皆様には、この支援活動を長期的な視点で温かく見守っていただけますと幸いです。状況が変わり次第、迅速に支援活動を進めてまいりますので、引き続きご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
14, 最後にムハンマド(仮名)さんからのメッセージ
将来の目標として、私はトランスナショナル・ロー(越境法)の研究を通じて、国際的な水問題に対する法的・政策的な解決策を提案していきたいと考えています。水資源の不足は、開発や安定に深刻な影響を及ぼす差し迫った課題であり、私は持続可能な水資源ガバナンスの枠組みを構築し、国境を越えた水資源の対立や管理の問題に取り組みたいと思っています。
国際機関や地域機関と連携することで、特にガザのように水の危機が日常生活に大きな影響を与えている地域において、水のアクセスと管理を改善する政策に影響を与えることを目指しています。
持続可能で意味のある変化を実現するには、グローバルな協力が不可欠だと信じています。そしていつかすべての人が安心して過ごせるような、より良い状況になることを心から願っています。
最新の活動報告
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クラファン終了まで後53時間!
2025/10/07 18:44いつも温かいご支援、本当にありがとうございます。「ガザにいる学生が日本の博士課程で学べる機会を!」というクラウドファンディングは、いよいよ約53時間で終了(10月9日24時59分)となります。現在、残りの金額は14万4700円。これは、ちょうどエジプト・カイロから東京までの2人分の航空券代とほぼ同じ金額です。なんとしてもこのクラウドファンディングを成功させて、彼とそのご家族が無事に日本へ来られるよう、残りの時間も全力で取り組んでいきます。最後まで見守っていただけたら嬉しいです。さきほど、彼から新しく写真が届きました。現在掲載しているのは彼のお子さんの写真なのですが、小さくて愛らしい子どもたちが、戦争という過酷な状況に巻き込まれている現実に、胸が痛みます。どうして、世界には生まれた瞬間から平和を知らずに育つ子どもたちがいて、一方でそうでない子どもたちもいるのか——。私たちの団体は、そんな「当たり前」に疑問を持ち、「変えたい」と願う仲間たちで立ち上がりました。あらためて、その原点を思い出しています。また、彼自身の写真も送られてきました。以前に投稿した、横浜国立大学での写真とは違い、明らかに痩せていて、過酷な状況が伝わってきました。それでも変わらず、学びたいという強い意志を持ち続けている彼を、私たちは心から尊敬していますし、一日も早く日本で会えることを願っています。これまで、たくさんの温かい想いを届けていただき、本当にありがとうございます。皆さんの応援が、私たちの前に進む力になっています。もしよろしければ、残りわずかな時間ですが、ぜひご家族やご友人にもこの取り組みをシェアしていただけると嬉しいです。再度にはなりますが、いつも温かいお気持ちをありがとうございます。どうぞ、最後までよろしくお願いいたします。 もっと見る
残り数日の抱負
2025/10/05 13:20ご支援いただいた皆様、そしてこのクラウドファンディングを拝見してくださった皆様皆様、温かいご支援を本当にありがとうございます。皆さまのお心遣いは、ムハンマド(仮)さんご本人のみならず、私たちにとっても希望を見失わないための大きな支えとなっております。どれほど距離が離れていようとも、私たちは互いを思いやり、行動を共にすることができる——そのことを改めて感じさせてくれたのが、今回のクラウドファンディングでした。現在、私たちもムハンマド(仮)さんご一家が安心して渡航できるよう、いくつかの関係団体と連携を取りながら動いておりますが、思うように進まず、もどかしい日々が続いています。そんな状況の中で、彼は「The most important thing is that we do not lose a hope.(一番大切なのは、希望を失わないことです)」という言葉を私たちに届けてくれました。さらに、私たち自身もなかなか状況を打開できずに無力さを感じていた時、彼はこうも語ってくれたのです。“Please also allow me to say that I have always loved Japan and the Japanese people, in all circumstances, and I will continue to hold deep respect and affection for your country.”(どんな状況でも、私はずっと日本と日本の人々を愛してきました。そしてこれからも、深い敬意と親しみの気持ちを持ち続けます)このように、遠く離れた国である日本に対して、こんなにもあたたかな想いを抱いてくれている彼の気持ちに、私たちも心から応えていきたいと強く願っています。本来であればとても厳しい立場にあるはずの彼が、それでも前を向き、未来を信じ、そして私たち日本人に深い愛情を示してくれる姿に、何度も励まされ、胸を打たれました。そして、彼のような人こそが、これからのパレスチナを支え、導いていく存在なのだと、改めて強く感じております。クラウドファンディングも残りわずかとなりましたが、最後まで彼の未来のために、心を込めて取り組んでまいります。これまでのたくさんのご支援とご共感に、あらためて深く感謝申し上げます。今後とも、あたたかく見守っていただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。R Navi友澤 もっと見る
現在のムハンマドさん(仮)の状況
2025/09/29 07:30温かいご支援を賜っております皆さまへまた、本ページをご覧くださっている皆さまへ平素より格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。皆さまからお寄せいただいているご支援は、確かにムハンマドさんにとって、明日を生き抜く希望となっております。このたびは、現在のムハンマドさんの状況について、少しご報告をさせていただければと存じます。誠に残念ながら、ムハンマドさんの置かれている状況は日に日に厳しさを増しております。彼の居住する地域にも空襲の被害が及ぶようになり、これまでとは異なる切迫した内容のメッセージが多く届くようになりました。とりわけ、お子さまの健康状態が非常に悪化しており、一刻も早く日本へ避難することが強く望まれている状況です。掲載の写真は、ムハンマドさんが横浜国立大学にて修士課程を修了された当時のものです。彼は「祖国に、少しでも多くの人が平和を実感できる場所をつくりたい」という強い想いのもと、誰よりも熱心に学び、優秀な成績を修めて帰国いたしました。しかし、その数ヶ月後——2023年10月7日以降、彼の生活は一変し、今に至ります。平和を築くために懸命に学んできたにもかかわらず、学びを思うように活かせない現実。多くの人なら、こんな理不尽な状況の中で、希望を失い、学ぶ意欲すら失ってしまうかもしれません。けれども彼は、「真の平和を築くためには、なお一層の学びが必要だ」と信じ、博士課程への進学を決意しました。その志と努力、そして学びへの情熱を、私たちは遠く離れていても支え守っていきたいのです。彼の強さと真摯な想いが、きっと将来、パレスチナの未来を支える大きな力になると信じているからです。現在、クラウドファンディング終了まで残り10日となりました。目標金額にはまだ届いておらず、大変恐縮ではございますが、もしよろしければ、この取り組みをお知り合いの方々へ共有いただけますと、心よりありがたく存じます。(クラウドファンディングページ:https://camp-fire.jp/projects/855212/view)先の見えない困難な状況が続いておりますが、ひとつ確かなことは、皆さまの温かいご支援が、ムハンマドさんという一人の若者にとって、かけがえのない「生きる希望」となっているということです。改めまして、これまで賜りましたご支援に、心より感謝申し上げます。今後とも何卒、温かく見守っていただけますようお願い申し上げます。R Navi一同 もっと見る






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