『旅の指さし会話帳 東ティモール』著者(翻訳、文法)の松村優衣子です。
私たちが今作っている会話帳は、日本人の方々がテトゥン語を学ぶ事ができるものですが、日本語にローマ字の読み仮名も入っているため、日本語を学びたい東ティモールの方たちにも使ってもらうことができます。
今回のクラファンの寄贈先のSEFOPE(セフォペ=東ティモール民主共和国 職業訓練雇用担当国務長官府)では、日本への技能実習候補生として東ティモール人が日本語学習に励んでいます。しかし、使用している教材はインドネシア⇔日本語の教材で、インドネシア語を話せない若者もいるため苦労している方々もいるようです。
現状東ティモールにはテトゥン語⇔日本語の教材が不足しているので、今回の指さし会話帳が、日本語学習の補助的役割をしてくれることを願っています。
そこで今回、首都ディリにあるSEFOPEの研修施設にて、実際のところどんな反応をもらえるのか、使いやすいのかなど、12名の技能実習候補生に見てもらいました。

私が教室に入ると、候補生たちは起立し、姿勢を正し、「こんにちは!よろしくお願いします!」と日本語で元気に挨拶してくれました。そして、歓迎の歌として日本の歌「心の友(五輪真弓)」と「虹(菅田将暉)」を合唱。とても温かく迎え入れてくれました。

その後、簡単に自己紹介をし、「指さし会話帳とはどんなものか」を説明したうえで、3つのグループに分かれて、以下のサンプルページを見ながら日本語で会話練習をしてもらいました。
■自己紹介

■街を歩く

■食材・調理法

■日本の文化

■家族・友達

食い入るようにページを見て質問する候補生たち
反応はというと、とても喜んで、どのページも食い入るように見てくれていました。

「『警察』と『警官』の違いは?」「『連れて行く』と『持って行く』はどう言い分けるのですか?」といった、かなり突っ込んだ日本語の質問も。回答するとすぐにノートにメモを取り、「勉強になりました!」と喜んでいました。
そのほか、「日本の文化」のページでは、「五輪真弓は誰ですか?」「柔道と空手と合気道の違いは?」「日本にはカトリックはないですか?」といった文化的な質問も飛び出し、内容が理解されている手ごたえがありました。
そして、「一人一冊ずつ欲しいです!いただけますか?」という、うれしい言葉も。これについては、このクラウドファンディングにおいて、「寄付がたくさん集まったら実現できるので、寄付が集まるように頑張ります」とお伝えしました。
「マンガみたいで楽しい」「勉強になる」という言葉も。日本語学習は難しいと思いますが、髙久さんの描く明るく楽しいイラストが勉強時間を楽しいものにしてくれることだと思います。これは、私にとっても嬉しいものでした。
彼らにとって会話帳は"お守り"を超えた"装備"
今回の候補生たちのまなざしは、これまでにサンプルを見ていただいた他の方々とは違い、すべてを吸収しようとする気迫すら感じさせるものでした。私自身、初めて東ティモールに来たとき、「旅の指さし会話帳インドネシア語版」がどれほど心強かったかを思い出しました。何があってもこれさえあればさいあくどうにかなる!という、まるでお守りのような存在でした。
もっとも、彼らにとってそれは、「お守り」というよりも「装備」と呼ぶべきかもしれません。そのくらいの切実さと気迫を感じたのです。

東ティモールの人々は、国内であっても自分の住む地域を離れる際には気を張る傾向があるように思います。そんな彼らが、言語も文化も異なり、しかも文字が三種類(ひらがな・カタカナ・漢字)もある国に向かうのですから(しかも遊びではない)、まさに一大事です。この会話帳を「一人一冊欲しい」と願う気持ちもよく理解できます。
今回の彼らの反応を通して、改めて、「旅の指さし会話帳 東ティモール」は、技能実習候補生にとって、単に日本語学習を支える補助教材ではなく、未来の安心と希望を支える一冊だと感じました。一人でも多くの実習生に「これさえあれば、日本でもがんばれる」と思ってもらえるよう、皆さまからのご支援をお待ちしています。
リターンの寄付プランでは、実際に受け取った実習生から感謝の手紙が届きます。全文とはいかないかもしれませんが、あなたから寄贈された会話帳で学んだ日本語で、直筆のメッセージが送られます。彼らの日本語学習を支えることが、両国の社会を支えることにもつながります。
ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。




