このページでは、クラウドファウンディングによる支援がどのように活かされていく予定なのかについて書いていきたいと思います。
■海旅Campは保養キャンプ
海旅Campが開催される場所は、岐阜県の山間部、周囲を自然林と川や滝に囲まれた(携帯の電波もほぼ入らないような)民宿「五宝の滝」と山小屋「山なんや」です。
日々の暮らしは、、、
・すべて自炊による三食とおやつによる食事と食器洗い
(時には流しそうめんやスイカ割り)
・ボランティアスタッフと参加者の協働による洗濯や掃除や布団干し
・川遊びや山遊び
・時たまやってくるミュージシャンや大道芸人によるパフォーマンスを楽しむ
・ボランティアスタッフや参加者の持っている一芸(木工、足裏マッサージなど)のシェア
・放射能について思っていること、体験していることを聞き合う時間
・陰陽五行や漢方、マクロビオティックについての勉強会
・みそ作りやはちみつ作り
・希望者で行く温泉(銭湯)
・タイミングがあった時は花火大会やマリンスポーツなどのお出かけ(これも希望者)
などによって成り立っています。
■海旅Campの歩み
海旅Campは、放射能から子どもを守りたいという思いを持つ人達なら誰でも参加できる(先着順)形で福島県内のみならず、千葉、埼玉、栃木、山形、東京など、主に東北、関東に住む親子を招いてきています。
参加者の規模や、開催期間については、毎年の予算によって決定しているので、毎年「何人を何日間呼べるかはわからない」という中で企画を進めています。
そして今までは、毎年40人~60人の親子を招いて1週間の共同生活をしてきました。
2012年 6家族 約40名
2013年 9家族と子ども達 41名
2014年 10家族と子ども達 43名
2015年 12家族と子ども達 41名
2016年 7家族と子ども達 31名
2017年 12家族と子ども達 35名
そして今年は、予算縮小とスタッフ減少の影響もあって、例年よりも予算を50万円ほど削って(例年120万円ほどかかっています)、会場へのアクセスや生活の方法を理解頂いているリピーターのご家族のみに募集をかけて、約30名ほどを招く計画で準備を進めています。
■海旅Camp2018開催期間:8月10日〜16日
※会期の真ん中にあたる8月12日には海旅Campと連携しているイベント「Rainbow Child 2020」が開催されます。宿泊費や食費をこのイベント経費と共有することなどによって、今年の予算削減が実現しています。
http://www.rainbowchild2020.com/
海旅Campの参加者もボランティアスタッフも、住んでいる場所も考え方もライフスタイルもバラバラですから当初は共同生活というよりはごった煮のカオス状態でしたが、年々、「価値観の違う者同士がどのようにお互いを認めあって暮らしていくか」を学びあい、今では「大きな家族」のような暮らしが実現しています。
そして、そのようなこと、つまり「様々な個性を持つ大人と子どもがどのように共に暮らしていけるか」を実践の中で学んでいくことが、大きな意味での「保養」になるし、これからの未来を作っていく支えになるということを実感しています。
■プログラムで縛らないこと。それぞれの意志を大切にしながら共に暮らす。
当初は、「こんな事をしてあげたら子どもが喜ぶのでは」という想いから、いろいろなプログラムを用意して、タイトなスケジュールのキャンプを運営していたこともあります。
しかし、プログラムやルールよりも、それぞれがのびのびと、自由に過ごすこと自体が「保養」になるということに、回を重ねるごとに皆で気づいていきました。
そして、大事なことは「暮らしを共有すること」だという気づきと共に、炊事や洗濯、食事といった「生活の中の基本的な営み」だけは共有しながら、それ以外のプログラムはすべて自由参加にしています。
「こんな事をやろうと思うんだけど、一緒にやりたい人は一緒にやろう」という緩やかな呼びかけをするような形にしています。
食器洗いや食事も、参加者スタッフ問わず関われるようにした結果、合成洗剤を使わない食器の洗い方を、皆で実践できるようになりました。
大人が作ったプログラムで子どもを縛りたくないので、基本的に一日中、コンセプトは「お好きにどうぞ」のフリースタイル。
大人より子どものほうが打ち解けるのが早いので、世代を越えて勝手に遊びだします。ほとんどの子たちが飽きることなく毎日川遊びしています。
川や木や虫や草など、都会になくて田舎にあるものが多くの子達にとって栄養になっているようです。遊びまくって汗かきまくって、熱出して一回寝込むくらいが、デトックスにはちょうどいいみたいです(独断)
朝ごはんは(好きに寝ててほしいので)起きた人から自由に食べるスタイル。昼と夜は全員で顔を合わせて「いただきます」をします。
ご飯を食べる前には、「どんな食材がどこから来て、誰がどんなふうに調理したか」を話してから皆んなで「いただきます」をします。
「この場が支援によって成り立っている」という事を伝えているからか、海旅Campではまったく残飯が出ません。
食事は毎回、好きな人が作るスタイル。
海旅Campでは「放射能対策になる食事」にこだわってメニューを考えています。
キャンプ中に作る料理は「ここだけのものではなく、日々の生活の中でも取り入れてほしい」という思いを込めて、時にはレシピを印刷して配ったり、「料理教室的」な形で場を作ったりもしています。
メニューはスタッフで考えますが、調理をする時は大人も子どももスタッフも参加者も混ざり合って作っています。
このスタイルを確立するまでに何年もかかりましたが、最初に垣根を壊してくれたの参加者男子諸君でした。
彼らの中には「手伝っている」という概念もなかったようで、とても自然にキッチンに立ってくれて、その事で調理スタッフ女子たちがかなり癒やされておりました。
彼らの多くは、最初は好奇心から火の起こし方や擂鉢の使い方やスモークの作り方を、僕たちスタッフから学んでいきます。
そしてその後は、「自分の作ったものを皆んなが食べて喜んでくれている」という体験を経ていきます。
皆で暮らすという事の中で大切な「自分のためだけでなく、誰かの為に料理する」ということを、感覚的に掴んでいってくれているような気がします。
このことも、大きく見て、これからの子どもたちのための「保養の文化づくり」の土台になっていくのではないかと思っています。
食事作りのミーティングは毎日こまめに行います。
陰陽五行、マクロビオティックなどを踏まえて、スタッフ一人ひとりが一年かけて考えてきた「被ばく対策になる料理」を持ち寄り合ってメニューを練ります。
このミーティングにも小中学生が参加していたりします。
ここでは、僕たちの考え方や被ばくや放射能についても包み隠さず話します。
キャンプの途中で行う自由参加のみそ作り。
僕自身、みそ作りは被ばく対策のために始めたこと。
放射能に向き合う人たちにこそ伝えたいという想いから、熱く伝えていますが、その熱さは子どもにも伝わるようで(独断)、真剣に聞いてくれていることが嬉しくもあります。
みんなで作ったみそは、各家庭に持ち帰られます。
「家に帰ってもキャンプで作った味噌がある」という感覚が「わたしはひとりではない」という感覚を育てると思っています。
作った味噌の半分ほどは、翌年のキャンプのために保管されます。
みんなで作った味噌が、翌年のキャンプでの日々の味噌汁や料理に使われるわけです。
■保養の文化を作っていく
これは私たち海旅Campに限ったことではないと思いますが、保養という取り組み自体が、手探りでやっているという実感が大きいです。
そして、一緒に保養キャンプを過ごす事以外の方法で「保養の大切さ」を伝えることの難しさに、日々頭を抱えていることも事実です。
しかし同時に、そのようなチャレンジを続けている人たちが、全国、もっと言えば世界中に存在しているという事実も実感しています。
放射能の半減期を思うと、この取り組みがどんな意味を持つかという答えも、数十年経たないとわからないかもしれません。
もしかしたら「心配しすぎだったね」「保養なんて必要なかったね」と、後になって言われることもあるかもしれません。
しかし今の時点では、必要と思う人は確かに存在しているし、保養キャンプの現場では「やってよかった」と思えるような事がたくさん存在しています。
答えを急がず、試行錯誤を続けていくことの意味を思い、毎年できることを続けていけたらと思います。
そして、保養キャンプの形にも正解はないと思います。
私たちは、私たちの価値観と考えと、「私たちにできること」の限界と可能性の中で、海旅キャンプを続けていくことになるのだと思います。
ぜひこれからも、試行錯誤と紆余曲折を続ける海旅Campを暖かく見守っていただけたらと思います。
海旅Campへのお気持ち、ご支援に心から感謝しています!
どうもありがとうございます。